第19回 見上げた夜空の先に浮かぶ「坂本九」パイオニア吹奏楽団

コラム

2011年 8月 8日

当団の第9回アンサンブルコンサートが終了しました。演奏会当日は多くの方々にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

前回のこの欄でも述べたように、この度のアンサンブルコンサートでは「見上げてごらん夜の星を」を曲目の1つとして取り上げました。ステージの最後に演奏したのですが、やはり坂本九さんの歌った名曲ということもあってお客様からの反応はよく、アンケートでも高評価でした。

火星と木星との間にある無数の小惑星

さて、そんな「見上げてごらん夜の星を」ですが、夜に空を見上げると、その先に「坂本九」が浮かんでいることをご存知でしょうか。このように書くと何か坂本九さんの魂が浮いているといった文学的なレトリックのように思われるかもしれませんが、そうではありません。実際に「坂本九(Kyusakamoto)」という名の星が存在しているのです。正確には小惑星で、火星と木星の間の小惑星帯の1つを構成しています。

この小惑星帯は無数の小惑星から成っており、既に発見されているだけでも20万個以上に上ります。発見された小惑星には番号が振られ、さらに発見者は自分の発見した小惑星に命名権を持つので、小惑星によっては独自の名前を付与されることがあります。

そのような小惑星の中に、日本人の天文家によって発見された「6980番」の小惑星があります。その番号に「上を向いて歩こう」の歌手である坂本九さんの「九」、作詞の永六輔さんの「六」、作曲の中村八大さんの「八」が入っていることに気づいた人がいて、発見者に伝えました。そうして命名されたのが小惑星「坂本九」です。ただ、名づけられたのが1998年のことなので、坂本九さん(1985年没)はこのことを知らずに亡くなっています。

坂本九さんの卒業した小学校に掲げられている昔風味の看板

この「坂本九」のように特定の名がつけられたものは実に多く存在します。音楽関係では「バッハ(1814番)」、「ベートーヴェン(1815番)」、「ショパン(3784番)」などのほか、天体をテーマとした曲として有名な組曲『惑星』の作曲者から「ホルスト(3590番)」と名づけられた小惑星もあります。日本人の名を冠したものでは、「廉太郎(8877番/滝廉太郎より命名)」、「伊玖磨(17509番/團伊玖磨より命名)」などがあります。

小惑星は先ほども述べたように20万個以上発見されているので、作曲家だけでなく、歴史上の偉人や天文学者、果てはアイドルに至るまでいろいろな人や物の名に因んで命名されています。しかし、そんな中にあっても「坂本九」のように小惑星の番号と命名された名前が関連するというものはほとんどありません。その点で「坂本九」は特別な存在といえるでしょう。これも坂本九さんの遺徳でしょうか。肉眼では捉えられない小さな星ですが、坂本九さんの送り出した数々の名曲を演奏するとともに、「坂本九」の浮かぶ夜空にも想いを馳せたいものだと思います。

文責:磨墨

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