第22回 演奏会を陰で支える裏方とは?パイオニア吹奏楽団

コラム

2011年 11月 1日

先月、社内の交響楽団と合唱団であるパイオニア交響楽団とパイオニア合唱団の演奏会が立て続けに開催されました。以前にもこの欄で触れたことがありますが、当団と交響楽団・合唱団とはそれぞれの演奏会のときに互いの裏方を受け持つ、という関係にあります。今回は実際に演奏会の裏方として働く様子を少し具体的にご紹介したいと思います。

まず、一口に裏方と言っても、その役割はいろいろとあります。主なところを挙げてみると、ステージマネージャー、楽屋係、受付、花束受付、ドアマンといった辺りがあります。

交響楽団の定期演奏会の会場となった江東公会堂「ティアラこうとう」

これらの役割のうち最も責任が大きいのがステージマネージャーです。ステージマネージャーは、タイムテーブルの管理やステージセッティングの指揮など、当日の舞台上の進行一切を担います。したがって舞台の出入りをはじめ、出演者は全員このステージマネージャーの指示によって動くことになります。今回の交響楽団及び合唱団の演奏会は共に午後2時開演でしたが、ステージマネージャーは音響・照明を含めた舞台進行の全てを把握しておく必要があるため、朝一番からリハーサルに付きっきりです。お客様の目には映りにくいですが、このようにステージマネージャーは演奏会当日の現場監督といっていい存在です。

同様にお客様から見えにくい担当として、楽屋係があります。楽屋係の仕事は指揮者や客演者の世話や、楽屋の鍵管理です。接待系の仕事が主なので、「ケータリング」と呼ばれる場合もあります。1つ1つの仕事は単純かもしれませんが、細かいところに気がつかないと務まらない役割だといえます。

逆にお客様に分かりやすい担当は受付や花束受付でしょう。演奏会の当日券の販売やプログラムの配布、お客様から出演者への花束や差し入れの預かりなど、直にお客様と接する役割です。演奏会当日に来場されたお客様がまず初めに目にする相手であり、接客面でとても神経を使う役回りです。トイレや喫煙所の場所を訊かれることもしばしばであり、こういった点を予め把握しておくこともこれらの担当の仕事です。

ドアマンもお客様に接するという点で重要な役回りです。端から見るとホールのドアを開け閉めしているだけのようですが、開演してから来場されたお客様の案内や、演奏中に外に出たくなった方への対応など、その場に応じた行動を求められます。他にもどのような事態が起きないとも限りませんので、事前にホール全体をくまなく歩いて内部を把握しておくことが必要とされる役割です。

合唱団のリハーサル直後の様子 本番まで束の間の静寂が漂う

このように演奏会の裏方を担当するときは、自らが演奏するときとはまた違った緊張感があります。もし自分たちのミスで他団体の演奏会を台無しにしたら目も当てられないことになるからです。出演者のときには演奏の良し悪しが気になりますが、裏方のときには進行や応接の良し悪しが気になるといえばいいでしょうか。無事に終演すると達成感というより安堵感の方が大きいです。

今回の交響楽団・合唱団の演奏会はそれぞれ滞りなく終了しました。短い間に連続して演奏会の裏方を務めるのは当団としてもそれなりの負担がありましたが、終演後に出演者、そしてお客様の満足そうな表情を見るとそれも報われた気持ちになります。一方で、出演者でもお客様でもない立場で演奏会に関われるのも裏方を担当しているからこそといえるでしょう。決して華やかな立場ではありませんが、この欄を通じて演奏会を開くにはなくてはならない裏方の存在に少しでも関心を持っていただけたら幸いに思います。

文責:磨墨

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