第28回「陽はまた昇る」に込める想いパイオニア吹奏楽団

コラム

2012年 2月 9日

当団の第22回定期演奏会が終了しました。演奏会当日は多くの方々にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

さて、その定期演奏会のアンコールでは「陽はまた昇る」をお送りしました。この曲は、作曲者のフィリップ・スパークが東日本大震災への支援を目的として書いたものです。具体的には、この曲の楽譜の販売収益を全て義援金として被災地に送るというもので、当団としてもその意に賛同して演奏しました。アンコールとして演奏する前にこの曲についてアナウンスで紹介したこともあり、お客様から見ても例年のアンコールのときとは違った印象があったようです。

「陽はまた昇る」は「日出づる国」日本に敬意を表して題された

このような楽譜の販売を通じた被災地支援プロジェクトはいくつかありますが、スパークはその中でもいち早く自身のプロジェクトを発表しました。記憶では震災発生後、発表まで10日も経っていなかったと思います。自身の住むイギリスからは遠い日本で起きた天災でありながら、このように支援を迅速に具体的な形で表明するとはやはり一流の作曲家であると思わされます。そういったこともあってか、震災発生以降様々な吹奏楽の演奏会でこの「陽はまた昇る」は取り上げられています。

一方でプロジェクトといった大掛かりなものではなくとも、支援のメッセージを表明している吹奏楽関係者は世界各地にいます。この震災に際して、スパークと並んで現代ヨーロッパを代表する作曲家であるベルト・アッペルモント氏からは当団に向けて励ましのメッセージが届きました。定期演奏会のプログラムにも掲載しましたが、以下その全文(和訳)を紹介いたします。

「地震と津波のニュースを見て驚きました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。皆様がこの困難を乗り越えるだけの強さを持っているものと信じています。そして、このようなときにこそ、音楽が安らぎや楽しみを与える何かになるのではないかと願っています」

当団がたまたまアッペルモント氏と縁があるためこのようなメッセージが届いたという面もありますが、日本の単なるアマチュア楽団に過ぎない当団に対してこんな細やかな心遣いを示すところにまた一流の作曲家といわれる所以を見る思いがします。

コラム第13回「作曲家ベルト・アッペルモント氏来日談」参照

第22回定期演奏会のプログラムに掲載されたアッペルモント氏からのメッセージ

当団にとっても震災によって練習日や練習場所に制限が出るなど活動に影響あったため、今までとは違った状況で演奏会を迎えた感があります。実際、例年に比べて練習が不足しがちだったことも否定できません。しかし、そういった中でも例年通り定期演奏会を開催することができ、音楽活動ができる喜びを改めて感じています。「陽はまた昇る」の演奏はそのような想いも込めたものでした。

震災から1年近く経った現在、発生直後や節電対策に追われた昨夏に比べれば世間的には平穏を取り戻しつつあるように思いますが、その反面で日を経るにつれて震災の記憶が徐々に風化していく懸念もあります。その点で、「陽はまた昇る」を演奏することは人々の心をつなぐと共に、そういった風化を防ぐ意味もあるのではないかと思います。当団も日々音楽活動ができる環境に感謝しつつ、被災地への想いも心に留めながら活動を行っていきたいものだと思います。

文責:磨墨

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