第4回『カルメン』の舞台パイオニア吹奏楽団

コラム

2010年12月 1日

「演奏会情報」のページをご覧いただいてもお分かりの通り、当団の第21回定期演奏会の曲目が決まりました。今回はその中で第1部のメインプログラムである『カルメン』組曲について触れたいと思います。

『カルメン』は、元々はフランスのプロスペル・メリメの書いた小説です。それを題材に同じくフランスのジョルジュ・ビゼーがオペラとして作曲しました。上演当初は不評だったそうですが、ビゼーの死後に評価を得て人気を博すに至りました。今では劇中の曲は日本でもCMなどで頻繁に取り上げられ、オペラに疎い方でもフレーズを聴けばそれと分かるほど有名ですが、このような状況を天国のビゼーはどのように見ているのでしょうか。

大航海時代に繁栄したセビリア あのコロンブスの墓もここにある

この『カルメン』の舞台となっているのがスペインのセビリアです。アンダルシアと呼ばれるスペイン南部に位置しており、成り立ちは古く古代ローマ時代からある街です。イスラム勢力の強い時代にはその支配下にもあったため、イスラム教の影響も随所に残っています。大航海時代には新大陸との貿易拠点として非常に栄えました。

こんな歴史あるセビリアで一番の名所といえるのは世界遺産にもなっているスペイン最大級の大聖堂で、観光客は必ずといっていいほど訪れる所ですが、一方で知る人ぞ知るスポットとしてカルメンゆかりの場所があります。それがセビリア大学です。「大学がカルメンと何か関係があるの?」と思われるかもしれませんが、実はセビリア大学の本館は昔タバコ工場であり、カルメンはそこで働いていたという設定になっています。18世紀に建てられたこのタバコ工場は工業施設として当時世界最大のものだったそうで、1950年代まで稼動していました。このような工場の建物がそのまま大学になってしまう、というのも日本人的な感覚ではなかなかピンと来ないですが、これもスペインならではなのかもしれませんね。

街角で踊る女の子たち 
セビリアはスペインの中でもフラメンコの本場

筆者はかつてスペインを旅したことがあり、そのときにセビリアも訪れました。セビリア大学に行くと、日本の大学と同様に普通に学生が行き来している光景が見られ、また本館も由来を知らなければ単なる名門大学の古い建物という感じだったので、最初はちょっと拍子抜けでした。しかし、その場に立って工場だった頃のことに思いを馳せると感慨深いものがあり、見ているうちにだんだんと建物から威厳のようなものを感じてくるのですから不思議なものです。このように観光して回った後に街角でフラメンコを踊っている女の子たちを見て、思わず自分の頭の中にあるカルメンの姿と重ね合わせた記憶があります。

今度の定期演奏会ではこの『カルメン』の組曲を吹奏楽版でお送りします。どれほどカルメンの姿を感じていただけるかは我々次第ですが、是非ご来場の上お楽しみいただきたいと思います。

文責:磨墨

バックナンバー

公式Facebook

パイオニア吹奏楽団の公式Facebookで、演奏会や楽団の活動を紹介しています。

Facebookを見る

お問い合わせ

パイオニア吹奏楽団についてのお問い合わせは、メールフォームにご入力ください。

お問い合わせ

  • 教育支援
  • 環境保全
  • 福祉活動・
    地域社会との交流
  • 紹介動画

「パイオニアの森」をはじめとした活動事例については、Environment(環境)│ 生物多様性・社会貢献ページをご覧ください。