台湾/Taiwan
西表島の西・約200kmに位置する台湾は、標高500m以上の山地が全島の42.5%を占める島。標高差がつくる多様な環境には、人間を含む豊かな動植物が息づいている。
台北へは、東京・大阪(関西空港)・名古屋・福岡・那覇から航空会社が就航している。東京~台北緒間は約3時間。
このほか那覇から石垣島経由で、台湾の基隆・高雄を結ぶフェリーも就航している。天候に左右されるが、那覇~基隆間は約21時間(一泊)。
南部は熱帯に属する台湾の気候は、南北および標高差により大きく異なるため、一概に語ることは出来ない。一般には、暑さを避ける11~3月がベストシーズンとされている。北部はこの時期、雨が多い。
動植物の多様さは、コスタリカにひけをとらない台湾。自然の音にひたりたい人には、強くお勧めの島。サウンドバムでもこれから継続的に研究を重ねる予定。
自然のみならず、宗教をめぐる音、料理をめぐる音、先住民族に関連する音など、人や文化をめぐる音も楽しい。台湾にはフィールドレコーディングの音源をCDでリリースし続けているレーベルもあり、日本でも入手可能。
5月は、鳥の鳴き声がいいですよね
岡田 うん、良かったですね。
バードウオッチングに出かける人も多いようですね。鳥種も多様でした。
岡田 阿里山へのドライブも、約2000メートル近くを一気に登るでしょう。植生もどんどん変化するし、それにつれて聴こえてくる鳥の鳴き声も変わっていましたね。
屋久島は、日本列島を縦にしたような気候風土ですよね。熱帯の海から、高山植物の群生する寒帯のような山頂まで。
岡田 台湾もそんな感じです。というか、その規模がさらに大きくなった感じ。
台湾は、渡り鳥たちが、南北に移動する時の通り道にもあたるんですよね。
岡田 台湾固有の鳥も、かなりいるみたい。
世界の他の場所に比べ、どんな違いを感じましたか?
岡田 「MADE IN TAIWAN」の商品って、よく目にしますよね。農産物・雑貨・ハイテク関連まで、何でも作り出している台湾は、言葉・食事・文化・人・音楽・街のすべてが混沌としていました。
帰ってから試聴会やCD用に音を聞き直している時も、つい「混沌」という切り口で選んでいた気がする。
あと、街の音。これは毎回楽しみだけど、今回はサウンドバムで初めての漢字文化圏だったので、言葉と独特のスケールが豊かな中国音楽が耳に残ったね。
旅の醍醐味としての、人・食は?
岡田 胃腸薬のテレビCFで見る中国の食事風景。あれ本当なんですねー。怒号のような勢いの会話と食欲。屋台街では、雰囲気だけで満腹になったような錯覚で。
(岡田さんはちゃんと食べてました/西村)
いちばん印象に残っている場所・音は?
岡田 一番インパクトがあったのはやはり、新竹のお寺(城隍廟)で出会った奉納の踊りと音楽。ループ状態の音はすっかりトランス状態だったし、爆竹はほかでは代え難いくらい立派なパーカッションだった。くやしいけど録音では、あのアンビエント(環境・状態)はなかなか伝わらないです....。
もうひとつは鞍馬山の森。神木・苔・小滝・せせらぎ・静寂・鳥など、パーツも揃っていてバム度高し。
しかも、危ない動物や爬虫類はいないと現地では聞かされました。が、ガイドブックによると全く安全ということでもなさそうなので、これから行かれる方は少し要注意です。
フィールド・レコーディングには、どの季節がよさそうですか?
岡田 夏の暑さと湿気は半端じゃなさそう。で、マイクは湿気に弱いということもあり、やはり4~5月か9~10月頃がいいんじゃないですか。
ただ、7~8月は少数民族の村祭りや儀式が多く行われるようなので、山登りの汗は覚悟で、伝統文化にふれる旅もいいかも。
次に台湾へ行くときは、どの辺りへ?
岡田 今回は、主に西側の道路に沿って移動しましたけど、ぜひ東側の海岸沿いをバムしてみたいですね。
阿里山には嘉義から阿里山鉄道、眠月線を乗りつぐ列車の旅も良いかも。(01/06)