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2016年 1月 6日
前回に引き続き、第26回定期演奏会に演奏する予定の曲目に関する話題を取り上げます。今回取り上げるのは「ファンファーレ・フォー・トウキョウ」です。
「ファンファーレ・フォー・トウキョウ」は、2013年にイギリスの作曲家フィリップ・スパークによって書かれた曲です。東京吹奏楽団の創立50周年を記念して作曲されました。東京吹奏楽団は1963年にできた国内最初のプロの吹奏楽団で、言わば日本における吹奏楽の草分け的存在です。定期演奏会や小編成で行うジョイフルコンサートを開催しているほか、今年の正月のテレビ番組でも登場するなど様々な場で活躍しています。
東京吹奏楽団の定期演奏会の会場の1つすみだトリフォニーホール ワーグナーテューバが展示されている
作曲者のフィリップ・スパークは現代を代表する吹奏楽の作曲者の1人で、当団でもしばしばその作品を取り上げています。中でも第17回定期演奏会で演奏した「The Pioneers」はタイトルが当団にぴったりであり、スパークの作品としてはあまり有名ではないもののプログラムに取り入れたという経緯があります。「The Pioneers」のモチーフはもちろん当団や会社ではないのですが、それでも我々としては取り上げるのに格好の曲であり、来場された方々の関心も高いものがありました。
そんなスパークが東京吹奏楽団と出会ったのが2012年に開催された韓国国際吹奏楽フェスティバルでした。東京吹奏楽団はフェスティバルのゲストとして出演したのですが、その際に同じく招待されたスパークが東京吹奏楽団の演奏の指揮を執りました。それから両者の間で吹奏楽でコラボレーションする話になり、「ファンファーレ・フォー・トウキョウ」の作曲に結びついていったということです。このような邂逅が新しい曲を生むきっかけになるとは、音楽の縁とは分からないものですね。
そんな経緯でできた「ファンファーレ・フォー・トウキョウ」ですが、完成した2013年は東京吹奏楽団の創立50周年であると共に、2020年の東京オリンピック開催が決定した年でもありました。偶然ではあるものの、まるで東京オリンピックのために書かれたように思えることから演奏される機会も増えているようですが、そういった「運」もこの曲は持っているようです。
1964年の東京オリンピックのメイン会場となったかつての国立競技場 新国立競技場は現在の陸上競技の規格に合わせて建設される
とはいえ、「ファンファーレ・フォー・トウキョウ」は「運」だけの曲ではありません。流れるようなメロディが続き、ファンファーレとしての「実力」もちゃんと備えています。もしこのまま各地で演奏され続け、オリンピック委員会の目に留まって2020年の東京オリンピックのファンファーレに採用されたら、とちょっと想像してしまいますね。
今回はこの「ファンファーレ・フォー・トウキョウ」をオープニングで演奏する予定です。東京吹奏楽団が辿ってきた歴史を感じると共に、来る東京オリンピックにも想いを馳せながら聴いていただければ、と思います。
文責:磨墨
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