津村:普通、気功というと医療気功(病気を治す気功)を思い浮かべると思いますが、本来の気功の中で医療気功は、ひじょうにマイナーで部分的なものです。もともと気功は、自分で自分のカラダをよくしていく、養生というようなものであって、専門家が外側からやってあげるものではない。自分で、自分のバランスを絶えず回復しておくものです。
津村:気功科に回されてくるのは、難病かありふれた病気なんですよ(笑)。肩凝りなんて、治しようがないでしょう。内科でも整形外科でも、なかなか治せないわけですよね。そういう肩凝りや目の疲れといったありふれたことを治すのと、胃潰瘍など心身症的なものを治すことと、慢性化して手がつけられないようなもの、薬でも手術でも治らないようなものを気功で治していく。その3つが、主な医療気功です。
津村:響かせて、呼吸を整えることもあるしね。座禅をやっている人には盲点になっているんだけれども、声を出していたほうがずっと無になれるんです。マントラというか念仏をやっていたほうが、座禅をやっている人よりも、かえって瞑想状態が深かったりするんです。そのマントラは南無妙法蓮華経でも何でもいい、というと怒られるけれども(笑)。
津村:感覚を開いていくというか、開いたうえで、自分にとって都合のいい音を選択していくのかもしれませんね(笑)。つまり、気持ちのいい音しか聴かない、というふうにしてしまうわけですよ。
津村:そういうところに入って黙っていると、自分の中から音がし始めるということを、みんな言いますよね。さっきの「ソォーン(SONG)」もそれに似ているんですけれども、チベット密教のいちばんもとになる声音が、この「オン」という音なんです。「ONG」と書くんですけれども、Oを言ってからNGを言うのではなくて一緒に言うんです。「ンー」という音をずっと出していく。本当は「オン」と「ア」と「フム」という3つの音を、同時に出していくんです。津村 喬(つむらたかし)
1948年東京生まれ。1970年早稲田大学第一文学部中退。在学中より評論活動、現在に至る。1964年に訪中して初めて気功・太極拳を習う。1987年関西気功協会設立、代表となる。1998年私塾として大津気功会を設立。各地で気功を指導。96年よりメールマガジン「ナビゲーター」編集主幹。「ボディスペース」編集発行。自分と家族の文章をだしていくための湖西文庫主宰。大津市の比叡山麓に在住。