サウンド・バム
今回の旅は「サウンド・バム」という、音を入り口とした素敵な旅の提案に賛同するカタチでのキューバへの旅でした。押忍。
今回の旅の仲間は以下6名。
バム・スタッフ
西村さん / プランナー、デザイナーにして、働き方研究家。
岡田さん / パイオニアのサウンドデザイナーにして、プラスティックス、ファーストアルバムのサウンドエンジニア。
バム・ゲスト
ユリさん / IDEEのディレクターにして、J-WAVEメトロポロリタンカフェDJ。アヤさんのお友達。
アヤさん / BGMは1年中ボサノバ。現在休暇を満喫中にして、元、道路のプロ。ユリさんのお友達。
オーカワさん / WEBデザイナーにして、ロケンローラー。ちっぱいず主催。
そして、僕。
2月9日(土)
東京(JAPAN)-ヒューストン(USA)-カンクン(MEXICO)
寒い日本を離れ、さあ常夏の国キューバへ!
コンチネンタル航空機内、隣になった韓国人美女から、「ホントはアメリカに留学するつもりだったんだけど、日本人の彼氏のために、日本にしたの。けど、もう別れちゃったんだ。それにしてもアメリカは遠いね。こんなに苦しい思いをしていくのならば、もう二度といかない!絶対行かない!」
そんなセツナイんだか、どうなんだか良く分からない話を聞きながら、まずは、ヒューストンへと機内食ブロイラー状態で飛ぶ。
そして、空港に着けば、まんまと荷物チェックでひっかかり、靴まで脱がされる始末。ガッデム!、ショー・ザ・フラッグ!と、アメリカ滞在、約2時間にして、次なる目的地メキシコ、カンクンへと向かう。そして、ここでもランダム荷物チェックボタンでまんまと赤信号。ツイテルーゥ!
そんな、幾多の試練を乗り越えて、ようやく本日のホテルへとチェックイン。するやいなや、荷物を置いて早速夜の街へゴウ。マリアッチの演奏を聞きながら、メキシコと言えばタコス。そしてコロナビール。ほろ酔い気分でいい気持ち。ウイーっとな。しかし、最終的には余りにも甘すぎるメキシカンコーヒーにノックアウトされ、本日撃沈。
2月10日(日)
「カンクン (MEXICO) -ハバナ (CUBA)」
朝、この辺りで人気沸騰中!らしい、メキシカン・ファミリレスへ。焼きたてのパンに、高い位置から注がれるコーヒー。味も良く、見た目にも楽しいヨ。そんな店員の働きぶりを見ながら、「チップ制だと、店員が良く働いてイイかもね」なんて話す。
そんな優雅な朝食後、慌しくも、遂にキューバはハバナへと向けてジェット機のサンバ。キューバの入国審査は思ったよりも厳しく、愛の告白でもされそうなほどに長いこと凝視され、日本で何してる?本籍は何処だ?キューバは初めてか?等々の愛とは程遠い質問攻めに会う。フウ。
その後の荷物チェックはスルーしたものの、同行の岡田氏の機材がまんまと引っかかり、長時間拘束。そんな、氏を非情にも置き去りにして、一足先にバム・ゲスト一行はホテルへと向かう。そして、とんでもなく天井が高いクラシカルなホテルの部屋に荷物を置き、バム・スタッフ到着まで、三脚を担いで、街に出ることに。
メキシコから、飛行機でほんの一時間足らず、なのにここまで雰囲気が違うのか。と、ちょっと驚く。街は、とてもヨーロピアン。まあ、スペインの植民地だったんだから、当然といえば、当然だけど。そんな街をブラブラ歩きながら、所々で三脚を立て、撮影。マイクを差し出し、録音。怪しいハポン。その後、無事開放された岡田氏等と合流し、夜のハバナへと繰り出す。ヤホー。
薄暗い路地を抜けていくと、ほのかな明かりと共にダンサブルなアコースティックサウンドが聞こえてくる。そこは、ボデギータ。本日の夕食タイムです。
へミングウェイも通ったというその店の壁は一面落書きだらけ。そして、早くもキューババンドの恐るべきテクニックを、モヒート片手に目の当たりにする。マイクやPAは一切なし。それでこのバランス。この迫力。正直耳から鱗がボロボロと落ちました。こんなバンドがゴロゴロいるとは。恐るべしキューバです。
そして、夜はまだまだこれから、次はお色気レビューを見るため、キャバレー、トロピカーナへイザ。大変ショーアップされた、豪華絢爛なレビューショー。ムーランルージュみたい。そして、当然ここでのバックバンドも普通に上手い。ムムー。そんな、ショー終了後、熱くなった頭を、教会前にあるオープンカフェで覚ます。もちろん、ここでも生演奏付き。今度は、フルートも登場だ。書くまでもなく、またもや上手い。
と、キューバ一日目にして、早くも押され気味に夜は更けて行くのでありました。ホーホー。
2月11日(月) 「ハバナ (CUBA)」
眺めのいいホテルの食堂で食事。が、眺めのいい席はゲットできず。残念。午前中、たった6人のために用意された大型バスに乗り、へミングウェイの家や、老人と海のモデルになったジジイの住む港町、コヒマル等を回る。
そこに立てられていた、へミングウェイ像の下のキャプション、誕生年を平気で間違えている。「1年や、2年違ってもどうってことないじゃないか!」そう言われているような気分。まあ、πもおよそ3になったことだし。いっそのこと、歴史の年号も、およそ何年にするってのはどうか。なんて、バカなことを考えながら、次なる目的地のレストランを目指す。
鶏肉をガシガシと食べて、体力回復です。ウマイ。その後、ホテルに戻り、楽器屋とデパートのような所を徘徊。後、しばし休息。グガー。
夜、まずは、ダイキリ発祥の地と言われる店へ繰り出す。頼んでもいないのに、ダイキリが出てくる。どうやらデフォルトらしい。そしてもちろん、ここでも生演奏付き。ギター、トレス、ボンゴのトリオでした。
しかし、次に予定していたお店は、その日の夕方にならないと、誰が出演するのか?そもそもライブはあるのか?そんなことも全く分からないお国柄、そこでのライブはどうやら今日は無いらしいとの情報を得、急遽予定を変更し、街へ。
そんな、街は普通に音楽で溢れている。お店に入れない現地の人は、外で漏れてくる音を肴に踊り狂う。って、店の壁なんてほとんど無いようなものなんですが。そして、こっちも負けずに店の外から録音。していたら、前へ前へと親切にも入れてくれた。「どうだ、ココの方が良く録れるだろう?」って、言っていた。ような気がする。そんな感じに、ブラブラと店を冷やかしつつ散策。
そして、次に行きついた店は、なんと1762年からあるらしい。ここではマラカスの力を思い知る。マラカスがバンドを制する。指揮者のようだ。そんな、帰り道、ゲバラコインをゲット。何故か割り切れない3ペソ。不思議だあ。と、今日も夜中まで戦いつづけ、バタンQ。濃いなあ。
2月12日(火) 「ハバナ (CUBA) -サンチャゴ・デ・クパ (CUBA) 」
朝、5時起きで空港に向かい、自由席の飛行機で席を奪いあい、約1時間半。抜けるような青空、そこはキューバ第2の都市、サンチャゴ・デ・クパ。なんて、言っても緑豊かな良いところなのですが。
空港から、ホテル、ラス・アメリカスへと向かい、チェックイン、そして朝食。中心部からやや離れた場所にあるので、そのまま市内を軽くバスで走り回る。その後、海辺に聳え立つ、モロ要塞へ。そこで何故かフランス人と間違えられる。永遠の謎。
小さなビーチ等で、「ワンダラー」攻撃にあったりしつつのホテルへの帰り道、バイキング形式の店に立ち寄り昼食。が、茹ですぎのスパゲッティに驚愕し、そのあまりのショックのため、ホテルで寝込む。つーか、ただの昼寝。
たっぷりと充電の後、夜の街へ。
今日もライブ三昧のスタートです。まずは、街で一番と言われるライブハウスで、2階バルコニーから見下ろすカタチでのんびりと2バンド程鑑賞。若手バンドと熟年バンド。
そして、次のお店でもやはり、2バンド程鑑賞。いつものようなオヤジバンドと、なんともう一つのバンドは、ギャルバン。セクシーな黒人美人ボーカルが、会場の客を引っ張り出す。楽曲もやや洗練され、ショーアップされた感じ。けど、わりと好みではある。そして、この店はキューバにしては珍しく、マイクを使用していたヨ。
と、詰め込みすぎ気味に本日も終了。
2月13日(水) 「サンチャゴ・デ・クパ (CUBA) 」
今日も早起き。早朝の鳥の声を採取するため、夜明け前にホテルを出て国立自然公園へとマイクロバスで向かう。
途中、海岸で日の出を拝みつつ波の音も採取。自然公園へと到着すると、機材を持って更に奥へ奥へ。誰もいない静かな空間。
皆思い思いの場所でノンビリと自然に身を委ねながら録音。鳥の声に風邪の音、水の音に晴れ渡る空。ああ、幸福感。そんな充実した時間を過ごした後、ホテルに戻って遅めの朝食。
そして、なにげなく外を眺めると、そこには交差点を行き交う人々の姿が。これが、たまらなく面白い。絶妙に途切れない人々、目的があるような無いような、そんな不思議な動き。セットのような、映画のロケ現場のような、そんな箱庭感覚。あまりの面白さに、思わずビデオを1時間も回してしまう。
その後、三脚担いで、街を一人ブラブラと散策。家の前には、なにをするでもなく皆腰掛けてノンビリしている。こっちの家は、玄関のような部屋へのワンクッションは無く、道から地続きで、扉を開ければ、そこは即ソファーやTVのある居間なのだ。家の軒先こそが、道と部屋を繋ぐワンクッション、第三の空間、縁側みたいなものかしら?
そんなことを思いながら、買い食いしながらブラブラ歩く。アイスクリームは1ペソ(1$=約20ペソ)サンドイッチは2ペソ。ピザは5ペソ。ようやく、本来の物価を知る。
旅行者は基本的にドルを使うことになっているのです。旅行者向けのお店では、アイスクリーム1$くらい払わせられるからね。20倍だ。
と、裏通りを歩き回り、クタクタになってホテルへ戻る。
が、そのまま西村さん等と共に、列車の音採取のためにすぐ、駅へと向かう。
無事到着するも、駅の中には入れそうもないので、線路脇から攻めることに。しかし、なにやらゲートに門番が。
ここで、西村さん達が、もしものために取っておいた印籠、プレスカードが遂に役に立つことに!やったーと、ゲートを潜りポイントへ行くも、何やら雲行きが怪しい。他の警備のおじちゃんからクレームがつき、つまみ出される。挙句の果てはしばらく拘束までされる。向こうはスペイン語。まるでコミニケーションがとれず難儀する。が、暫くして開放。フウ。
その後、日の落ちかけた街をブラブラしていると、小さな店の奥の階段に、3人立てに並んで座り込み演奏しているという、なんとも可笑しな光景に出会う。そんな店の前で街のおじちゃんに呼び止められ、「音楽学校を見にこないか?」とのお誘い。快諾しついていくことに。
が、学校についても授業はまだのご様子。そこでおじちゃんは「家にヤスのCDを聞きにこないか」と、新たなご提案。ヤス?ああ、ジャズのことか。と、学校の隣にあるおじちゃんの家へ。ガンダムみたいなステレオから流れ出る演奏を聞いたり、部屋を見せてもらったりしつつ、そろそろじゃないかと、学校へ戻る。
するとそこには中学生くらいの少年達が丸くなってセッションをしていた。って、これがまたとんでもなく上手い。層の厚さを感じた瞬間。そんな恐るべき子供達の演奏を聞いたり、日西語口座をしたりと楽しいヒトトキを過ごしていたら、最後になって「一人1$ね」と、ワンダラー攻撃がはじまった。
が、われらがリーダー西村さんの拒否攻撃で結局は払わないことに。と、後味の悪さを残しつつ、退散。その後、夕食を食べながら、いつものように生演奏を聞く。と、音楽三昧に本日も披露困憊で終了。フヒイ。
2月14日(木) 「サンチャゴ・デ・クパ (CUBA) -ハバナ (CUBA) 」
朝、ゆっくり食事をとった後、交差点でキューバ人に混じってぼんやりする。なんて、そんなにノンビリしている間もなく、昼前には飛行場へ。すると、そこでは何やらセレモニーが。そして、ある曲が流れ始めた途端、それまでダラリとしていた、オーディエンスがいきなり背筋を伸ばしてピシリ!こっちまでつい、つられる。国家のようですな。
で、例によって国内線は自由席。そしてプロペラ機。経由地に下りたときの皆の第一声は、「初めて飛行機酔いしたー」そんな貴重な経験をし、大人の階段を上りつつ、ハバナへと舞い戻る。
そして、ホテルチェックイン、鍵をもらって扉をガチャリ!するとそこにはベットに横たわる、おじさん、おばさんが!ああ、本番中じゃなかったのがせめてもの救い。にしても、あんなにビックリした顔を見るのは久しぶり。って、そりゃあビックリするさ。驚くさ。
そんな、事件の後、タイコのお稽古へと向かう。オルケスタ・デ・ラルスを指導していたこともあるという、PANGA先生にコンガ指南を受ける。ハンドクラップでのクラベのリズムから始まり、ソン、ルンバ、チャチャチャと、どんどん高度になっていく。ついていけません。先生。
けど、パーカッションでの音の出し方、構成などいろいろ知れ、大変ためになりました。が、約90分で一人30$ってのは取りすぎだろ。先生。
昼ゴハンも食べずのスケジュール。さすがにお腹が減ったよね。と、孔雀が放し飼いにされているお店で夕食。そして食べ過ぎる。その後、ケーキを購入し、そのまま今度は野球観戦へ。
ベンチのすぐ上、一番前の席に陣取り、ファールボールを恐れながらの観戦。選手近すぎ。が、試合内容は一方の圧倒的な強さにより、会場の盛り上がり方がもう一つだったのが残念なところ。と、キューバ野球を堪能した後、疲れている体を振り絞って、キューバ最後の夜、深夜の街へとお出掛け。んがー残念ながら、街の盛り上がりももう一つ。
仕方なくホテルに戻り、あっという間に消灯。グゴー。
2月15日(金) 「ハバナ (CUBA) - カンクン(MEXICO) 」
ついにキューバ最終日。残されたお昼までの時間はお土産ゲットに奔走するのでした。まずは、葉巻工場へと向かい、コイバ、モンテクリスト、パルタガス等を購入。吸わないんだけど。そしてお次は、裏通りを歩きつつ、古本市場へと向かい、キューバンミュージックのコードブックを購入。 ホントは、「REVOLUTION CUBANA」というキューバ革命トレーディングカード・アルバム(コンプリート)が欲しかったのだけど、40$という値段に涙を呑む。貧しさに負けた。
と、広場をブラブラしていたら、カフェでくつろいでいる西村、岡田コンビを発見。乱入し、お互いの戦利品を見せ合う。
岡田さんに、木製打楽器、「クラベス」を見せられ、ムヌー!僕も買う!と、店を飛び出し、バザールへ。そして、購入。ついつい、ミニ笛も沢山買ってしまう。おみやげ、おみやげ。
そんな物欲ヒートアップ状態で我を忘れそうになりながらも、時計を見ると、そろそろ出発の時間。自転車タクシーを呼び止め、ホテルまでチリンチリン。しかし、ホテルでも駄目押しにコーヒーとか買ってみたり。そして、今度こそサヨナラキューバ!と、飛行機に乗り込む。さあ、一路ニッポンへ!ではなく、とりあえずメキシコに向かい一泊するのでした。
メキシコの空港では、「キューバシガーを持ってるか?」との質問に、ついうっかり「ハイ」とか言っちゃったものだから、取調べに合い、タイムロス。 しまった。その後、テンションの高いガイドに連れられ、リゾートホテル街に聳え立つホテルへ。行きのメキシコの素朴な雰囲気はまるで無しの、まさしくリゾートな街並みに、ちょっと驚く。そして、資本主義社会に戻ってきたなあ。と、ショッピングモールのマクドナルドの看板を見て我思う。
そんな、モール内のお店で、マリアッチの演奏を聞きながらの夕食。ムーグシンセのような音を出す木琴や、ブラスやストリングスの入った豪華な演奏。更に甘すぎる鶏肉に、甘すぎるコーヒーを飲みつつ、今回の旅最後の夜は、静かに更けて行くのでありました。
2月16日(土)-17日(日)「カンクン (MEXICO) - ヒューストン (U.S.A.) - 東京 (JAPAN)」
朝、4時起きで飛行場へ。飛行場前の公園では、狂ったように鳥が泣き叫んできる。もちろん録音。さよなら、メキシコ!と、とりあえずアメリカヒューストンへ。
今度こそ、荷物チェックにはひっかかるまい!と、不審と思われるであろう、マイクを外に出し、X線チェックに挑む。そして、見事性交。じゃない成功。ヤッター!さあ、後は日本までゆっくりフライトだ。
と、乗り込んだ飛行機のフライトアテンダントは、そろいもそろって、熟年おばあちゃん。誇張ではなく、ホントにおばあちゃんなんだもんなあ。ああ、働く女性は素敵。と、最後まで楽しい今回の旅はこれにて了。
サウンド・バムスタッフの皆さん、ゲストの皆さん、ホントにお疲れさまでした。グラシアス Y アディオス!
(以上、池田さんのウェブサイトより転載)