川崎 義弘

クアラルンプールで
乗り換え、デリー到着…

インドは最初の旅の印象で好きか、嫌いかに分かれると、よく言われる。今回の旅はそういう意味では、インドに再び行きたくなるそんな旅であった。

まず、デリーからの夜行列車。駅に積み上げた荷物。電車待ちの人たち。荷物を運ぶクーリー。いつか見た映画の風景が、目の前に会った。
やがて動き出すとともに、過ぎ去るアンバーな風景。窓が汚れていて、どうしてもアンバーになるのだが、これも気に入った。そしてすぎてゆく風景に、時間はどんどん消滅して行く。カレーの夕飯弁当を食べつつ、やはり夜行列車の旅はよいな!

高原地帯のバンドゥーガル国立公園では、ジープの群れに多少戸惑いながらも、なれてくると地形を見ながら録音ができそうなところへ。ここはいけるな!!と、確信。やはり、朝の鳥の鳴き声の多さ、他の動物の多さ、まあこういう生態系の豊かさがあって、その頂点の虎がいる訳だと納得。いきなり、ここに来て正解だなと思う。まず、インドへの考え方が変わる。
ちなみにここでは、昔から虎と人間が共存してきている。現在もこの環境を守る為に、厳しく規則が決められており、日本より制度が整っているのでは?と思ってしまう。

このバンドゥーガルの山の上には、紀元前にできた、山城があり、昔は多くの人が住んでいた。でかい岩をくりぬいたプールがいくつもあり、崩れかけているとはいえ、りっぱな宮殿跡がある。しかし、今は寺男一人しかいない。この遺跡がまた良い!
山の上から下界を見渡し、風音を聴いていると、何千年も前の風景がたち現れそうになる。いつまでも居たい場所である。年一度の祭りには、1万人の人がここまで上ってくると言う。ロッジの食事もうまいし(カレーです)、ビールもうまいし、できればずっとここに留まりたい感じである。

未練を残しつつ、宗教都市バラナシへ、また夜行で向かう。
途中の小さな町で、列車待ちのあいだ散歩する。えらくじろじろと見られる。どうも日本人を始めて見るらしい? インドは広い、日本人がまだ訪れてない所があるのだ!?

やがて、列車に乗り、目覚めると朝日が輝くバラナシであった。噂には聞いていたが、町のノイズのすごさは、いゃあ、すごい!
リキシャのベルがなりっぱなし。交通ルールはないようで、あるみたい。頭の麻痺度があがる。音を聴いて、こんな事は久しぶりである。

さらにガンジスの岸辺に行くと、立ち並ぶ寺院。あふれるお参りの人、沐浴の人、怪しいお坊さんたち、物乞い、物売り。。。世俗相見える人生の縮図的光景。流れるインド音楽が更なる演出を加える。
しかし、考えてみると不思議な場所である。インドの人は一生に一度はここを訪れ、沐浴し、お祈りし、お説教を聞き、あと遊んで帰るらしい。この風景を、船から、又、対岸の茶店(乾期だけ)から眺めていると、世の中とは?人生とは?なんとなくガンジスの流れとともにあるのだ。と思えてくる。朝日の昇るガンジスの流れに揺られていると、やはり手を合わしてしまう。私は日本人かな。焼き場の風景を見ていると、諸行無常の。。。と思ってしまう。我々の精神的ルーツのルーツは、ここにあるのかもしれない。

最後にデリーに戻ると、ああ大都会。経済の政治の中心地。さあ、日本に帰るか!となってしまう。
でも、帰りの飛行機で、あのバンドゥーガルの風景を、森の音を、風の音を聴いていると、あの地へ舞い戻りたいと思ってしまう。しばし、インドの音を聞きつつ、時間をジャンプして見ようかと思う。拝。

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