第55回「ケルトの叫び」とアイリッシュダンスパイオニア吹奏楽団

コラム

2013年 12月 2日

前回に引き続き、第24回定期演奏会に演奏する予定の曲目に関する話題を取り上げます。今回取り上げるのは「ケルトの叫び」です。

「ケルトの叫び」は、元々は1996年に制作されたアイリッシュダンスショー「ロード・オブ・ザ・ダンス」に登場する曲です。それが吹奏楽用に"Nightmare"、"Suil a Ruin"、"Breakout"、"Lament"、"Victory"という5つの楽章からなる組曲としてアレンジされました。各楽章は必ずしもダンスショーに登場する順番に並んでいるわけではありませんが、今では吹奏楽としても立派に独立した曲として演奏されています。

ケルト系の曲を演奏するバンド

作曲者のロナン・ハーディマンは1962年生まれのアイルランド人ですが、この「ロード・オブ・ザ・ダンス」の世界的ヒットにより一躍新進の作曲家として注目を集めるに至りました。その後も数々の曲を世に送り出し続けており、活躍の場もテレビや映画へと幅を広げています。

そのハーディマンの手による「ケルトの叫び」ですが、日本では「ケルト」という言葉は耳にしたことはあってもあまり馴染みのないものかもしれません。大まかに言うと中部ヨーロッパをルーツとするケルト語派とされる言語やそれらを話す民族の文化を示す用語であり、現在ケルトの言語や文化を継承している地域はアイルランドやスコットランド、ウェールズなどとされています。したがってアイルランド人であるハーディマンがこの曲を書いたのもごく自然のことだといえるでしょう。

「ロード・オブ・ザ・ダンス」の題材となったアイリッシュダンスもケルトの文化の1つです。アイリッシュダンスの発祥の正確なところは分かりませんが、かつてイングランドの支配下にあった中、アイルランドとしてのアイデンティティを保つべく伝統音楽や舞踊が発展して形成されたと言われています。アイリッシュダンスには主に社交ダンスとステップダンスがあり、更にステップダンスの中には競技としての性格を持つものがあります。「ロード・オブ・ザ・ダンス」はこの競技用のステップダンスが原型となっており、今では日本でも公演され好評を博した「リバーダンス」と並んでアイリッシュダンスの代名詞となっています。

セルティックFCの本拠地・セルティックパーク
かつて中村俊輔選手も所属していた

目を他の分野に転じて見ると「ケルト(Celtic)」という言葉はプロスポーツのチーム名でも使われており、サッカーのスコットランドリーグの強豪「セルティックFC」や、同じくサッカーのスペインリーグの古豪「セルタ・デ・ビーゴ」、アメリカプロバスケットボールリーグの名門「ボストン・セルティックス」の名前の由来はこの「ケルト」にあります。特にセルティックFCはかつて中村俊輔選手が所属し活躍したチームであり、サッカーファンであれば一度は聞いたことのある名前だと思います。

当団としてもケルトの文化と関係の深い楽器であるバグパイプで構成されるバンドとの共演を行ったことがあるなど、ケルトとの因縁は浅からぬものがあります。ケルトの文化は奥深く幅広いものがありますが、「ケルトの叫び」を通じてそんなケルトの文化を少しでも感じていただけるような演奏をしたいものだと思います。

コラム第52回「爆音!バグパイプバンドとの共演」参照

文責:磨墨

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