


情報開示に努めています
パイオニアグループは、TCFD※提言に賛同し署名しています。
またパイオニアグループは、環境方針に掲げているように、気候変動への対応に関連した情報開示の強化を目指して、
TCFD提言にて推奨されるフレームワークに基づいた情報開示に努めています。
Task force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース
パイオニアグループは、気候変動への対応を最も重要なESG課題の一つとして捉えており、2050年のカーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。その実現のため、以下のガバナンス体制を構築して取り組みを推進しています。
パイオニアグループでは、気候変動を含むサステナビリティ関連課題への対応をパイオニア取締役会(7名、うち社外取締役2名)の諮問機関であるCSR委員会を通じて監視・監督しています。
パイオニアグループは、社会の持続可能(サステナブル)な発展に貢献するため優先的に取り組むテーマをマテリアリティ(重要課題)として特定しています。取締役会の諮問機関として設置しているCSR委員会において、気候変動など環境課題を含めたマテリアリティの決定、マテリアリティを含めたESG課題への対応指示、重要課題に限らず気候変動課題に関する対応の進捗と実績のモニタリングを行うとともに、毎年定期的にその活動における事項について取締役会に答申・上申または報告をしています。なお当委員会では、ESG課題の抽出やマテリアリティの決定にあたって、取締役会で決議された経営方針や経営計画と整合性が図られているかの観点で慎重な審議を行っています。
当委員会は年に2回以上、定期的に開催するほか、取締役会からの諮問があった場合、もしくは委員長である代表取締役社長が必要と判断した場合には、その都度開催しています。
パイオニアグループでは、CSR委員会の委員長を代表取締役社長が務めています。
ESG課題への取り組みが取締役会において適切に監視・監督がなされるよう、社外取締役や気候変動課題に幅広い見識や専門性を備えたメンバーがその委員またはオブザーバーとなり、さまざまな視点による議論・報告をしています。
パイオニアグループは気候変動課題に対して、代表取締役社長を最高責任者とする業務執行体制を構築しています。また、代表取締役社長は環境担当執行役員に対して気候変動に関する業務執行の職務を委嘱しており、環境担当執行役員は環境推進委員会および環境統括部門を統括するなど、気候変動に関する業務執行体制の実効性を確保しています。
環境担当執行役員は、代表取締役社長の下で環境推進委員会の委員長を務めるとともに、気候変動を含む環境関連の業務執行を、パイオニアグループ横断的に統括しています。また、気候変動課題の抽出やその対応を環境推進委員会で審議・決定する際には、経営方針や経営計画との整合を図るとともに、それらの大幅な変更が必要な場合には、その都度見直しを実施するなど、気候変動課題に関するPDCAサイクルを構築しています。また、経営への影響が大きいと判断される気候変動課題やその対応について、環境担当執行役員は取締役会の諮問機関であるCSR委員会に付議・報告するとともに、必要に応じて取締役会に報告し、その判断を仰ぐこととしています。さらに環境担当執行役員は、社長執行役員の指示・決定事項に基づき、関連するパイオニアグループの事業部門・管理部門・子会社等にその具体的な対応を指示しています。
環境統括部門は、環境担当執行役員の指示の下、気候変動課題に基づく事業における機会およびリスクに関する情報をCSR委員会へ報告しています。CSR委員会では、環境統括部門による報告をもとに、環境への貢献に繋がるビジネスモデルをCSV※の視点で捉えています。その中でも特に注力すべき活動テーマをマテリアリティとしてCSR委員会で審議し、取締役会で決定しています。取締役会では、中期の時間軸でCSVの実現可能性・成長性を判断し、パイオニアグループ全体の経営計画に盛り込むことにしています。
CSV:Creating Shared Value 企業価値と社会的価値の共通価値の創造
環境におけるマテリアリティ
取り組んでいるマテリアリティの詳細については、「マテリアリティと実績」のページに記載しています。
パイオニアグループの各会議体の役割や責任者および直近1年間における気候変動課題に関して討議した実績は、以下の通りです。
会議体 | 役割・機能 | 委員長・議長 | 構成メンバー |
---|---|---|---|
取締役会 |
|
代表取締役社長 (議長) |
代表取締役、取締役(うち社外取締役2名) |
CSR委員会 |
|
代表取締役社長 (委員長) |
委員長(代表取締役社長)、副委員長(CSR部門の担当執行役員)、委員およびオブザーバー(当社・グループ会社の取締役・執行役員・責任者等の中から委員長が決定) |
会議体 | 開催年月 | 審議内容 |
---|---|---|
取締役会 | 2024年5月 | CSR基本規程改定の承認、環境活動を含む マテリアリティ・価値創造プロセスの承認(見直し含む) |
CSR委員会 | 2024年2月 | 次年度の環境活動を含めたマテリアリティの見直し(SBTi申請に向けたGHG排出量算定プロセスと目標の見直しを含む)、CSR基本規程の改定 |
2024年3月 | 価値創造プロセスの変更案、マテリアリティ変更に伴うKPI変更案 | |
2024年8月 | CDPへの回答準備を通じた環境関連の「リスク」「機会」 影響度合い・活動計画・対応策の審議 |
|
2024年10月 | 環境活動を含むマテリアリティの進捗管理のための指標見直し |
パイオニアグループは、「1.5℃シナリオ」「4℃シナリオ」の両面からシナリオ分析を行って気候変動におけるリスクと機会を特定し、グループに与える重要な影響を評価しています。なお各シナリオについては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などの情報を参考に決定しています。
パイオニアグループが想定しているシナリオ(世界観)に基づいたリスクと機会の概要は、以下のとおりです。
1.5℃シナリオ (世界観) |
機会 |
|
---|---|---|
機会 |
|
|
リスク |
|
|
リスク |
|
|
4℃シナリオ (世界観) |
機会 |
|
機会・ リスク |
|
|
リスク |
|
分類 | 項目 | 2030年 シナリオ |
2050年 シナリオ |
中期的な 取り組み |
目指す姿 (2030年頃) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
移行 リスク |
政策 | 炭素税や排出量取引制度の価格上昇による利益減少や生産コスト増加 |
|
|
|
再エネ・省エネ・蓄エネなど様々な施策を検討し、安定的な長期計画に沿った事業を進める。具体的な削減活動を行っても不足する場合にはカーボンクレジットや証書にて対応する。 |
評判 | ステークホルダー要請への対応不足による評価低下 |
|
|
|
確実な削減施策により、計画を前倒しした排出量削減を達成する。 | |
|
|
|
国内の上場基準または国際的な標準など市場が求める項目に沿った情報開示を行い、投資や協業を呼び込める体制とする。 | |||
物理 リスク |
急性 | 自然災害の激甚化による事業停止 |
|
|
|
被害発生時には、従業員の安全確保とともに自社設備内の影響を最小化できており、周辺地理環境の影響がなければ速やかな事業再開が行える。 |
機会 | 製品・ サービス |
低炭素製品・サービスの拡大 |
|
|
|
燃費や電力消費率の改善など低炭素化製品・サービスの企画・製品におけるビジネス比率が上昇している。 |
市場 | モビリティ市場における環境変化(消費者/事業者の行動変化や異常気象への対応困難) |
|
|
|
モビリティ業界において、移動における事故低減ソリューションサービスのリーディングカンパニーとなる。 |
4℃シナリオ(世界観)に基づいた重要な水害リスクの特定
パイオニアグループは、水害リスクを重要なリスクと特定し、事業への甚大な影響が懸念される国内外の生産拠点において具体的なリスク評価を行いました。
リスク評価の方法は、ハザードマップおよび洪水リスク分析診断ツールを参考にしました。リスク評価の結果、異常気象による洪水リスクが高い拠点は、日本の川越事業所とタイの生産工場と判断しました。
特にタイ工場のあるエリアは、過去に大規模な洪水被害を受けていることから、その経験を活かして洪水被害リスクの低減に取り組んでいます。
タイ国の政府においても、遊水地の増設、主要ダムの強化・拡張とともに都市部や農地の周辺に堤防設置、主要な河川・運河への水門設置などの対策を施していると確認しています。
当社も、当社工場が所在する工業団地による堤防の強化や水位モニタリングなどの対策取り組みと組み合わせて被害低減を図っています。
パイオニアグループでは、事業におけるリスクを適切に把握・管理するために必要な体制を構築し、気候変動課題を含めた重要リスクを特定するため、リスクアセスメントを実施するとともにアセスメント結果に基づくリスク対応の優先順位の決定を行っています。さらにグループ内におけるリスクマネジメントの実施状況について、年に2回以上、定期的にモニタリングがされています。
パイオニアの各部門・関連会社は、所定の実施プロセスに基づいて、それぞれ担当する事業・業務におけるリスクの洗い出しを行っています。企業価値や人命、利益への影響、将来まで見据えた発生確率、影響範囲などの指標によりリスクの重要度を判断するとともに、1億円以上の被害総額が想定されるリスクについては気候関連課題におけるリスクも含め漏れなく抽出することとしており、抽出されたリスクの中から重要リスクを決定しています。その後、重要リスクに関する具体的なリスクシナリオの特定やリスク対策の具現化を行い、リスク対策の実行責任組織の活動に紐づけされることになります。
なお、被害想定額が1億円以上の案件が発生した場合は、重大な事項として、気候関連課題への不十分な対応による企業価値の低下や炭素税上昇などによって引き起こされるコストの発生なども考慮の上、代表取締役社長へ報告することを義務付けています。
気候変動課題に基づく事業戦略や財務に対する重要なリスクとして、自然災害激甚化など外部環境変化による事業停止や損害拡大、炭素税上昇などのコスト増加による利益圧迫を挙げています。また、不適切なGHG排出量削減実行や、気候関連課題に関する不十分な情報開示によりステークホルダーからの評価が悪化し、販売機会の喪失・売上減に繋がることも重要なリスクとして認識しています。
ESG関連リスクについては、代表取締役社長が委員長を務めるCSR委員会において、重要であると特定されたリスクへの対応策やマテリアリティに設定されたKPIの進捗報告を、それらに関連する事業部門やグループ関連会社が四半期ごとに行っています。当委員会では、それらの実施状況の管理・評価を行うとともに、マテリアリティなどの抽出項目や対応レベルを適宜見直しています。抽出項目に関して追加・修正すべきテーマが発生した際には、速やかに見直しを行い、PDCAサイクルを回しています。さらに、取締役会による監督機能を徹底するため、CSR委員会での審議事項のうち重要なものについては取締役会へ報告され、是正処置の指示や承認を受けることとしています。
環境におけるマテリアリティ
取り組んでいるマテリアリティの詳細については、「マテリアリティと実績」のページに記載しています。
環境におけるリスクと機会
詳細のリスクや機会については、上記「2. 戦略」の中で記載しています。
パイオニアグループでは気候関連のリスクや機会を管理するため、下記の指標・目標を設定し、GHG排出量削減に取り組んでいます。
カテゴリ | 目標年 | 環境目標 |
---|---|---|
スコープ1~3 | 2050年度 | カーボンニュートラル達成 |
カテゴリ | 目標年 | 環境目標 | GHG排出量 | 2023年度 削減率 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
2020年度 基準年 (tCO2) |
2030年度 目標年 (tCO2) |
2023年度 実績 (tCO2) |
||||
スコープ1・2 | 2030年度 | 2020年度比で▲42% | 33,842 | 26,912 | 19,628 | ▲20.5% |
スコープ3 Cat1・11 |
2030年度 | 2020年度比で▲42% | 1,943,566 | 1,127,268 | 1,457,676 | ▲32.1% |
上記の短期目標は、SBTi(Science Based Targets initiative)による認定を取得しています。
環境目標 | 目標年 | 内容 | 2024年度 基準年 (%) |
2024年度 実績 (%) |
2029年度 目標 (%) |
---|---|---|---|---|---|
スコープ3 Cat1 サプライヤー エンゲージメント※ |
2029年度 | 当カテゴリのGHG排出量の10%にあたるサプライヤーに対し、科学的根拠に基づいたGHG排出削減目標の設定を促す | - | - | 10% |
サプライヤーエンゲージメント:2024年に設定しましたので、過去の実績は記載がありません
詳細情報は、「環境データページ」に記載しています。