報道資料:VODプロトコルの標準化による各社製品間の相互接続を実現

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Pioneer
2002年 9月 27日
日本電信電話株式会社
パイオニア株式会社
松下電器産業株式会社
日本電気株式会社
PACE Micro Technology plc
nCUBE Corporation

VODプロトコルの標準化による各社製品間の相互接続を実現~光ブロードバンドによる本格的なストリーミング映像配信がぐっと身近に~

 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)、パイオニア株式会社(以下パイオニア、本社:東京都目黒区、代表取締役社長:伊藤周男)、松下電器産業株式会社(以下松下電器、本社:大阪府門真市、代表取締役社長:中村邦夫)、日本電気株式会社(以下 NEC、本社:東京都港区、代表取締役社長:西垣浩司)、PACE Micro Technology plc (以下 PACE、本社:West Yorkshire, England、CEO:Malcolm Miller)は、ストリーミング(*1)映像配信技術の標準化を目的に各社のVOD(*2)サーバとセットトップボックス(以下STB)に光サービスアーキテクチャコンソーシアム(以下 HSAC) (*3)が規定したVOD制御プロトコルを実装した試作機で相互接続試験を行い、VODサーバ・STB間の正常動作を確認しました。 (別紙1参照)これは、ストリーミング映像配信技術の標準化に向け大きな一歩を示したものであり、仕様を共通化することにより各社製品の方式に依存しない配信サービスが可能となります。この結果、コンテンツ提供事業者は、広くお客様の利用を見込めることから、提供内容の充実が図られ、お客様は、豊富なサービスを受けることが可能になり、光ブロードバンドによるストリーミング映像配信市場の活性化が見込まれます。
 さらにNTTとパイオニアは、今後、本格化する光ブロードバンドの特性を活かしたMPEG-2(*4)最大25Mbpsのハイビジョン再生技術を開発し、それを実装したSTB試作品で、nCUBE Corporation(以下nCUBE、本社:Oregon, USA、社長:Michael J. Pohl)製のVODサーバとの接続試験を行い、正常動作を確認しました。また、NTTとパイオニア、松下電器は、ストリーミング映像配信事業に必要不可欠なコンテンツ保護のためのMPEG-2暗号化技術を開発し、それを実装したSTB試作品で、各社VODサーバとの接続試験を行い、正常動作を確認しました。

(相互接続の意義)

 現在、VOD関連機器間の接続方式は各企業独自で開発を進めてきたため、各社製品間の接続ができず、本格化する光ブロードバンド時代に向け、相互接続の実現が必要とされていました。そこでHSACメンバーであるNTTが各社に呼び掛け、相互接続試験を実現しました。

(ストリーミング映像配信を支える技術のポイント)

1 ) MPEG-2最大25Mbpsのハイビジョン再生を実現(別紙2参照

 IPプロトコルを用いたストリーミング受信では、IPパケットからストリームデータ(TS(*5)パケット)を抽出する際の処理負荷が大きく、従来のソフトウェア処理ではCPUが専有され他のアプリケーションの動作が困難となることから、家電用の比較的安価なプロセッサでは再生できる品質に限界(~5Mbps)がありました。今回、IPからのTSパケット抽出処理をハードウェア化(BB-NIM:Broad Band - Network Interface Module)することにより、高速な処理を実現し高品質化(~25Mbps)を達成しました。
 また、IPストリーミングでは、TSパケットが放送のような一定間隔ではなく不連続に送られて来るため、放送で採用しているようなパケット到着時間による同期再生ができません。これを解決するためBB-NIM上で、MPEG-2のデータに挿入されている時刻情報(タイムスタンプ)をもとに、デコーダ(*6)に渡すデータの速度を調節することにより速度の不整合を解決し、25Mbpsのハイビジョン映像でも長時間安定した再生を実現しました。

2 ) 高速処理が可能なMPEG-2暗号化方式によるコンテンツ保護を実現(別紙3参照

 MPEG-2のTSパケットは固定長で高速処理に向いていますが、ヘッダを除いたデータ部分(ペイロード)にタイムスタンプ等の制御情報が入っている可能性があり、データ全体を暗号化することができません。ペイロードの中の制御情報と映像情報の境目を検出することは、処理負荷を増やし固定長の利点を損なうため、暗号化すべき部分を適切に制御する方式を開発しました。これにより、暗号の実時間復号処理に高速なプロセッサを必要とせず、STBのコストを引き上げることのないコンテンツ保護を実現しました。

(今後の展開)

 各社は、今後も光ブロ-ドバンドによるストリーミング映像配信市場の立ち上げ・活性化を目的に広く他企業とも連携し、各種プロトコルの標準化を進めるとともに、多彩な映像配信サービスの実現に向け、コンテンツ発信機能、双方向コミュニケーション機能などの技術開発を進め、本格化するストリーミング映像配信事業の拡大を目指します。なお、今回策定した仕様をもとに報道発表を行った6社が中心となって、よりよいサービスへの拡充を目的とした検討会を発足させており、今後も広く各社の参加を求めていきます。

[解説]

(*1) ストリーミング(Streaming)
サーバにある動画データや音楽データをネットワーク経由で受信しながら順次再生する技術です。ストリーミングを利用することで、大容量の動画データでもダウンロード時間を無駄に待つことなく再生できるほか、撮影した動画をリアルタイムに配信することもできます。
(*2) VOD(Video On Demand)
映像配信形態の一つで、VOD制御プロトコルを用いることで、利用者の要求に応じて映像の再生、停止、一時停止などが可能です。
(*3) 光サービスアーキテクチャコンソーシアム(HSAC)
一般の家庭に光ファイバが張りめぐらされ、100Mbpsクラスのサービスが普通に提供される時代を先取りし、ブロードバンドサービスにおける権利保護、情報セキュリティ、サービス品質保証など、誰もが安心してネットワークを利用できる環境の実現に向けてサービスモデルや技術条件を検討・公開する機関です。現在、約80社の企業が会員となって活動を行っています。
(*4) MPEG-2(Moving Picture Experts Group-2)
MPEGは動画像圧縮に関する国際標準方式。そのうちMPEG-2は、HDTVを含むテレビ映像など高品質な映像の標準符号化方式で、DVDやデジタルテレビ放送にも適用されています。
(*5) TS(Transport Stream)
MPEG-2の符号化データを多重化して通信回線で送るために規格された形式。188byteの固定長パケットが転送の単位。
(*6) デコーダ(Decoder)
圧縮されたストリームから映像や音声データに伸長すること。

以上

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