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2011年 12月 1日
前回に引き続いて当団の第22回定期演奏会の曲目に関する話題を取り上げます。今回はオープニングにお送りする予定の「サビック・シンフォニック・マーチ」です。
「サビック・シンフォニック・マーチ」は、サウジアラビアの石油化学企業であるサウジ基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corporation)の欧州本社の設立を記念して作られた曲です。それ故に企業、つまりサビック(SABIC)の名を冠した曲になっています。日本では一般的にあまりサビックという名になじみがないかもしれませんが、実は石油化学の分野では世界有数の規模を誇る企業であり、製造業界では知られた存在です。
サビックの本社のあるサウジアラビアの首都リヤド
作曲者はベルギーのベルト・アッペルモント氏で、サビックからの委嘱を受けて2006年にこの曲を作りました。サビックの欧州本社がオランダにあることから、隣国の著名な作曲家であるアッペルモント氏に依頼が行ったのだと思われます。アッペルモント氏は欧州のみならず日本でも人気ですが、このアッペルモント氏は前回のこの欄に登場した交響詩「モンタニャールの詩」の作曲者ヤン・ヴァン・デル・ロースト氏の弟子に当たります。したがって、今回の当団の定期演奏会では図らずも師弟の曲が揃って登場する、ということになります。
当団では、そのアッペルモント氏の曲を前回の第21回定期演奏会でも演奏しました。「ロビンソン・クルーソー」がそれです。アッペルモント氏は当団ともちょっとした縁がありますが、この「ロビンソン・クルーソー」を演奏するに当たって、アッペルモント氏は何と当団に対して演奏会の成功を祈念する旨のメッセージを送ってくれました。現代を代表する作曲家から遠く離れた日本のアマチュア楽団にこのようなメッセージが届くとはビックリです。せっかくの有難いメッセージでしたので、定期演奏会当日にステージで司会から披露させていただきました。
アッペルモント氏からのメッセージは第21回定期演奏会のステージで披露された
以上のような経緯はありますが、今回の定期演奏会において当団がまたもアッペルモント氏の曲である「サビック・シンフォニック・マーチ」を選曲したのは、特にその好意に応えようと思ったから、というわけではありません。演奏会のオープニングに適した曲を探しているとこの曲に行き着いた、といったところでしょうか。企業の設立を記念して作曲されただけあって、これから未来が開けていくような壮快なマーチです。これでまた当団はアッペルモント氏との縁を1つ重ねることになりますね。
そんな「サビック・シンフォニック・マーチ」ですが、よく考えるとこれだけアッペルモント氏と仲がいい(?)のですから、当団もパイオニアの名を冠した曲を委嘱し、その作品を演奏してもよさそうなものです。もちろん、そのためにはそれなりの委嘱料が必要でしょう。しかし、それ以前に企業の楽団としては一流の作曲家に委嘱するに値するだけの力量があるべきかもしれません。このたびの演奏がその大いなる夢に向けての第一歩(!)となるよう、定期演奏会に向けて練習に励みたいと思います。
文責:磨墨
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