報道資料:「デジタル・プロセッシング・システム」搭載3ヘッドシングルカセットデッキ「T−D7」新発売

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Pioneer
1997年 11月 11日
パイオニア株式会社

内部の信号処理をデジタル化 CDに迫る低ノイズを実現したアナログカセットデッキ「デジタル・プロセッシング・システム」搭載
3ヘッドシングルカセットデッキ「T−D7」新発売

当社はこの度、独自技術「デジタル・プロセッシング・システム」を搭載した3ヘッドシングルカセットデッキ「T−D7」を下記要領にて新発売いたします。

T−D7

T−D7

商品名型番価格(税別)発売時期月産予定台数
カセットデッキT−D765,000円12月上旬1,000台

【企画意図】

 カセットが開発されてから30年以上が経過し、デジタルメディア登場の時代でも、ミュージックテープが約14億巻、ブランク(生)テープも約18億巻の世界需要(年間)が存在します。

 当社は昨年11月に世界初の新技術「デジタル・プロセッシング・システム」を搭載したダブルカセットデッキ「T−WD5R(60,000円)」を発売しました。アナログカセットデッキの内部信号処理をデジタル化する技術の開発により、音質と機能を大幅に向上させることに成功し、その高音質は国内外で高い評価を頂くことが出来ました。この技術は、デジタル処理でヒスノイズ(「サー」という雑音)だけを解析して除去することが可能なため、過去に録音されたヒスノイズの多いテープもクリアな音質で再生することが可能です。

 今回発売する「T−D7」は、「デジタル・プロセッシング・システム」をはじめ、CDプレーヤー等のデジタルオーディオ機器の為に開発された当社独自技術「Z−コンセプト」「レガート・リンク・コンバージョン」を搭載し、アナログ録音でデジタルに迫る性能を実現した、高音質モデルです。メカニズムおよび回路を新規に設計、また、フロントパネルは先進的かつ高級感あふれるデザインに仕上げました。

「デジタル・プロセッシング・システム」
 通常カセットデッキではテープに録音されたアナログ信号をヘッドで読み取り、その信号をライン出力する前に「高域の補正」や「レベルの補正」といったカセット特有の補正作業が必要になります。従来これらは全てアナログ回路で行われていました。また、テープとヘッドの摩擦が原因でヒスノイズが発生し、これを低減するためにドルビーノイズリダクションのような雑音低減のための機能が普及してきました。また当社では、高域がこもったテープをクリアに再現するオリジナル技術「FLEX」という機能を搭載してきましたが、これもアナログ回路によるものでした。
 この一連の過程(高域補正・レベル補正・ノイズ除去・「FLEX」等)を全てデジタルで信号処理するのが「デジタル・プロセッシング・システム」です。
 アナログ回路に比べて信号の劣化が少ない上に、デジタル信号処理でヒスノイズだけを解析して除去するため、格段にSN比が向上し(CDに匹敵する90dB)、クリーンなサウンドを実現します。

【主な特長】

1 ) 「デジタル・プロセッシング・システム」搭載

従来アナログ回路で行っていた信号処理や、パイオニア独自の高音質化のための機能(XD FLAT、ALCA、FLEX)の信号処理をデジタルで行うことで、音質・機能面の大幅な向上を実現しました。

2 ) 「デジタル・ノイズ・リダクション」搭載

再生時に発生するカセット特有のヒスノイズを、デジタル処理により解析して除去することで大幅に低減し、デジタル機器と同等の高SN比を実現します。例えば、10年前の古いテープも、クリアな音質で蘇ります。

3 ) 「レガート・リンク・コンバージョン」搭載

カセットデッキの場合、メタルテープ(タイプIV)を使用した場合でも、再生周波数帯域の上限は約21kHz程度となりますが、従来デジタルオーディオ機器向けに採用してきた当社独自技術「レガート・リンク・コンバージョン」を搭載することで、上限を約40kHzまで伸ばし、より自然な音の再生を可能とします。

4 ) デジタル入力端子(OPTICAL)装備

CD、MD等サンプリング周波数が44.1kHzのOPTICAL出力を持ったデジタル再生機から、デジタル入力させて録音可能とします。T−D7では他機器との接続の簡便さを考慮し、フロントにもデジタル入力端子(OPTICAL)を設けました。

5 ) デジタルシンクロ機能搭載

デジタル機器との接続により、ソース機器の再生音(デジタルデータの入力を読みとった場合)が始まった瞬間に緑音を開始し、音楽が止まれば録音も止まる便利機能です。

6 ) デジタルFLEX(Frequency Level Expander)機能搭載

テープの音がこもって聞こえる主な原因は、高域の音質劣化にあります。デジタルFLEXは自動的に高域レベルを1/f特性に合わせ込み、高域特性の悪い音のこもったテープでもクリアな音で再生します。

7 ) デジタルXD(Extended Dynamic Range)FLAT SYSTEM搭載

使用するテープに応じて録音周波数特性をフラットにチューニングし、更に、高域のダイナミックレンジを拡大します。

8 ) デジタルALCA(Auto Level Control with tape Analysis)機能搭載

デジタル入力録音時、録音レベルを自動的に調整し、最適レベルの録音を可能とします。

9 ) 「Z−コンセプト」の採用

Z−コンセプト技術は、下記の3つの技術により構成されており、波形ひずみを低減し正確な信号伝達を追求することで、高音質化を図ります。

  1. ステイブル・ディテクション(安定信号検出)
    振動や共振を排除してワウフラッタを改善すると共に安定した信号検出を実現します。
    1. カセットスタビライザー
      カセットハーフをモータの回転振動、音圧、外部からの振動から保護します。
      本体の受け側に約70gの特殊スタビライザーを装備し、ソフトタッチでカセットハーフを効果的にホールドします。振動を抑えることで、安定走行を実現し変調ノイズの少ないクリアーな音を再現します。
    2. デジタル・テンションサーボ
      テープの巻き径の大きさに応じて、マイコンがリールモーターの電圧をコントロールし、適正なテープテンションで巻き取りを行ないます。
      特に、これまで不安定になりがちだったテープの巻き始めのワウフラッタを改善します。
    3. ウイングシャーシ
      電源トランスの取付部とカセットメカの取付部の底板の形状を工夫し、インシュレータから効果的に振動を外部に逃がすことにより、回路基板を電源トランスやモータの回転振動から隔離します。
  2. アキュレート・トランスミッション(時間軸正確伝送)
    アンプ電源回路に、アンプ専用トランス巻線から構成したハイスピードアクティブサーボレギュレータを採用しました。負荷変動による電源電圧変動を高速サーボにより瞬時に安定させることができます。つまり、音楽信号の急激な変動にもスピーディに追従でき、CDなどのダイナミックレンジの広いソースを忠実に録音再生します。
  3. ジッターフリーコンバージョン(時間軸忠実変換)
    DACにスイッチド・キャパシタフィルタを採用し、帯域外のノイズを減衰させると共に、クロックジッターによる精度を改善しました。

10 ) その他の特長

  • ドルビーB/CタイプNR ・ドルビーHX PRO
  • パワーローディング/イジェクト ・タイムカウンター(録音・再生の経過時間)
  • 4桁電子カウンター ・テープ残量時間表示
  • 前後15曲飛び越し選曲 ・ヘッドホン端子
  • タイマー録音・再生 ・オートテープセレクター
  • CD−Deckシンクロ ・オートスペース付RECミュート
  • ワイヤレスリモコン付

【主な仕様】

ワウフラッター0.09%WRMS(JIS)
周波数特性(タイプ4)20Hz~21kHz
可聴周波数範囲(タイプ4)20Hz~40kHz
周波数特性(タイプ2)20Hz~20kHz
可聴周波数範囲(タイプ2)20Hz~40kHz
周波数特性(タイプ1)20Hz~20kHz
可聴周波数範囲(タイプ1)20Hz~40kHz
SN比(DOLBY NR−OFF)82dB*
(DOLBY NR−ON)90dB*
(TYPE I テープ第3次高調波歪み率3%,聴感補正,帯域フィルタ)
サイズ420(W)×128(H)×280(D)mm
質量5.0kg
消費電力19W
* デジタル・プロセッシング・システム搭載の本デッキで、デジタルNRを使用した場合のスペック

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