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2013年 7月 1日
7月に入り、当団の第11回アンサンブルコンサートが近づいてきました。今回はその第11回アンサンブルコンサートで演奏する曲目の中から「宇宙戦艦ヤマト」に関する話題を取り上げます。
「宇宙戦艦ヤマト」は、1974年から1975年にかけてテレビ放送されたアニメです。今でも絶大な人気を誇っており、1980年代の「機動戦士ガンダム」、1990年代の「新世紀エヴァンゲリオン」などと並んで時代を代表するアニメと言われています。当団の演奏会でも取り上げたことがあり、第14回定期演奏会において「組曲『宇宙戦艦ヤマト』」、第23回定期演奏会において「ジャパニーズ・グラフィティⅩII ~銀河鉄道999/宇宙戦艦ヤマト~」を演奏しています。
宇宙戦艦ヤマトの母体になったという設定の戦艦大和
その「宇宙戦艦ヤマト」ですが、このほど「宇宙戦艦ヤマト2199」としてリメイクされ、昨年4月から映画館で先行上映が、そして今年の4月からテレビ放送がされています。この事実だけでも根強い人気が窺えますが、実は「宇宙戦艦ヤマト2199」から設定が変わっている箇所があります。
ストーリーをごく簡単になぞると、宇宙戦艦ヤマトは地球を救うために旅立つのですが、その目的地はファンの間では言わずと知れた惑星イスカンダルです。テーマ曲の歌詞にも出てくるので、たとえファンでなくともその名を耳にしたことがある方は多いでしょう。原作の「宇宙戦艦ヤマト」ではこのイスカンダルは「大マゼラン星雲」にある、とされていました。これが「宇宙戦艦ヤマト2199」では「大マゼラン銀河」にあることになっています。天文学においては、我々の住む地球と同じ銀河系の中にある星の集団のように見える天体(実際には宇宙のガスや塵)を「○○星雲」、地球のある銀河系の外にある銀河系に相当する星の集団を「○○銀河」と呼ぶのですが、イスカンダルのあるところが「星雲」から「銀河」になったことによって何だか地球からより遠くなったような気がしますね。
そんなイスカンダルは実際に「遠く」なっています。「宇宙戦艦ヤマト」の設定では地球からイスカンダル星まで14万8千光年であり、これはファンの頭には完全に刷り込まれた数字です。しかし、「宇宙戦艦ヤマト2199」ではこの設定が16万8千光年になっているのです。2万光年の差、というのはなかなか実感しにくいですが、ともかくイスカンダルは「遠く」なっています。
かつては「大マゼラン星雲」と呼ばれた大マゼラン銀河
このような設定の違いがどうして起きているのかというと、それはひとえに天文学の発達によるところが大きいといえます。「宇宙戦艦ヤマト」が放送された時代から現在まで40年近く経っていますが、この間に天体観測技術は劇的な進化をしました。その結果、「大マゼラン星雲」とされていたのは「大マゼラン銀河」であることが分かり、イスカンダルがある「大マゼラン銀河」までの距離もより正確に分かるようになったのです。「宇宙戦艦ヤマト2199」の設定にはこうした現実世界での技術の発展を反映したものでした。「科学が発達したからといってわざわざ原作の設定を変えなくても」という声も聞こえてきそうですが、この辺りの几帳面さも日本のアニメならでは、といえるかもしれませんね。
となると、もし将来さらに天体観測技術が進化したらまた違う設定になるのでは、という疑問も出てきます。そうなったらそのときに製作者が考えるのだろう、としか言いようがありませんが、いずれにしろその頃になっても「宇宙戦艦ヤマト」が歴史に残るアニメとして語り継がれていることだけは間違いないでしょう。
今回の演奏会ではこの「宇宙戦艦ヤマト」をクラリネットアンサンブルでお送りします。小さい編成ですが、そこから繰り出される無限大に広がる「音楽の宇宙」をどうか楽しんでいただきたいと思います。
文責:磨墨
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