報道資料:“ ピュアモルトスピーカー ”新発売

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Pioneer
1998年 9月 17日
パイオニア株式会社

樹齢100年超、ウィスキー熟成に約50年使われた樽材(楢)で作るスピーカー“ ピュアモルトスピーカー ”新発売1,000セット限定販売

協力:サントリー株式会社、オークヴィレッジ(工房)

当社はこの度、ウィスキー樽材を使用したスピーカー1機種を、下記要領で新発売いたします。

S-PM1000-LR

S−PM1000−LR

商品名 型番 価格(税別) 発売時期 販売台数
ピュアモルトスピーカー S−PM1000−LR ¥120,000 11月中旬 1,000セット限定

【 ピュアモルトスピーカーとは 】

「ピュアモルトスピーカー」は、当社が、サントリー株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:鳥井信一郎)とオークヴィレッジ(所在地:岐阜県大野郡、代表:稲本 正)の協力を得て開発した、単品スピーカーシステムです。
樹齢100年を超える楢の木(オーク)で作られ、かつ約50年という長い年月ウィスキーの熟成に使用された“樽材”をスピーカーのキャビネットに用いることにより、伐採直後の新材では再現できない「暖かみのあるやわらかな音」の再生が可能となりました。製造過程においては、樽材の加工をサントリーが、キャビネット作りをオークヴィレッジが、スピーカーシステム作りと音質調整作業及び製品化全体のプロデュースをパイオニアがそれぞれ担当します。

【 企画意図 】

ウィスキー熟成の使命を終えた樽は、製樽工程でのチャー作業(樽内面焼き)の燃料等に使用されていましたが、「100年かけて育った木なら、100年は大切に使いたい」を合い言葉に再利用の道がさぐられ、数年前からオークヴィレッジなどの工房で樽材を使った家具・工芸品作りが始まりました。
「ピュアモルトスピーカー」は、この酒と木の職人たちの技に、当社の長年培ってきた音作りの技をコラボレートさせることによって生まれたスピーカーです。酒と自然と音楽を愛して止まない人々の大切な道具として、これからの長い年月、感動と潤いを提供してまいります。

【 ピュアモルトスピーカーの特長 】

~なぜ、「暖かく、やわらかな音」か~

サントリーとオークヴィレッジの協力を得て、ウィスキーの樽材でスピーカーキャビネットを試作、試聴してみると、同じスピーカーユニットを使ったシステムと明らかに音質が違うことがわかりました。なぜ、50年もの間、樽として使用した材料を使ってキャビネットを作ると、暖かくやわらかいと感じる音質が得られるかという点については、現在、解析中ですが、

  1. 樽材であるオークは、通常スピーカーキャビネットに使われているパーチクルボードに比べてはるかに高剛性であり、ヤング率は実に4倍以上、内部損失は2倍近く大きいこと
  2. 樽はオークの柾目材だけを使って作られており、柾目は板目に対して約10%ヤング率が大きいこと
  3. ウィスキーの貯蔵・熟成中に、樽材からリグニンやタンニンが溶出しており、その事が材質を変化させていると考えられること

などを、推測しています。

~ウィスキー樽がスピーカーに生まれかわるまで~

  • 森の王、楢の木(オーク)で作られた樽
    ウィスキーの樽は、楢の木(オーク)から作られます。楢は「木の酋(おさ)」と書きますが、別名『森の王』とも呼ばれ、樹形が美しく、豊かな森をつくって生きものを育み、さらに材となってからも、広い用途に使われて人間の生活にも深く関わっています。
    今回、「ピュアモルトスピーカー」のキャビネットに生まれかわる樽は、“パンチョン” (最大径約96cm、長さ約107cm)と呼ばれる樽で、北米産ホワイトオークの柾目板だけを厳選し、伝統の技で作られた贅沢なものです。表面に現れる“とらふ”と呼ばれる独特の模様は、柾目板であることの証です。
    このパンチョンのカーブをサントリーの技術によってまっすぐな状態に直し、工房オークヴィレッジの手へ渡されます。
  • 熟練した職人の技と木を想う心
    オークヴィレッジは、1974年の創設以来、自然と人間の調和を目指したモノ作りを続けている工房です。無垢の木を使い、“お椀から建物まで”日本の木の文化をトータルコーディネートする一方で、森の大切さを理解してもらうために各地で植樹祭を行うなど、自然環境に対しても様々な取り組みをしています。
    オークヴィレッジに渡されたサントリーの樽材は、これまでにも様々な調度品や家具などに姿を変え、その深い味わいと高い芸術性で多くの人を魅了しています。
    「ピュアモルトスピーカー」は、このオークヴィレッジの熟練した職人の手で、一つ一つ丹念に作られていきます。材料の選別・集成・組み立て・仕上げに至るまで、すべてが手作り作業です。大きな樽(パンチョン)1つからたった1セットのスピーカーしか作ることができません。そのため今回発売できるのは限定で1000台。その1台1台には、手書きの鏝(こて)で「1000分の1」から「1000分の1000」までのシリアル表示が刻印されます。
  • 音との出会い
    サントリーとオークヴィレッジ、この組み合わせに当社が加わり、“音”というもう一つの芸術を融合させて、150年以上生きてきた木に、新しい命を吹き込みました。使用したスピーカーユニットは、より原音に近いピュアでダイナミックな音場再生を目指したもので、ここに盛り込まれた当社のクラフトマンシップと技術も、「ピュアモルトスピーカー」の特長を一層際立たせています。
  • 樽物語はつづいていく
    こうして出来上がったスピーカーは、木が生まれてから製品になるまでの背景などを記した特製オーナーズマニュアルと共にお客様のお手元に届きます。
    それから後の長い年月は、美しい調べと安らぎと共に、樽の物語はつづいていきます。

この製品の売上の一部を、社団法人国土緑化推進機構の「緑の募金」へ寄付いたします。
「森を守ることは人の未来を守ること」 パイオニアは、緑あふれる未来の森林作りに協賛します。

*ご参考*

“樽材のスピーカーが何故音が良いか?”
「ストラディバリウスのバイオリンが良く響くのは、十分乾燥した古材を使い、尚且つその材を塩水につけていたからだ」という記事を、以前ある科学雑誌で読んだ。乾燥して古くなると木は結晶化という現象が起こり導管の通りが良くなる。さらにそれを塩水につけると樹液がより外に溶け出て、木材の内部構造が非常に響きやすい状態になるのだと言う。
それならば、柾目の木目が通った材を50年もアルコールづけにした樽材もきっと良い音が出るに相違ない。そう思っていた矢先に、パイオニアさんから「樽材の家具」の実績を見込んで、今回のスピーカーの話が来た。 苦心の末できあがったスピーカーは、案の定……。
本当かどうかぜひ聞いて確かめて下さい。

オークヴィレッジ 代表 稲本 正

【主な仕様】

形式 位相反転式ブックシェルフ型
使用ユニット 14cmコーン型ウーファー,2.5Cmソフトドーム型トゥイーター
インピーダンス
再生周波数帯域 40~35.000Hz
出力音圧 88dB/W(1m)
最大入力 90W(EIAJ)
クロスオーバー周波数 5000Hz
大型金メッキ入力端子 (バナナプラグ対応)
OFCスピーカーケーブル 3.0m×2付属
外形寸法 207(W)×370(H)×305(D)mm
質量 7.5Kg(一台)

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