第35回「ディスコ・キッド」の今昔パイオニア吹奏楽団

コラム

2012年 8月 1日

当団の第10回アンサンブルコンサートが終了しました。演奏会当日は多くの方々にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

さて、その第10回アンサンブルコンサートでは「ディスコ・キッド」をクラリネット5重奏でお送りしました。「ディスコ・キッド」は、元は1977年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲として大編成用に書かれた曲です。その頃までコンクールの課題曲にポップス系のものはほとんどなかったのですが、この「ディスコ・キッド」の登場以降、ポップス系の課題曲が流れとして定着しました。35年も前の曲でありながら吹奏楽ファンの間では今でも非常に人気が高く、当団でも第16回定期演奏会のアンコールに採用したことがあります。

クラリネット5重奏による「ディスコ・キッド」

この曲の特徴の1つとして、曲の最初の方で「ディスコ!」と演奏者が叫ぶところがあります。元の楽譜にはこのような掛け声の指示などないのですが、当時のコンクールである団体が採用したことがきっかけで、今ではどの演奏においても「ディスコ!」と叫ぶのが当たり前のようになっています。とはいえ、社会人にもなるとステージ上でこのように思い切り掛け声を出すのがだんだんと気恥ずかしくなり、曲の中で一番練習を要するのが掛け声・・・などということも(?)しばしばです。

この「ディスコ・キッド」が今なお人気なのはそのサウンドが色褪せないところにあるのは間違いありませんが、一方で1点だけ時代を感じさせる箇所があります。それは曲名に「ディスコ」とある点です。今では「ディスコ」はほぼ「クラブ」という言葉に置き換わり、あまり目にすることはなくなりました。背景には風営法の影響などがありますが、このような呼称の変化も時代の流れといえそうです。

ディスコ(クラブ)の歴史を紐解いてみると、日本に入ってきたのは1960年代といわれています。今では考えられないことですが、1970年頃までのディスコでは生バンドによる演奏とDJ(ディスクジョッキー)によるレコード演奏の両方がありました。自由といえばそれまでですが、スタイルが確立していなかったともいえるでしょうか。それが「ディスコブーム」が巻き起こった1970年代後半にはDJによるプレイに集約され、華麗にレコードを操るDJは一躍注目される存在となりました。

本社のロビーに展示されているパイオニア製のDJ機器
世界中のクラブで使用されている

その後、DJが扱っていたレコードはCDに置き換わり、更に今ではファイルミュージックが中心の時代になっています。その中でも、特にレコードからCDへの移行期においてはDJ機器メーカーであるパイオニアもクラブシーンに多大な影響を与えました。そう考えると、パイオニアもクラブを楽しむ現代の「ディスコ・キッド」たちのために大いに貢献しているといえそうです。とはいえ、音楽メディアやプレイスタイルは変われども、DJが聴衆を熱狂させている点だけはいつの時代も変わらない風景です。

「ディスコ・キッド」の発表された1977年は、前述の「ディスコブーム」の真っ只中でした。流行だったとはいえ、サブカルチャーとされていたディスコが吹奏楽の曲のモチーフになったというのは当時では画期的だったことでしょう。そして時代は変われども、新しいサウンドを生み出すダイナミズムがディスコ=クラブには常に存在しており、音楽の各方面に様々な影響を与え続けています。想像し難いことではありますが、ひょっとしたら将来クラブのサウンドが吹奏楽に取り入れられて「ディスコ・キッド」に匹敵するような名曲が生まれる、などという日が来るかもしれませんね。

文責:磨墨

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