第57回「千と千尋の神隠し」の幻のモデル?台湾・九份パイオニア吹奏楽団

コラム

2014年 1月 6日

前回に引き続いて第24回定期演奏会の第2部に演奏する予定の曲目に関する話題を取り上げます。今回は「『千と千尋の神隠し』ハイライト」です。

今更説明するまでもありませんが、「千と千尋の神隠し」は2001年の公開されたスタジオジブリ制作の映画です。現在に至るまで日本の映画史上において最高の興行収入を記録しており、またその年のアカデミー長編アニメ賞も受賞するなど海外でも評価の高い映画です。

「『千と千尋の神隠し』ハイライト」は、その映画の中で登場する曲のメドレーです。順に「あの夏へ」「底なし穴」「竜の少年」「仕事はつらいぜ」「ふたたび」「帰る日」となっています。久石譲さんの手によるこれらの曲は、聴けばすぐに映画のシーンを思い浮かべることができるという点でいずれも名曲と言ってよいものでしょう。

台湾北部の山あいに佇む九份の街

さて、スタジオジブリの作品はその独特の世界観のせいか、モデルの存在がファンの間で話題になります。この欄でも以前に取り上げたことがありますが、「千と千尋の神隠し」においても同様にファンの間ではモデルの話題が尽きることはありません。

そんな噂される数あるモデルの中で有力なところの1つとされているのが台湾の九份という街です。台湾を代表する港湾都市・基隆の東にあり、首都である台北からも日帰りできる距離にあります。元々はただの山あいの街でしたが、その街並みが「千と千尋の神隠し」に出てくる風景と似ていることから、いつしかモデルとして噂されるようになりました。その結果、九份を訪れる日本人観光客も増え、ガイドブックにも九份が取り上げられることが多くなりました。筆者も訪れたことがありますが、台湾人・日本人問わず多く観光客で賑わっていた記憶があります。

まるで「千と千尋の神隠し」に出てくるかのような九份の街並み

ところが最近になって、長らくモデルと言われていたこの九份について、「千と千尋の神隠し」の監督である宮崎駿さん自身が「モデルではない」と表明する事態が発生しました。ファンからすれば「今更言われても」というところかもしれませんが、これまでもスタジオジブリは九份がモデルであるとは一切言っていませんので、勝手にファンが思っていただけと言われればそれまでです。想像も行き過ぎてはいけないということでしょうか。

とはいえ、10年余りもの間、モデルとして扱われていた経緯もあり、九份は日本人観光客にとってすっかり台湾のメジャーな観光スポットの1つとなりました。今では「千と千尋の神隠し」を離れて街自体の魅力が認知されており、今後もその人気は続いていくことと思われます。結果として新たな魅力的なスポットを開拓できたわけであり、台湾にとっても日本にとってもお互いに良かったかもしれませんね。

このように九份は「千と千尋の神隠し」のモデルとしてはただの幻想でした。しかし、そのことで九份自体の魅力が否定されるわけではなく、むしろ元々九份が持っていた魅力が「千と千尋の神隠し」のモデルである、との幻想を生み出したのでしょう。当団としても九份に負けない魅力溢れるステージをお送りし、皆様に映画の幻想的な風景を思い浮かべていただけるような演奏を精一杯行いたいと思います。

文責:磨墨

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