第66回「翼をください」のスタンダードナンバーへの道パイオニア吹奏楽団

コラム

2014年 8月 4日

当団の第12回アンサンブルコンサートが無事終わりました。当日は荒天の予報があったにも関わらず天候に恵まれ、多くの方にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

さて、その第12回アンサンブルコンサートではフルバンドで「翼をください」をお送りいたしました。この曲は日本人であれば誰でも知っていると言っていい所謂スタンダードナンバーですが、元々は1970年代前半に活躍したフォークバンド「赤い鳥」の曲です。「赤い鳥」の活動期間は約5年と短いものでしたが、「翼をください」をはじめとする数々の曲により日本の音楽シーンに残した足跡は大きなものがあります。

近鉄京都線竹田駅前(京都市伏見区)
「竹田の子守唄」の「竹田」はこの付近を指す

この「翼をください」は1971年にシングルとしてリリースされました。当時はまだCDの時代ですらなくレコードの時代でしたが、「翼をください」はA面ではなくB面、つまりカップリングの曲として収録されていました。A面は「竹田の子守唄」で、こちらもヒットしましたが、「翼をください」はそれ以上の人気を得ました。通常であれば注目度の落ちるB面の曲がメジャーになったのですから、その点でもこの曲の持つ魅力が窺えます。結果的にこの「竹田の子守唄」と「翼をください」のシングルはミリオンセラーを記録しました。

しかし、いくら「翼をください」がヒットしたとはいえ、それだけでは一時的な流行歌に終わっていたかもしれません。転機は音楽の教科書に採用されたことにありました。この採用により、学校において合唱曲として取り上げられることが多くなりました。1970年代後半以降に学校で音楽を習った方の中には「翼をください」を歌った記憶のある方も多いのではないでしょうか。教育の場という誰もが触れる環境で取り上げられた結果、スタンダードナンバーとなる土壌が形成されたと言えます。

こうして世代を問わず知られるようになった「翼をください」は、様々なアーティストによってカバーもされています。代表的なところでは平原綾香さん、川村かおりさん、渡辺美里さんなどが挙げられます。カバーは海外のアーティストにも及んでおり、ベッキー・クルーエルさん、スーザン・ボイルさんなども取り上げています。他の分野でも「新世紀エヴァンゲリオン」や「けいおん!」といった人気アニメの挿入歌としてカバー曲が使われており、これまた人気を博しています。このように、カバーされ続けることによって曲の新鮮さを保つと共にスタンダードナンバーとしての地位を確立していったと言えます。

「翼をください」の演奏の様子
合唱付きでの演奏が行われることもある

「翼をください」は吹奏楽においては合唱付きの場合と演奏のみの場合とがありますが、今回は演奏のみでお送りしました。合唱が無くとも非常に魅力的な曲であり、客席を巻き込んで会場全体が一体となるような特長があります。そういった雰囲気が醸成されるのも「翼をください」がスタンダードナンバーとして認知されている証だと思われます。今回の演奏もお客様からは大変好評でした。

とはいえ、合唱付きであればまた違ったステージになることは間違いないことでしょう。以前にこの欄でも触れたように、パイオニアには当団の他に合唱団もあります。合唱団とはまだ一緒にステージに立ったことはありませんが、今後もし一緒に演奏する機会があれば是非この「翼をください」を取り上げたいものだと思います。

文責:磨墨

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