第58回 夢を叶える「レ・ミゼラブル」パイオニア吹奏楽団

コラム

2014年 1月 20日

1月も下旬になり、いよいよ当団の第24回定期演奏会が近づいてきました。今回はその前の最後のコラムとして第2部の最後に演奏する予定の「『レ・ミゼラブル』よりセレクション」に関する話題を取り上げます。

「レ・ミゼラブル」は、元々はフランスの文豪であり政治家でもあったヴィクトル・ユーゴーが1862年に書いた小説です。フランス文学を代表する不朽の名作ですが、1985年にはミュージカルとなってヒットし、現在に至るまでロングラン公演が続いています。更にこのミュージカルを元に2012年には映画化もされ、これまたヒットしたのも記憶に新しいところです。

「『レ・ミゼラブル』よりセレクション」は、そのミュージカルの中で登場する曲のメドレーです。比較的有名なものが選ばれており、「1日の終わりに」「夢やぶれて」「宿屋の主人の歌」「オン・マイ・オウン」「民衆の歌」と続きます。

19世紀後半の「レ・ミゼラブル」のイラスト
大人になったコゼットが描かれている

さて、「レ・ミゼラブル」はそのヒット故に、これらのメドレーに登場する曲の影響も大きいものがあります。ここではその様子を見ていきたいと思います。

まず、最も有名な例としてはスコットランドのスーザン・ボイルさんによる「夢やぶれて」のカバーがあります。一介の素人に過ぎなかったボイルさんは2009年に行われたテレビでの公開オーディションで「夢やぶれて」を歌って一躍脚光を浴びました。その後、動画サイトで驚異的な再生回数を記録し、日本でもNHK紅白歌合戦に出場したりCMの挿入歌を歌ったりと活躍しています。「夢やぶれて」は、曲中の絶望感とは逆にボイルさんにとって夢を叶えた曲として今後も語り継がれることでしょう。

日本では昨年、華原朋美さんが「夢やぶれて」のカバーを発表し話題になりました。健康面や精神面の不調により長らく芸能活動を休止していた華原さんですが、この曲と共に劇的な復活を遂げました。ボイルさんとは違った意味で華原さんも「夢やぶれて」により復活の夢を叶えられたといったところでしょうか。余談ですが、華原さんのデビュー時に所属していたレコード会社は当時パイオニア傘下にあったパイオニアLDC(現・NBCユニバーサル)です。

原作者のユーゴーのお膝元であるフランスでも「レ・ミゼラブル」は人気です。2000年に開催されたシドニー五輪の開会式では、フランスの選手団の入場行進曲に「レ・ミゼラブル」から「夢やぶれて」「オン・マイ・オウン」「民衆の歌」などのメドレーが使われました。五輪は参加選手にとって夢の舞台ですが、その開会式に採用されたところにフランス人にとって「レ・ミゼラブル」がその場にふさわしい作品であると捉えられていることが窺えます。

2013年世界フィギュアスケート選手権の会場・バドワイザーガーデンズ
キム・ヨナ選手が優勝 浅田真央選手は3位だった

五輪といえばこの2月に開催予定のソチ五輪が近づいてきていますが、フィギュアスケートの浅田真央選手のライバルである韓国のキム・ヨナ選手は2013年の世界選手権のフリー演技の音楽に「レ・ミゼラブル」を採用し、見事優勝を飾っています。前年のシーズンを怪我で棒に振っていたキム選手でしたが、「オン・マイ・オウン」や「民衆の歌」などを採用したメドレーをバックにした圧巻の演技でその健在ぶりを示し、五輪連覇への夢に向けて一歩を踏み出しました。ソチ五輪では日本人としてはもちろん浅田選手を応援したいところですが、前回の五輪に続いて2人のハイレベルな対決は今から楽しみです。

このように「レ・ミゼラブル」は原作やミュージカルを超えて様々な人々の夢に関わるほどの力を持つようになっています。それほどの影響を与えるようになるとはユーゴーも想像していなかったに違いありません。当団としてもボイルさんや華原さんほどではなくとも、来ていただいた方々に一時の夢をお見せできるような演奏を行いたいと思います。是非ご期待下さい。

文責:磨墨

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