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2013年 4月 1日
前回に引き続いて第23回定期演奏会のアンコールにお送りした曲の話題を取り上げます。今回は「宝島」です。
「宝島」は、元々は日本を代表するジャズ・フュージョンバンド「T-SQUARE」の曲です。1976年に結成されたT-SQUARE(当時は「THE SQUARE」)は、1980年代に入ってフュージョンブームが起こったこともあり一躍メジャーバンドになりました。「宝島」はT-SQUAREがちょうどその地位を確立した頃である1986年にリリースされたアルバム『S・P・R・O・T・S』に収められている曲です。この『S・P・O・R・T・S』にはその名の通り「ヒット・エンド・ラン」や「ドロップ・ゴール」といったスポーツに関するタイトルの曲が数多く含まれていますが、「宝島」はそんなアルバムの中での代表曲といっていい曲です。
「宝島」が収録されているアルバム『S・P・O・R・T・S』
T-SQUAREの曲は吹奏楽でも多くのアレンジが出されており、「宝島」の他にも「オーメンズ・オブ・ラブ」や「マジック」、「トゥモローズ・アフェア」などは様々なところで演奏されています。中でも「オーメンズ・オブ・ラブ」は吹奏楽でも定番の1つといってよいほどであり、当団でも第17回定期演奏会で演奏したことがあります。
そんなT-SQUAREの曲の中で世間一般に最も知られている曲といえば「TRUTH」でしょう。『S・P・O・R・T・S』の次のアルバム『TRUTH』のタイトル曲として出された「TRUTH」は1987年にフジテレビのF1グランプリのテーマ曲に採用され、折からのF1ブームに乗って大ヒットを記録しました。「TRUTH」は長い間に渡ってF1グランプリのオープニングを飾り、たとえコアなファンでなくとも「TRUTH」が流れるとF1を想起させるほどの存在になっています。
そのF1といえば、ファンの中にはパイオニアが強豪の1つであるフェラーリチームのスポンサーを務めていたことをご記憶の方も多いのではないでしょうか。パイオニアの主力事業の1つであるカーエレクトロニクスは「カロッツェリア」ブランドで知られていますが、その関係で当時フェラーリチームに無線機器を供給していました。F1からの撤退後、パイオニアはアメリカのカーレースであるインディカー・シリーズのチームのスポンサーを務めていたこともありますが、パイオニアとモータースポーツとの関連では今でもF1のフェラーリチームのイメージが強いように思われます。
パイオニアがスポンサーを務めていた当時のフェラーリのF1マシン ボディにパイオニアの旧ロゴが描かれている
「TRUTH」は一時期F1グランプリのテーマ曲から外れたこともありますが、現在は再び採用されています。断続的にではあるものの20年以上テーマ曲となっているわけですが、F1のイメージが定着していることだけではなく、ファンを飽きさせないサウンドがそうさせているのだと思われます。この「TRUTH」も「宝島」と同様、吹奏楽版が出されていますが、これほどの名曲でありながら当団ではまだ取り上げたことがありません。ここのところF1はかつてほどの注目を集めなくなっている感がありますが、いずれブームが再燃すれば当団でも「TRUTH」を演奏することがあるかもしれませんね。
今回の定期演奏会での「宝島」は、お客様からの評判も上々でした。「宝島」も前述の「オーメンズ・オブ・ラブ」と同様に吹奏楽における定番となっていますが、このように次々と定番になる背景には吹奏楽とT-SQUAREの曲との相性の良さがあるように思います。こうやって他の分野の音楽を上手く取り込み、かつ独自の音楽性を出せるところが吹奏楽の懐の深さの1つだといえるでしょう。当団としてもフュージョンに限らず、様々な分野の音楽を取り上げながら吹奏楽の可能性を追求していきたいものだと思います。
文責:磨墨
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