#15 ブラジル編 サウンドバムガイド

日本の23倍....といっても想像できない広さ。しかも、アマゾンを始めとするジャングル、そして湿地帯・高地・海岸地帯、すべて気候も環境も違う。その中で様々な人種が共存しているブラジル連邦共和国。
音楽の中心地バイーアの州都サルバドールは、かって200年に渡りブラジルの首都でした。そこは今なお、宗教儀式カントンブレや格闘技カポエイラなど興味深い黒人文化が色濃く残っています。そしてヨーロッパの町並みが保存されている旧市街(セントロ)は世界遺産に登録されています。
大都会のリオは「一月の川」と言う意味、ここもかっては首都。映画「黒いオルフェ」でも有名になりましたが、コルコバードの丘からはすばらしい港と市街を見渡せます。そして今年のカーニバルをめざしサンバチーム(エスコーラ・ヂ・サンバ)の練習が始まっていました。練習といっても2,000人規模のダンスパーティ状態。みんな朝まで踊りながら練習します。
どちらも熱くて危ないブラジルの魅力たっぷりの音の旅でした。

アクセス

空路
  • 成田 → ダラス アメリカン航空 12時間
  • ダラス → サンパウロ アメリカン航空 11時間
  • サンパウロ → サルバドール タム航空 2時間
  • サルバドール → リオ タム航空 2時間

*待ち時間をいれると24時間以上たっぷりかかります。直行便で24時間弱。やはり、地球の反対側は遠い。のんびりかまえて行きましょう。しかし、ブラジル国内の移動は、以外と早いのです。

宿泊

サルバドールでは海のそばのホテル。夕陽が美しいし、浜辺の散歩、海水浴も可能。コンサート会場は歩いてすぐで便利で快適なホテル。なんと海水パンツ姿の客も。リオではコパカパーナ海岸のすぐそば、比較的安全で、海岸の散歩、ショッピングにも便利なホテルです。リオでは安全がいちばん。イパネマもタクシーですぐです。

気候

日本と反対なので、冬は夏。日中は30度くらい。日本の夏を考えれば、湿度が少ないかなと言う感じ。日差しが強いので、帽子、サングラスが必用。リオでは結構雨が降っていて、カッパなどが必用でした。

サウンドバム

バイーアは音楽の中心地。コンサートではバイーア出身大物から今売りだし中の人まで、ブラジル音楽の最前線と言う感じでしょうか。そして、カポエイラはとにかくその動きの早さにびっくり、音楽は単調な内にも盛り上がります。音楽がないとカポエラではないとのこと。
そしてカンドンブレ。宗教儀式のため、一般人はなかなか入れない、そこで今回はそれを行うダンスシアターへ。これがまたすごかった。海外公演をこなす、ダンスカンパニーでその芸術性は高い。さらに怪しげな市場へ散策、実はここがお勧め! 地元の人の通う市場なので生活感に溢れた音がいっぱい。最初はこわごわでしたが、実はみんな好意的。その他海辺の音、世界遺産に登録された旧市街地の音といろいろ楽しめます。

リオのメインはやはりカーニバルの練習。一人ではなかなか行けませんが、練習会場に入ってびっくり、2,000人以上はいる人人人。みんな合唱しながら踊っている、パーティ状態、これは今年のテーマ曲を覚える練習とのこと。この状態が朝まで続きます。
リオの息抜きにはリオ対岸のニテロイの町やパケタの島へ、安全でのんびりして別のリオが楽しめます。あとはコルドバードの丘で、超俯瞰図を。そして、ライブハウスでボサノバを聴いて、ゆっくりと音に酔う旅でした。

バム後記 by 川崎義博

とにかく今回は行く前から、危ない!要注意!と言う事でしたが、これは別の意味を持っていました。とにかく、バイーアに一度魅入られると、これは危ない。奥底が深く、歴史のある音だけ出なく、いまブラジルで最も力がある音楽が聞ける。
この音楽シーンをささえるのは、やはり奴隷として運ばれてきた黒人達の底知れない力かもしれない。

そしてそれを育てて行く、ブラジルと言う若い国、バイーアという土壌。そう、バイーアはやはり土地全体がパワーを持っている、音楽を生み出す力を。実はそう言う場所は、いろんな魅力ある音に溢れているのです。
バイーアを去ってからみなが懐かしがったのがよくわかります。もう一度きっと訪れる所、そんな街なのです。

かわってリオは更に危ない街といわれていましたが、行った先が良かったのか、無事でした(勿論かなり注意はしていましたが)。そして、いちばんの体験はやはり、マンゲイラの練習が見れたこと。練習もああ言う風に、パーティ、コンサート状態にしてしまう人達に感動。みんな熱い!元気だ!貧困の中で、カーニバルにかける人生。確かに踊っているとこれも人生、これで充分と(白根さんの言葉でないが)思います。
リオのほかの音もそれぞれ良いのですが、この練習の体験が強すぎて、それなりにと言う感じになってしまった感があります。「まあ、人生踊るしかないかな。。。」と言ったら、白根さんに「あたりまえでしょう!」

例によって岡田さんとのヤキトリ屋対談では、岡田さんは「やはりカポエイラを生で見た体験がすごかった。ビリンバウが響く中、とにかく修練を積んだ人達の体、そして動きに感動してしまった」とのこと。そして、「オスカーニーマイヤ(ブラジリアをデザインした建築家)の美術館が見れたこと」。

「おーい!岡田さん音は?」と聞くと「サンバショーにペレの本物が来た事」。「それだけ?」と聞いていくと、「教会でギターでミサをやっていたのがよかった。それと、やっぱりサルバドールの市場かな、いろんな音が溢れていて」と、個人的な好みを。「そうそうガルコスタも聞けたし」、つづいて「なんといっても、パケタ島で、馬車の音を車などの騒音なしで録音できたのは、すごいうれしい」と。そういえば、世界ひろしといえどもここだけかも。こんなにロング(長く)録音できるのは。

話すうちにこうやって、ぽろぽろ良い音が飛び出す。しかし、持病にみまわれ、足を引きずっての取材はつらそうでしたが、シェラスコの肉を次々と平らげる姿に同情はありませんでした。
しかし、年寄り3人(白根、岡田かわさき)が最後まで肉を食べていたのは、なぜでしょう。サウンドバムメンバーはたくましく、楽しい。やはりラテン気質なのかも。帰ってから音を編集しつつ踊ってしまいました。みなさん一緒に行きませんか?次はさらにディープな音に近づこうと心を決めています。行きませんか?

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