第10回 NHK朝ドラ「てっぱん」と吹奏楽パイオニア吹奏楽団

コラム

2011年 3月 1日

当団の第21回定期演奏会が無事終わりました。演奏会当日は多くの方々にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

さて、その定期演奏会のアンコールではNHKの朝の連続テレビ小説「てっぱん」のオープニングテーマ「ひまわり」をお送りしました。ご覧になっている方はご存知の通り、「てっぱん」はお好み焼きが主題のドラマではあるものの、吹奏楽とも縁の深いドラマです。ヒロインは趣味が高校時代に吹奏楽部でやっていたトランペットという設定であり、演奏するシーンもしばしば登場します。ヒロインの親友の楽器がユーフォニアムというこれまた渋い設定で、一般的な知名度が低い楽器にスポットが当たるのも吹奏楽をやっている者として嬉しい限りです。

ヒロインの楽器がトランペットなのはやはり吹奏楽の花形だから?

このようにドラマの中で楽器や演奏のシーンが出てくるのはいいのですが、一方で楽器を海に投げ込んだり、一度も吹いたことのない楽器で音出しもせずいきなりライブの本番に出たり、と音楽関係者から見れば「マジで?」とツッコみたくなる箇所もいろいろと出てきます。「そりゃドラマだから多少は現実離れしたことも」と言ってしまえばそれまでですが、そうはいっても見ているときには結構ビックリするものです。しかし、こういったツッコミまで来ることを演出側が狙っているのだとすると、見ている方はしっかりとその術中に陥ってしまっているのかもしれませんね。

そんなツッコミどころ満載の「てっぱん」ですが、逆に奏者として見習うべきかなあ、と思えるところもあります。それはヒロインに限らず演奏している人たちは非常に楽しそうに演奏しているということです。当団の演奏会のアンケートの中には時折「表情が硬い」「もっと楽しそうに演奏すればいいのに」といったお客様からのコメントが見られるのですが、こういった点はこのドラマから学ぶべきところなのかもしれません。演奏会の後で自分たちの演奏している写真を見てみると、確かに指摘されている通りかとも思えます。団員たちは皆普段ゲラゲラ笑っているのに、舞台に上がると緊張のあまり自然と硬い表情になってしまうんですね。

リハーサルでは余裕の表情だが、いざ本番となると・・・?

もっとも、そうはいっても我々には演奏中にそんなに余裕がない、というのが正直なところでもあります。アマチュアなのだから純粋に音楽を楽しむところが原点であるべきでしょうが、実際に舞台上でそれを表現するのはなかなか難しいことです。もっとしっかり練習して演奏会に臨めば、心の余裕が楽しさに繋がり表情にも出てくることでしょう。・・・といつも演奏会が終わるたびに思い、そしてしばらくするとそんな気持ちはどこかへ行ってしまいます。もちろん、こんなことではいけないのですが。

我々と違って余裕の表情で(?)演奏する「てっぱん」のヒロイン役の滝本美織さんや親友役の朝倉あきさんは今回のドラマのために楽器の指導を受けているそうですが、これをきっかけに楽器を好きなったのならドラマの後も何かしらの形で続けて欲しいものだと思います。もしドラマの設定のように音大級の腕前になり、管楽器を趣味とする女優の代表的な存在にでもなってもらえたら言うことはありません。そしていつの日か当団と楽しく共演を・・・いや、さすがにそれは妄想ですね。

文責:磨墨

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