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2011年 7月 11日
7月になり、当団のアンサンブルコンサートの日が近づいてきました。今回はそのアンサンブルコンサートの最後にフルバンドでお送りする予定の「見上げてごらん夜の星を」に関する話題を取り上げます。
「見上げてごらん夜の星を」は1960年に製作されたミュージカルです。同時にその主題歌も同じ名前で作曲されました。後に坂本九さんが歌ってヒットし、今では日本人なら誰もが知っていると言っていいほどの名曲になっています。最近では東日本大震災を受けて某飲料メーカーのCMでも採用され、話題を呼びました。
国道370号線にあるメロディロードの看板
このように「見上げてごらん夜の星を」は有名であるが故に、その知名度を観光で生かしている所があります。それが和歌山県海草郡紀美野町です。この町を走る国道370号線には、車でその上を通ると「見上げてごらん夜の星を」のメロディが聴こえてくるというとても興味深い箇所があります。
このメロディが聴こえてくる道は「メロディロード」と呼ばれるもので、道の溝に特殊な刻み方をすることにより、走行音がメロディのように聴こえる、という仕組みになっています。メロディロードの第1号は北海道に設置され、この紀美野町のものは本州初のメロディロードとして2007年に完成しました。
実際にここを車で走ってみると、雑音混じりながらも低めの音でメロディが聴こえてきます。曲がりくねった山道の中、車のスピードを一定に保たないとテンポがおかしくなるので、その辺りはドライブの腕次第(!)のところもありますが、想像していたよりはメロディとして聴こえます。ただ、元の曲を知らないと何が鳴っているのかはやや分かりづらいかもしれません。その点では「見上げてごらん夜の星を」のように世代を問わず知られている曲はピッタリだといえるでしょう。余談ですが、選曲は当時の地元の小中学生たちのアンケートを元に行ったそうです。流行りものに流されそうな年頃なのに、いい選曲をしたものですね。
メロディロードの起点には道路に音符が描かれている
一方で音響に関わる技術者の立場で見れば、その道路の作り方に自然に興味が湧いてきます。そう思って設計した会社の公開している資料を見ましたが、それを読む限りではある程度の知識があればそれなりに原理は理解できるものだと思われます。ただ、これを最初に思いつく発想、そして実現しようという意思には感嘆すべきものがあります。実際に「メロディロード」となるまで何度となく試行錯誤が繰り返されたことでしょう。ともすれば過去の延長線上で物事を考えがちな中、こういった新鮮なアイデアや挑戦は非常に勉強になります。
メロディロードは、現在ではこの紀美野町のもの以外にもいろいろと設置されています。どれも同じ曲ではなく、その土地に応じたメロディが流れるようになっています。今度近くを通る機会があれば、このようなメロディロードにも寄ってみては如何でしょうか。ドライブも音楽も楽しみ方が広がることと思います。
文責:磨墨
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