#08 ビキン・極東ロシア編 サウンドバムガイド

極東ロシア・ビキン川(Russia)

ビキン川は、世界最大の森林地帯「タイガ」の一角、ロシアの沿海地方を流れる美しい川。
狩猟民族の生活に寄り添うこの川は、世界遺産に選ばれている。

アクセス

空路
  • 新潟 → ハバロフスク(飛行機 約3時間)
陸路
  • ハバロフスク → クラースヌイヤール村(車 約6~8時間)

宿泊

クラースヌイヤール村は、ビキン川中流域にある、人口約800人の村。ウデゲ族やナナイ族などツングース系の先住民族やロシア人など、いくつもの民族が寄り添い暮らしている。村に宿泊施設はなく、サウンドバムのツアー参加者は3~5人ほどの単位で、いくつかの家々にホームステイをさせていただいた。これらのアレンジは、以前からタイガのエコツアーを組んできた「国際環境NGO FoE Japan(旧称 地球の友ジャパン)」と現地の信頼関係によっている。

国際環境NGO FoE Japan(旧称 地球の友ジャパン)

自然

9月の気候は年により異なる。サウンドバムが訪れた2001年は、滞在期間中に初霜がおり、遠い山には冠雪する寒さだったが、一昨年はかなり温暖だったとのこと。タイガでは南部にあたるこのエリアの植生は、針葉樹ばかりではなく、ナラやタモなどの広葉樹も混ざった混合樹林帯。森の上を渡っていく風が鳴らず梢の音も心地よい。

バムスタッフ・西村佳哲の
ビキン川バム
一人語り

今回のバムには、昨年WTC事件の余波を受け、パイオニアの岡田晴夫氏が録音に同行できませんでした。
普段ここでは、サウンドバムから見た現地の話を対談形式で紹介しています。が、今回は僕一人の語りで書き留めようと思います。

二つ前のバムで訪れた台湾(#05)と同じように、タイガは、日本のすぐ傍らにあります。
が、おそらく多くの日本人は、ほとんど意識することなく暮らしているのでは? 少なくとも僕はそうでした。

シベリアと聞くと、永久凍土・ツンドラなどの言葉が頭に浮かびます。しかし季節を選べば決して極寒の地ではないし、自然環境は圧倒的に豊かで、多くの動植物が生息する希有な土地なのです。
東京都の6倍の面積に狩猟民40家族が暮らしているという、その生活のスケール感は、現地を訪ねた後でもまだ想像がつかず、ファンタジーの領域を出ません。ちなみに一頭のアムール虎が必要とする猟場も、数十から数百平方キロメートルだとか。これも想像つかず。

しかしそこは確かに、動物・人間ともに、広い世界をゆったりとしたペースで生きている。そんなリズムが感じられる場所でした。

ビキン川流域をになうシホテ-アリニ山脈は昨年12月、ブラジルの草原地帯(セラド地帯)やイギリスの沿岸地帯(ドーセット/デボン)とともに、世界遺産として登録されました。
今後、旅へ向かう人は徐々に増えることでしょう。

急な寒さから、キャンプサイトでの活動が制約された今回のバムは、森の中で過ごす時間を十分に取ることができなかったのが残念です。
恒例のサンライズレコーディングやナイトハイクも、十分に出来ませんでした。

しかし滞在した村で、近隣の他民族が集う年に一度のお祭り(運動会兼)が開催され、子どもから高齢のシャーマンまで、様々な歌と踊りを楽しませてくれました。
ホームステイの体験と併せ、これはとても面白かった!

世界中のどの場所でも、音楽は、その場の自然・気象・文化・言語・仕事....、それらすべてを土壌とした一種の作物のようなものではないでしょうか。
歌をつむぐ人は、いわば大地に生えた果実樹のようなもので、結ばれた実はその場所の特性すべてを表現している、かけがえのない結晶体です。
キューバのサルサも、ポルトガルのファドも、ハワイアンも沖縄民謡も、閉ざされた密室で生まれた音楽ではありません。
音楽は、その場の暮らしの背景で常に鳴り響いている、波や椰子の葉のリズム、雨がうち鳴らす森の音、いつのまにか鳴き止むカエルたちの合唱、そうした生きている世界と切り離すことの出来ない、その場の全てのエッセンスなのだと僕は思います。
テクノやポップスも同じコトで、それは都市や建物や現代文化という新しい自然から、同じく果実のように生まれている。

旅先で僕らが音楽を耳にする時、それはその土地の作物を、耳からいただいているようなことだと思うのです。

ビキン川のほとりで耳にした素朴な音楽や歌声は、とても消化が良さそうで、味付け的にははやや薄目のそれを、僕らはゆっくり味わうことが出来ました。
旅の最中、時間はいつもよりずっと余分にあります。
クラースヌイヤール村では、それがいつもよりさらに多く感じられたのは、なぜでしょうか。:-)

(02/02)

#ビキン川流域の豊かな森には、同時に森林伐採問題の現実も存在します。これまでの現況に興味のある方は「FoE Japan」のシベリア森林保護活動をどうぞ。
同ページには、#08バムの参加者によるツアー体験記も掲載されています。

シベリア森林保護活動

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