第73回 「コーラスライン」とステージでの役割分担パイオニア吹奏楽団

コラム

2015年 1月 19日

前回に引き続いて第25回定期演奏会の第2部に演奏する予定の曲目に関する話題を取り上げます。今回は「コーラスライン・メドレー」です。

「コーラスライン・メドレー」は、1975年に初演が行われたミュージカル「コーラスライン」に登場する曲のメドレーです。「コーラスライン」は1990年までブロードウェイでロングランとなりましたが、その後もリバイバル公演が行われるなど今なお人気を誇っています。劇中歌もミュージカル同様に人気があり、日本でも電機メーカーやビール飲料メーカーのCMに採用されたことがあります。今回はその「コーラスライン」に登場する曲のうち、「ワン(リハーサル)」、「音楽と鏡」、「バレエではすべてが美しい」、「愛は消えない」、「ワン(フィナーレ)」の5曲をお送りします。

ミュージカルの本場・ニューヨークのブロードウェイの一角
日々オーディションが行われている

タイトルの「コーラスライン」とは、ブロードウェイの稽古の舞台上で役名のあるキャスト(メインキャスト)と役名のないキャスト(コーラス)の間に引かれるラインのことです。コーラスはこのライン、つまりコーラスラインを越えてはならず、メインキャストとの間には厳然とした格差があります。「コーラスライン」はそのコーラスを目指してオーディションに挑む若者たちの物語であり、ブロードウェイの中そのものが題材になっています。メインキャストではなく、コーラスにスポットを当てたところが「コーラスライン」の秀逸な点だと言えるでしょう。

日本の感覚では「コーラスはメインキャストほどの厳しさはないのでは?」と思いがちですが、実際にはコーラスといえどもその役を得るのは想像以上に厳しいようです。何せブロードウェイにはアメリカは言うに及ばず世界中から舞台に立つことを夢見て来る者が無数に来ますので、メインキャストだけではなくコーラスを目指すのすらハードルは自然と高くなります。とはいえ、そこは実力社会のアメリカのこと、本物の才能と実力があればそれこそアメリカンドリームを掴むことも可能です。

日本からもそんな夢を掴もうとブロードウェイを目指す方が多くいますが、英語の壁などがあり、チャンスを得るのは容易ではないようです。最近では女優の米倉涼子さんが大ヒットミュージカル「シカゴ」の主役をアジア人として初めてブロードウェイで演じて話題になりましたが、現地での位置づけとしてはゲスト出演的であったようです。米倉さんの実力を否定するものではありませんが、やはり本場のオーディションの階段を駆け上がるのは並大抵のことではないということが窺われます。

昨年夏のアンサンブルコンサートでのユーフォニアム・テューバ4重奏
普段は縁の下の力持ち的な役割を担う

吹奏楽においてはミュージカルのメインキャストとコーラスのような区分はありません。それでもソロを吹くなど目立ちやすいパートがある一方で、縁の下の力持ち的なパートも存在します。ユーフォニアムやテューバなどがそれに当たりますが、こういった中低音パートの支えがなければ音楽としては層が薄く単調なものになってしまいます。こうして見てみると、主役だけではステージが成り立たないという点はミュージカルでも吹奏楽でも同じだと言えますね。

今回の「コーラスライン・メドレー」でもいろいろとメロディラインが登場します。そういったメロディラインを担当するパートがこの曲のメインキャストだとすると、それを支えるパートはコーラスということになるでしょうか。「コーラスライン」のストーリーを思い描きながら、吹奏楽における役割分担にも注目して曲を聴いていただければ、と思います。

文責:磨墨

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