第44回 作曲者の目の前で演奏!「エール2012」パイオニア吹奏楽団

コラム

2013年 3月 4日

当団の第23回定期演奏会が終了しました。演奏会当日は多くの方々にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

さて、その第23回定期演奏会のアンコールでは「エール2012」を演奏いたしました。この曲は2012年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲の選考において最終審査まで残った作品で、明るく軽快なコンサートマーチです。当団がこの曲を取り上げた背景には、作曲者の山口景子さんが当団の指揮を長らく務めている大澤和幸氏の東京音楽大学のユーフォニアム科の後輩であるということがありました。今回の定期演奏会の冒頭にはかつてコンクールの課題曲だった「スター・パズル・マーチ」を演奏しましたが、図らずも締めも同様にコンクールの課題曲系のマーチだったということになります。

演奏会でピアノを弾く「エール2012」の作曲者の山口景子さん

作曲者の山口さんは、小学校のときにまずユーフォニアムではなくトロンボーンを始め、中学校に上がる時も吹奏楽部で続けるつもりでした。ところが当時の吹奏楽部の顧問から「女の子はトロンボーンはダメ」という理不尽(?)な理由を言われ、ユーフォニアムになったそうです。ユーフォニアム転向直後は落ち込んだそうですが、それが次第に愛着が湧き、音大にまで進んだのですから、人生とはどう転ぶのか分からないものです。更に言えば、トロンボーンのままであれば大澤氏との縁もおそらくなく、当団も「エール2012」を演奏することがなかったかもしれません。

そんな山口さんがなぜ作曲の道へ進もうと思ったかというと、中学校1年生の時に和声に触れてその面白さに惹かれたのがきっかけだったと言います。また、自分の書いた音符が曲になることに非常に興味を感じたことも大きな要因だったとか。その後、ユーフォニアムとは別に作曲や編曲の勉強を重ね、2003年に作編曲家としてデビューされました。これまでに吹奏楽オリジナル作品や様々なジャンルのアンサンブル編曲集を中心に出版されています。

そういった作品の中でこの度当団が演奏した「エール2012」は、文字通りこの曲を演奏する方や聴く方に元気やパワーを届けられたら、という想いがタイトルに込められているということです。曲調も典型的なコンサートマーチの形式に温かさや懐かしさがこもった感じであり、吹奏楽ファンだけでなくファミリー層も多い当団の定期演奏会のようなアンコールにはぴったりだといえるでしょう。

山口さんの出版している楽譜
中級者以上向けを中心に数多く出版されている

定期演奏会当日は、山口さんも来場されました。当団としては作曲者の目の前で演奏することになり、まるで出来を試されているかのような状態(?)でした。とはいえ、アンコールにもなると我々も体力が限界に近づいてきてそんなことを気にする余裕もなくなり(!)、純粋に「最後まで吹ききろう」といった雰囲気でした。結果的にノリよく開放的に演奏できたのではないかと思っています。終演後に山口さんも「いい演奏でした」と仰っていましたが、多少なりとも期待に応えられたのなら何よりです。

このように作曲者の目の前で演奏するという機会は当団のような一般の楽団にとってそうあるものではなく、貴重な経験だったと思います。一方、山口さんも「自分の作品を演奏してもらえるのは作曲者冥利に尽きる」と仰っていました。作曲なくして演奏なく、演奏なくして作曲なし、といったところでしょうか。今後もこういった巡り合わせがあるかどうか分かりませんが、機会があればこのような作曲者との交流を行っていきたいものだと思います。

文責:磨墨

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