Pioneer
2004年 1月 19日
日本電信電話株式会社
パイオニア株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社
ブロードバンド通信向けコンテンツ配信標準仕様「VAAM+」の策定と新しい情報・広告配信サービス「リモートキャストBB」の運用開始について~コンテンツ配信サービスを容易に、かつ安価に実現~
日本電信電話株式会社(以下 NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)とパイオニア株式会社(以下 パイオニア、本社:東京都目黒区、代表取締役社長:伊藤周男)は、このたびブロードバンド回線を利用して、店舗や街頭に設置した大型ディスプレイなどへ各種映像情報を配信するための、コンテンツ配信標準仕様「Virtual Appliance Access Method Plus (以下「VAAM+」)」を共同開発しました。この「VAAM+」は、ブロードバンド回線に接続される機器の違いを意識することなく、コンテンツ配信サービスを利用できるように共通仕様として定義したもので、配信サービスを容易に、かつ安価に提供することを可能にします。
この特長を活かして、パイオニアは、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木正誠)のデータセンターおよびブロードバンド回線を利用し、「VAAM+」を採用した新しいブロードバンド型・情報配信サービス「リモートキャストBB」を開発、2月上旬より運用を開始するとともに、NTT Comと協力して積極的に販売活動を展開していきます。これにより、本格化するブロードバンドでのコンテンツ配信サービス市場の活性化が期待されます。
なお、NTT Comはすでに、デジタル広告配信事業者である株式会社ユビキタスコミュニケーションズ(以下 ユビキタス、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:新居佳英)より本サービスを受注しています。
1 ) 「VAAM+」開発の背景
従来、ポスター、チラシといった紙媒体を用いて行われてきた広告は、IT化の流れの中で、ディスプレイを用いた映像による広告に取って替わられようとしています。また、ブロードバンド回線の本格的な普及に伴い、ネットワークによる広告配信に対するニーズが高まっています。
このような状況の中で、情報・広告表示用ブロードバンド端末機器が、いくつかのメーカーから発表されていますが、それぞれがメーカー独自の機器や配信の仕様を持っており、コンテンツ配信サービス提供者は、それぞれの仕様にあわせてコンテンツを作成することが必要となります。サービス提供者が、簡単に、安価に、広くコンテンツを配信でき、多くの視聴者がサービスを視聴できるようにするためには、ブロードバンド端末機器に依存しない共通の配信仕様を定義する必要がありました。
2 ) 「VAAM+」の特長
- コンテンツ配信標準仕様「VAAM+」では、以下について定義します。
- コンテンツ配信に必要な通信手順、形式
- 確実なコンテンツの配信方式
- どのような端末でも同様に表示できる共通表示機能
- きめ細かい番組編成が可能なスケジュール形式
- 視聴者がコンテンツを選択できるメニュー形式
- 遠隔からの端末機器の利用制御機能
- 表示機器での再生履歴機能
- 機器メーカーが実装しやすい仕様
- 通信仕様には汎用的なHTTP(*1)、XML(*2)、CSV(*3)等を利用
- 配信、再生、履歴、端末の利用制御といった機能を明確に分離
- コンテンツ配信サービス提供者が独自なコンテンツ形式を用意して利用できる拡張性
3 ) 「VAAM+」の技術的なポイント
- 映像コンテンツ配信ASP(*4)に対応したコンテンツフレームワークの規定(別紙1参照)
大規模な配信ASPサービス事業での利用を想定し、コンテンツ制作、再生方法、編成作業の切り分けをふまえた広告コンテンツフレームワークを規定し、明確な作業分担をシステム的に可能としました。 - 大規模な情報・広告配信を実現(別紙2参照)
大規模(端末 数千台)かつ様々なネットワーク環境へ対応するために、サーバ負荷を考慮したコンテンツ配信記述言語を定義し、コンテンツの詳細な配信時刻設定・ファイル比較による不要なファイル配信の省略や配信済みコンテンツの削除等を可能にしました。また、全ての通信にHTTPプロトコルを利用することにより、スケーラブルな配信システムにも対応しました。 - ユーザ操作によるインタラクティブサービスを実現(別紙3参照)
配信コンテンツを指定したスケジュールに従って自動再生するだけでなく、メニュー選択からのコンテンツ再生や関連情報表示など、ユーザ操作によるインタラクティブなサービスの実現を可能にしました。メニューや関連情報に特化した記述言語を定義することで、HTML(*5)ブラウザ(*6)の1/10程度の容量で容易にブラウザを実装することが可能となりました。
4 ) 「リモートキャストBB」商用サービスの実現について
- ブロードバンド型・情報配信サービス「リモートキャストBB」の販売推進
「VAAM+」を採用したブロードバンド型・情報配信サービス「リモートキャストBB」は、お客さまが自由に編成可能であるコンテンツ放映スケジュールに沿って、各種画像データ、オリジナルコンテンツ等をデータセンターよりブロードバンド回線を利用して端末へ配信するシステムです。パイオニアをはじめ、NTT、NTT Com各社の強みを最大限に活用することにより、より迅速かつ安価に、ワンストップでトータルなブロードバンド型・情報配信サービスを提供します。
◇「リモートキャストBB」における各社の役割は、以下の通りです。
- NTT:
ブロードバンド回線を利用して、店舗や街頭に設置した大型ディスプレイなどへ各種映像情報を配信するためのコンテンツ配信標準仕様「VAAM+」をパイオニアと共同開発。 - パイオニア:
NTTと共同で開発した「VAAM+」を搭載した、ブロードバンド型・情報配信サービス「リモートキャストBB」の開発およびネットワーク構築からシステム提供、コンテンツ作成支援、番組手配、スケジュール編成、配信業務までのサービス運営、ならびに「リモートキャストBB」の販売。 - NTT Com:
パイオニアの委託による、データセンターの構築・運用およびブロードバンド回線、LAN構築等の提供、ならびに「リモートキャストBB」の販売。
- 「リモートキャストBB」導入メリット
- 「VAAM+」標準搭載による汎用性の高いコンテンツ配信システムのため、様々なネットワーク環境下で独自のコンテンツ配信システムを低コストで構築できます。
- NTT Comのブロードバンドネットワークサービスを介して、各種映像情報や番組スケジュールを、簡単に全国のグループ・ロケーションに個別配信できます。
- ダウンロード蓄積型の配信システムのため、回線異常が発生しても、端末は自動的に安定的に再生を続行します。
- ネットワーク上の通信が暗号化されていることに加え、コンテンツのアセット管理、ネットワークや端末の常時監視、および運営状況のログ・履歴管理がなされているため、安全なシステム運営が可能です。
- 「リモートキャストBB」の受注事例
ユビキタスは、2月上旬より、国内大手調剤薬局チェーンであるクラフト株式会社(以下 クラフト、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森要)の調剤薬局数店舗において、広告やオリジナルコンテンツの配信を開始します。この取り組みによりユビキタスはデジタル広告配信事業のテストマーケティングを実施し、クラフトは調剤薬局店舗における顧客満足度の向上を図ります。
5 ) 今後の展開
NTTとパイオニアは、今回策定したコンテンツ配信標準仕様「VAAM+」について、今後、多くの企業の参加を広く求め、本仕様の普及を目指すとともに、今回対象とした広告に代表されるようなコンテンツ配信サービス以外のサービスへの標準化についても検討を進め、更なる配信サービスの活性化を図っていきます。
また、パイオニアとNTT Comは、金融業・流通業・サービス業等の法人顧客を対象に、ブロードバンドネットワークを利用した情報配信ビジネスの本格化を目指していきます。
<用語解説>
[問い合わせ先]
日本電信電話株式会社 サイバーコミュニケーション総合研究所 広報担当 定方・山下 | TEL : 046-859-2032 |
パイオニア株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ | TEL : 03-3495-9903 |
NTTコミュニケーションズ株式会社 ビジネスプロダクト開発営業部 本間、飯高 | TEL : 03-6701-9175 |
コンピュータ同士でのデータの送受信に使われる通信プロトコル。文書や画像、音声、動画などのファイルをやり取りすることができる。