面谷 誠二

ハワイ島バムをナビして

私は、渋谷でウクレレ教室をしながら、CDのプロデュースや、「Image ofHawaii」というアコースティックギターのユニットで活動しています。
サウンド・バムとの出会いは、ウクレレ教室の生徒に誘われて参加したポルトガル・バムの報告会でした。音を聴くことで旅行の思い出が変わる...という話に興味を持ち、 うかがったスタジオで西村さんを始めスタッフの方々を紹介していただいて、ハワイ島の話をひとしきりしたように覚えています。数日後、ハワイバムについて相談があり、私のナビゲートで今回のハワイバムが進むこととなりました。

ハワイバムで「ハワイ島」こだわったのは私です。「ハワイ島」はハワイ諸島の中でいちばん新しく、火山の島としてダイナミックかつ荒涼としたイメージで紹介されることが多いのですが、 実はハワイの文化や音楽のルーツがこのハワイ島にあるのです。
ポリネシア人達がたどり着いた場所が、この島の最南端のサウスポイントであり、ハワイを制したカメハメハ大王がこの島の出身であり、ハワイミュージックのルーツ「スラックキーギター」発祥の地であったり、 また個人的に知り合いのミュージシャンも何人かいることから、私にとって「ハワイ」とは「ハワイ島」なのです。

こだわりのハワイバム。最初の宿泊地は、富士山よりも高いマウナケア火山の中腹にある、ワイメアという小さな町にしました。アメリカ第二の広さの牧場があり、パニオロというカウボーイが多く住むここは「常夏」のイメージからは遠い町です。
世界の気候は全部で13種類あるが、ここワイメアで11通りの気候は体験できるという非常に変化に富んだ、でものどかな町です。ワイメアについた途端に雨の歓迎。
夕方、近所のスーパーで買いだしの帰りに、雨に降られたときです。我々の真上は雨なのに、遠くを見てみると。夕陽が映って、きれいなピンク色をした雲が見えたときには何とも不思議な光景でした。こんな素敵な体験が出来る場所は、ワイメア以外になかなかないと思います。

しかし、雨といっても日本の梅雨とは違い降ってもすぐあがるのがハワイの雨の特徴です。ですから「虹」に遭遇することはしょっちゅうあります。コツは、雨が上がったら太陽を背にして、晴れている景色を探していれば、まずほとんど見られますよ。

初日から何人かがウクレレを購入して、その夜からウクレレ・レッスンが始まりました。泊まったモーテル風の宿は、部屋の窓が廊下に面していて、まるで普通のお家に泊まっているような感じです。ラナイに出てポロポロとウクレレを弾いていると、他の宿泊客が微笑んで通っていきます。
コーディネイターの方にもワイメアに泊まるツアーなんて珍しいといわれましたが、そんなワイメアを体験していただきたかったのです。

ワイメアから少し西にある、普段は牧場として使われている会場で年に一度の大きなフェスティバル「ワイキイ・ミュージック・フェスティバル」が開催されました。地元のラジオはガンガンにフェスティバルの宣伝をし、町のスーパーはワイキイ・スペシャルとしてクーラーボックスと携帯椅子のセット販売をするなど、島あげてのフェスティバルです。
このフェスティバルは、リム・ファミリー、マカハ・サンズ、マウナロアをはじめ、ハワイの伝統を継ぐミュージシャンからスリー・プラスなどの新しいアイランド・ミュージックの新鋭が出演するというエンターテインメント性と同時に、会場内でフラメイキング、クラフトメイキング、ハワイアンマッサージのロミロミなど、ハワイアン・カルチャーも楽しめる地元ならではのバラエティーに富んだフェスティバルです。
伝統的なバンドが出るとお父さん、お母さんは涙して喜び、アイランド・ミュージックのレゲエバンドが出ると若者が踊りまくるという世代を越えたフェスティバルに、今の日本の若者だけを対象にしたビジネス的なイベントの成り立ちと異なる印象を受けました。

そういえば、入場の際「チケットはあるか?」と三度くらい訊かれましたが、係員の誰にもチケットは渡さず、結局は記念チケットして日本に持ち帰りました。なんともハワイ的....。

カイルア・コナに移動し、コナ空港の近くに住んでいるブラさん(ホオナネアというグループのメンバーでもある)のお宅のラナイで開かれたホームパーティーへお邪魔した時に見たコナサンセットは、とても綺麗でしたね。
ブラさんちは、34エイカー(1エイカーは1000坪)の農園の中にあり、庭先にはマカデミアンナッツが植えられ、到着早々みんな生マカデミアンナッツをポリポリ食べていました。
ほとんどのハワイの一般家庭は犬を飼っています。ブラさんちのように大きな土地を持っていると野ブタがでてくるので、単なるペットではなく、その対策でもあります。こんなところにも、日本の自然や動物との関わり方との違いが、随分感じられます。

ハワイのミュージシャンには、専業の人は少なく、普段は家業を営み、夜はミュージシャンとして活動するひとがほとんどですね。音楽家として生計を立てることよりも、音楽を楽しむことの方を大切にしています。
その楽しみのひとつであるホームパーティーに親戚中の人が集まり、まずは食事の前にクムフラ(フラのお師匠さん)のJJさんが神に感謝の言葉を捧げ、パーティーが始まります。次いで、歌やフラなどが次々に披露され、終いには我々の方からも飛び入りで私がギターを弾き、参加メンバーがこの旅で覚えた歌やウクレレを披露しました。
日本では音楽がビジネスやスタイルの対象となっていて、日常と離れたところに居座っているような気がしますが、コミュニケーションとしてのつき合い方が出来るこの島の音楽との関わり方は楽しいですね。

また、キラウエア火山の溶岩を目の当たりに見た感動や、歩くほどに草木の群生が変わってゆくワイメア・トレッキング、かつては栄えていたヒイラヴェの滝があるハワイ島の聖地ワイピオ散策などのツアーも、とても魅力的な内容でした。

サウンドバムは、自然と人と音楽との出会いが魅力の旅です。私が今回ハワイバムでおつき合いさせていただいて、また違ったハワイの魅力を見つけられたことが、たいへん嬉しかったですね。この旅がハワイデビューの人もいて、大変喜んでいるのは本当に嬉しいです。ハワイデビューはハワイ島がお薦めです。
今回のハワイバムでハワイ島を魅力のすべて体験できませんでしたが、次のハワイバムでまたハワイ島を訪れることを誓いながら旅を終えました。次回はサウスポイントや、ワイピオの反対側や、ヒッピーの町として知られるパホア、そしてやはりヒロの街をゆっくり散策してみたいですね。そしてその先は、他の島々にも行きたいですね。
訪れるほどに魅了されるハワイとサウンドバムの融合は、ずっと続きそうです。 See You Next Hawaii Bum! MAHALO !

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