#20 オーストラリア北部・アーネムランド編 サウンドバムガイド

オーストラリア北部、トップエンドと呼ばれる所に世界複合遺産のカカドゥ国立公園があります。四国と同じ広さの大地には、豊かな自然のほか、アボリジニが描いたロックアートも数多く残されています。その東側がアボリジニの保護区アーネムランド。自然の中に、アボリジニの聖地があります。特別許可を取りつけて、バワカ村を訪ねました。ケアンズの高原地帯・アサートンテーブルランドを出発点に、オーストラリアの自然と文化を訪ねた音の旅です。

アクセス

空路
  • 成田 → ケアンズ 9時間
陸路
  • ケアンズ → ダーウィン 約2時間
  • ダーウィン → ゴープ 約1時間
  • ダーウィン → カカドゥ国立公園 2時間
    (公園自体が広いので、どこに行くかによります)
  • ゴープ → バワカ 約1時間?
    (ブッシュタッカーしながら行ったので、よく分かりません)

宿泊

先住民族アボリジニの保護地区・アーネムランドにあるバワカという村に、今回サウンドバムは宿泊しました。が、本来居住者以外は入れない地区で、Northen Land Councilで許可を取る必要があります。今回、村の長の家にホームステイ出来たのは極めて特殊なケースなので、その旨、あらかじめお断りしておきます。

サウンドバム

今回のバムでは、まずケアンズで下見も兼ねてアサートンテーブルランド(高原地帯)を探索。レインフォレストは鳥の声がすばらしく。高原の丘では、風の音や風車の音に出会い。滝や渓谷が多いので変化ある音が楽しめます。
カカドゥ国立公園では、鳥達の声は勿論、雨期はダイナミックな雷の音が楽しめます。様々な地形があり、雨期と乾期では全く違うので、度々訪れたい所ではあります(一度には全部回れない!)。是非ゆっくり探索したいポイント。
アーネムランドでは、バワカと言う村にステイしましたが、本当に平和な所。緩やかな透明の波音が絶えず流れ、ブッシュでは鳥達が飛び回る。村の人たちの温和な会話が流れ、夜になると、イダキ(ディジュリドゥ)の音に楽しそうなダンスが。星空の下、夜の波音は別世界を作ります。

バム後記 by 川崎義博

オーストラリアは、サウンドバムに残された最後の大陸でもあり、以前トラジャを案内してくれた人類学者の阿部さんとの1年がかりの計画でした。

特にアーネムランドはアボリジニの保護地区であり、一般の観光客は特別許可をもらって、イルカラの町の周辺だけ入る事ができます。しかし、サウンドバムは、更に奥のアボリジニの村に滞在する事ができました。これは本当に稀なケースだと知ったのは、後からでした。阿部さんのコネクションがあって、初めて実現できました。

その村はイルカラの町から更に砂丘地帯を4駆で走る事1時間、内海に面した小さな村でBAWAKA(バワカ)と呼びます。
ここで、短い期間ではありましたが、日本人としては初めての体験ができ、参加者もおおいに満足しました。なによりも、ゆっくりと繰り返す波音を聞きながら、ぶらぶらと散歩したり、海辺の岩でぼんやり過ごす時間が良かったのです。沖をイルカが魚を追いかけて行くのを眺めたり、モリを手に魚を狙う村の男達に見入ったり。

夜は星空の下、歓迎の歌とイダキの演奏、踊りを村の人たちと楽しく共有でき、非常に幸せな時間を過ごしました。この村での体験がみんなに強く残っており、レコーディング担当の岡田さんとの話しもついこの村の話しになります。

実際、レコーディングとしては、彼等の聖地を自由に歩き回る事ができなかったのですが。ここで、録音された波音はそれ以上にすばらしく意味のある物になりました。
彼等に録音した波音を聞かせた時、彼等は波音を意味のある音として、その奥底にあるものを聞いていました。つまり、彼等には自然に関する独特の考えがあり、音に対しても日本の言霊に似た考えをもって接しているのです。一方では、新しい音楽をCDプレイヤーやラジオで聞きつつ、伝統的な考えを今も維持しているのです。

一方、カカドゥ国立公園では、雨期のわりには雨の被害にもあわず、良いのか悪いのか、名物の雷のすごいのには遭遇できませんでした。1年に1万5千回雷が発生するこの地域。カミナリの体験は次回にお預けになりましたが、有名なカミナリのロックアートを見る事ができ、また、イエローウォータークルーズでは、本当の静寂と、コウモリの乱舞の声を聞く事ができ、贅沢なクルーズが過ごせました。
水が溢れて通れない道路では、早速、川の流れを録音したのですが、水辺に近づくとガイドに本気になって怒られました。なんせ、6m以上の凶暴なクロコダイルがいるのですから。少し恐い、気持ちの良い?水音?
カカドゥ国立公園は是非また時間をもって、訪れたい場所です。

ということで、なんでもない音が非常に意味を持った、今回のサウンドバムでした。しばらくは、波音を聞くとクロコダイルのイメージが....。

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