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DTV受信用高性能8値VSB 復調技術の開発に成功マルチパス妨害による受信障害を改善 室内アンテナでも受信可能に
パイオニア株式会社はこの度、DTV(米国地上波デジタルテレビジョン放送)受信機への応用を目的とした、高性能な8値VSB(*1)復調技術の開発に成功いたしました。 本技術は、受信信号処理における波形等化アルゴリズム(*2)に特徴を持ち、マルチパス妨害(*3)に非常に強いという利点があります。 これにより、従来の8値VSB復調方式では不十分とされていた、室内アンテナによる受信性能についても大幅な改善が期待できます。
米国の地上波デジタルテレビジョン放送は、1998年11月から放送が開始されております。当社はその受信機技術開発の一環として、8値VSB復調技術の開発を進めてまいりました。 8値VSB変調方式は、マルチパス妨害の影響を受けやすく、安価な室内アンテナを用いて受信することが、従来のアナログテレビジョン放送に比べて難しいとされてきました。屋外アンテナを持つ家庭が少ない米国においては、室内アンテナで地上波テレビ放送を受信する家庭が多いため、この点が問題となってきています。 当社では、室内アンテナで安定した受信を行えることが重要と考え、早くから技術的検討を行ってまいりました。その結果、この度マルチパス妨害に非常に強い高性能な復調アルゴリズムの開発に成功したものです。
今回当社が開発した8値VSB復調技術は、マルチパス妨害などの信号伝送歪を除去する波形等化器に特徴があります。新開発の波形等化器構成と等化アルゴリズムは、室内受信時に問題となる近接マルチパス妨害(*4)やダイナミックマルチパス妨害(*5)に対して大きな効果があることが確認されています(参考技術資料参照)。 また、当技術を搭載したLSIを試作し、実際にフィールド受信テストを行うことで、その実用上の効果を確認しております。
次に示しますグラフは、今回当社が開発した新型等化器(Pioneerで示す)と従来の判定帰還形等化器(DFEで示す:Decision Feedback Equalizer)について、その受信性能を比較した結果です。 この比較には、実際の受信環境*1で収集した17種(A~Q)のマルチパス条件を用いており、グラフは各マルチパス条件下において画質妨害の検知限界(TOV:Threshold of Visibility)を与える受信C/N値*2を示しています。例えばAのマルチパス条件では、新型等化器を用いた場合には20dB程度のC/Nがあれば画質の劣化がほとんど無く受信可能であるのに対し、従来型等化器を用いた場合には28dBを超えるC/Nが必要となり、送信アンテナ近傍の地域においてさえも良好な受信は困難であることが推測されます。 新型等化器の性能は17種全ての条件下において従来型等化器を上回っていることが確認できます。多くのマルチパス条件下では、両者の所要C/N値の差は5dB以上にも達しており、新型等化器を用いることで受信エリアの大幅な拡大が期待できます。
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