第70回 名曲にして難曲!「フェスティヴァル・ヴァリエーション」パイオニア吹奏楽団

コラム

2014年 12月 1日

「演奏会情報」をご覧になってもお分かりの通り、当団の第25回定期演奏会のプログラムが固まりました。今回はその中でメインプログラムとしてお送りする予定の「フェスティヴァル・ヴァリエーション」に関する話題を取り上げたいと思います。

「フェスティヴァル・ヴァリエーション」は1982年にアメリカの作曲家クロード・トーマス・スミスによって書かれた曲です。音楽教育者全米会議の創立75周年記念作品としてスミスに委嘱されたもので、当時の空軍軍楽隊によって初演が催されました。吹奏楽の世界では名曲であると共に非常な難曲として知られています。

空軍軍楽隊の演奏の様子

この「フェスティヴァル・ヴァリエーション」の作曲については有名な逸話があります。作曲者のスミスは元々ホルン奏者だったのですが、当時の空軍軍楽隊のホルンの首席奏者が学生時代のライバルだったので、そのライバルを困らせようとホルンに超絶的なパッセージを当てた、というのがそれです。しかし、初演でそのライバルはしっかりと演奏をこなしたようなので、やはり空軍軍楽隊の首席奏者を務めるだけのことはありますね。

そんな「フェスティヴァル・ヴァリエーション」がホルンにとってだけ難しい曲かというと、決してそうではありません。他の金管楽器はもちろんのこと、木管楽器も非常に難度の高いパッセージをこなす必要があります。珍しいことに中にはユーフォニアムやテューバのカデンツァも登場しますが、これはスミスと親交のあった奏者が当時の空軍軍楽隊のユーフォニアムやテューバにいたからだとか。ライバルには厳しい一方で、親友には華を持たせるように気配りをする(?)という、スミスの人間らしい一面が垣間見えます。

このように見てくると「フェスティヴァル・ヴァリエーション」は単に難しいだけの曲のように思えてきますが、聴く方にとっても非常に聴き応えのある曲です。曲の構成は典型的な急-緩-急と続く吹奏楽のパターンが基本となっていますが、その上に様々な変奏が加えられており、正に「ヴァリエーション」が散りばめられているといったところです。曲を一度でも聴けば、その多彩さに惹かれることは間違いないことでしょう。

ホルンに超絶的なパッセージが当てられている
しかし難しいのはホルンだけではない

スミスの書いた難曲としては他に「華麗なる舞曲」があります。その難度は「フェスティヴァル・ヴァリエーション」と双璧と言われており、吹奏楽に携わる者にとってはどちらも大きな目標となっています。「華麗なる舞曲」も単に難しいだけでなく、「フェスティヴァル・ヴァリエーション」と同様に完成度が高い曲ですが、もしそうでなければここまで演奏され続けなかったことでしょう。今では中学校や高校でもこれらの曲を演奏するところがありますが、これを見るとスミスのお陰で吹奏楽における技術が上がったのは間違いないと言えます。

今回、当団が「フェスティヴァル・ヴァリエーション」を取り上げるのは、演奏の技術的な挑戦ということと共に定期演奏会が25回という節目を迎えた1つの集大成という側面があります。難曲であることはもちろん承知の上ですが、それを乗り越えると今より1段階上のレベルに到達できるのでは、という想いがあります。是非ご来場下さい。

文責:磨墨

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