高橋 利明

メンバー
阿部さん:ガイド。学者っぽさがない、巧みな話術の文化人類学者。
川崎さん:スタッフ。音に詳しいだけでなく、好奇心旺盛。写真撮られるのがお嫌い。
岡田さん:スタッフ。
碇くん:参加者。インドネシアを愛し、インドネシア人も愛する。高橋の学生時代からの友人。
高橋:参加者。音・映像・文字を駆使した記録好き
   +関心もったもの全て体験してみる人。
マルセルさん:サービス精神旺盛で律義なガイドさん。川崎&高橋の質問攻勢も。
他、運転手さん2名。

参加の理由
サウンドバムを見つけたのは、偶然でした。一昔前にインターネットで「サルサandキューバ」でgoogle検索したときに、たまたまキューバの報告会の募集を見つけたのが始まりでした。旅の音を録るというのは、昔に誰かのエッセイで読んだ時に試したことがあり、それを「組織立って」やっている人たちがいることを知りうれしくなり、参加のタイミングをうかがっていました。
トラジャと聞いて、トラジャコーヒーのイラストしかイメージがなく、何があるか、何が起こるかわからず、それを確かめに行ってみる価値がありそうなのが決め手となりました。

気の抜けない旅
旅の中でも、特に街中にいると、どんなことが起きるかわからないものですが、この旅ではそれがMDとカメラの両方でスタンバイしていなければいけないため(自分の心情的に)気が抜けません。といっても、そういう気の抜けない旅がわたしは好きでした。 一方、自然の中ですが、自然の音を録る時というのは、釣りに似ているところがあります。風の音や波の音など自然の音を一か所にじっくりと立ち止まって(歩き音も入らないようにするため)耳をそば立てるというのが活動ですから、ゆっくりしなければいけない大義名分を得て、動き回らないと気が済まないわたしも、心おきなくのんびりとした旅もできました。 今回、録り損ねてしまい残念だったのが、街中をとおりすぎるアイスクリーム屋(ブランド名、Walls)のほのぼのとした客寄せ音楽の音、クルマが信号に止まっている間に簡素な楽器で演奏してチップを貰おうとする子供達、などです。

こんな音を聞いてきました
ツアーでは、我々一人一人にMDと長さ10cmほどのマイクを用意していただいたのですが、持ったとたん感度の良い耳。マイクを握りかえる指の音が気になり、指向性マイクを音源に向かって。

市場、香具師(やし)の音
スラベシは、バリ島から北上した赤道近くの大きい島。
最初に向かったのは、学校の校庭の半分ほどの広さのところにあるよくある市場(通路には大きな水溜まりがあり、その通路の上に日除けのビニールシートがかかったような設備)。スラベシの人たちは、写真に撮られるのが好き。特に、デジカメの映像を見せると、その界隈の人々が大盛り上がりで、しかもその喜び・驚きの感情を素直に声に出してくれる人たちであったので、今その音を聞いてもその場の出来事がよみがえります。

お葬式の音
ツアーの案内に、「見どころは、お葬式」とあり、このミステリアスさも、わたしたちの気分を盛り立てました。 トラジャ地方では、お葬式が人生最大の晴れ舞台のようで、「人は死ぬため(葬式をするため)生きる」という話しも聞いたような気がします。1週間なりの時間をかけて、家の格によって、規模が違いますが、場合によっては資金を貯めるために3~5年間待って(火葬しないため、ミイラ化してしまうことも)開くこともあるそうです。

<お葬式の段取り>
毎日、一つづつの儀式が行われる。
(不明)→(闘牛等があも)→豚の生け贄→水牛の生け贄→棺桶が村の聖地に移動→(不明)
お葬式の音の中でも、この旅を象徴するのが水牛と豚です。まず前座として豚。豚は、殺される瞬間まで、生け贄にされる運命を敏感に感じるためか、(竹竿に紐で縛りつけられて運ばれているためか、どちらが元の原因かは不明)、最後の最後まで悲鳴をあげていました。一方、生け贄用に大切に育てられてきた牛たちは、ひとことも「モウ」を発しないまま、静かに倒れて、、、。その動脈から流れる血の音をサウンドバムする我々でした。水牛の「動物としての度量」の差を感じてしまいました。

自然の音
今でもスタッフの方のことばで印象に残ったのは、「風の音を録るには、笹が一番良い音が出る」「波の音は、波打ち際の弓形が凸か凹かで音が違う」。後者は、いつか違いが聞き分けられるようになりたいものです。

参加したい方またはサウンドバムしてみたい方へ
ツアーに参加しなくても、自主的にできる「サウンドバム」ですので、アドバイスを。確実に旅の楽しみ方が広がります。

マイクは感度をよくしてヘッドホンで聞く
録音の際にも、ということで、録音の時には、感度をよくしてサウンドバムしましょう。また録音状態を一時停止(スタンバイ)状態にしているだけでも、パイオニアのMDではマイクがONの状態になりますので、楽しめます。

ポケットを大きく、多く
サウンドバム中は、MD本体・マイク・カメラ(私の場合はメモ帳も)を持つ、猫の手も借りたい状態になりますので、ポケットの多い服やカバンの用意がお勧めです。(私の場合は、釣り用はポケットが小さいため、登山用のものを使用しました。)

それほど「ワイルド」な旅ではありませんでした。
行程は、ワイルドナビというイメージと違い。航空会社が用意のトランジットのシンガポールのホテルは高級(注:自分の旅の基準で)、マカッサルのホテルも当地で最高のホテル(参考ながら、パイロットが使うホテル。現地のお金持ちの中国人が利用するホテル)。トラジャも、山の上のゲストハウス(伝統建築の家屋=トンコナンハウスを利用)での2泊以外、すべて快適な高級ホテルでした。

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