オーロラは、高感度フィルムで数十秒露出した写真とは全く異なり、単に白っぽいものだった。
遠くアラスカまで来て、寒さに凍えながら、オーロラが出てくるまでじっと耐えるという儀式がなければ、 それは網膜上に映し出された、白いぼんやりとした光の染みとしか感じられなかったに違いない。
翌朝、眠い目をこすりながら階段を降りていくと、キッチンからおいしそうな食べ物の香りとともに、 朝食を準備する渡部さんの笑顔が見えてきた。ベーコンをカリカリに炒めるあまりにもおいしそうな音に誘われてサウンドバム。ヘッドフォンを着けて、 マイクをフライパンの中に落としてみたら、そこは異次元の世界。 自分がベーコンだったら、こんな音が聞こえてくるのかも。（焼けしんでいなけりゃね＾_＾)

「なにない今の鳴き声！」それは今まで耳にしたことのない鳥の鳴き声でした。 ことばにすると、”カコーン”。あとからあれはワタリガラスだと聴き、その鳴き声と”カラス”というのがなんだかしっくりこなくて、 いやもっとドラマチックな名前であってほしかったと思いました。
”カラス”と呼ばれる種類の鳥がどれくらいいるのか分からないけど、私が知っているカラスの鳴き声は”カァカァ”でした。こちらの子供たちは、 この鳴き声をきいて家路につくのだろうか、なんてことも思ったりしました。