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包括的産学融合アライアンス継続について−有機系エレクトロニクス・デバイスによる新産業創出に向けてのさらなる取り組み−
京都大学(総長:尾池和夫)と、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)、パイオニア株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:須藤民彦)、株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長:古川一夫)、三菱化学株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:小林喜光)及びローム株式会社(本社:京都市右京区、取締役社長:佐藤研一郎)の5社は、次世代の有機系エレクトロニクス・デバイス革新技術の研究開発による新産業の創出を目的とした包括的産学融合アライアンスの枠組みで、平成14年8月1日より共同研究を行って参りましたが、本年3月31日をもちまして当初の5年間の契約期間が終了致しました。 この間に得られた研究成果につきまして、京都大学と5社で検討を重ね、成果の一部については、実用化に向けたさらなる共同研究が必要であるとの合意に至ったことから、この度、新たな枠組みでアライアンスを継続する基本契約を締結致しました。 ここに、5年間の主な成果と今後のアライアンスの概要についてお知らせ致します。
5年間の共同研究の成果は、135件(国内出願、国内優先権主張出願、外国出願を含む)の共同出願特許に集約されております。早期に出願したものは、現在権利化の手続きに入っております。これらは、学術的にも高いレベルにある研究であり、194件の学術論文・学会発表により(特許出願後に)公表されております。 本研究の主な成果としては、以下のものが挙げられます。(1)バイオナノファイバー補強透明フレキシブル基板材料の開発、(2)色素増感チタニア太陽電池のパネルの試作、(3)有機薄膜太陽電池の開発(4)有機発光トランジスタ材料、および新規素子構造の開発、(5)フォトニック結晶を利用する有機発光デバイスからの光取り出し効率の改善、(6)カーボンナノチューブの選択的可溶化を利用する新規精製法の開発、(7)新規3次元光記録材料の開発、(8)有機導電、記録材料の電子状態に関する理論的研究。これらの成果は、記者会見等の方法により報道機関にも逐次お知らせして参りました。 これらの大きな成果をあげることができたのは、大学、5社双方の研究レベルが高いことに加えて、本共同研究の運営方法が特徴的かつ適切であったことが大きく貢献していると評価しております。 すなわち、(1)研究テーマを公募し、その選択を5社の判断に委ねたため、5社の研究者がテーマの内容を十分に理解し、自社のニーズとの関係を明確にした上で共同研究がスタートしたこと、(2)およそ20の研究チームの研究進捗状況を5社の研究担当者が適切に把握するために、研究チーム毎に、5社を通じて1人の担当者を選定し、この者に5社間の情報共有の責任を負わせたこと、(3)前記担当者を含む5社と大学の研究推進担当者会議を月に1回程度開催し、各研究チームの研究進捗状況を把握するとともに、研究チーム間の協力体制も築いてきたこと、(4)京都大学内に融合室を設置し、研究推進の事務作業を担当しつつ、京都大学の研究者の本音を聞くべく努力したこと、があげられます。 これらの体制により、5社の担当者が自社の事業に結びつく研究の推進に尽力するとともに、大学の研究者も自身の研究テーマとして重要な研究課題に真剣に取り組み、大学では行えない課題は企業に持ち帰って研究を推進することができました。この枠組みが有効に働き、産学の連携のみならず、産産、学学の連携も可能になり、大きな成果に結びついたものと考えております。 これらの成果、仕組みが高く評価され、第5回産学官連携推進会議(平成18年6月10・11日)の産学官連携功労者表彰におきまして、日本経済団体連合会会長賞を受賞致しました。
今後のアライアンスでは、これら現アライアンス研究成果の事業化に向け、さらなる共同研究が必要なテーマについて、5社がこれまでのアライアンスより緩やかな連携を保ちながら、京都大学と共同研究を続けられる枠組みへと発展いたします。 具体的には、京都大学の研究テーマから企業が選択しワーキンググループを立ち上げ、5社のうち興味のある会社は自由に参加できることとし、5社の同意が得られれば、5社以外の企業も参加できる道を拓くこととしました。 共同研究期間は、概ね3年を目処としております。 現アライアンスで見出した有効な研究推進体制を活かしつつ、現アライアンスの研究成果をさらに発展させるべく企業と大学双方が持てる力を十分に発揮できるものと期待しております。
京都大学と5社の当初の5年間の共同研究契約は終了しますが、今後とも6者の協力体制を継続し、機動的かつ効果的な共同研究体制を構築していく所存です。
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