2007年技術論文

1.眠気予測技術の開発

柳平雅俊、安士光男

【要旨】

眠気を早期に予測する技術は、居眠り運転を防止する上で有効である。眠気の兆候は、心拍数の低下傾向の中に見ることができる。心拍数は、周囲温度、姿勢、精神状態などによって変化するが、運転中は眠気などの精神状態に影響される。この特性を応用して眠気予測センサを開発した。 眠気予測センサはハンドル把持部の左右に電極を装着し、電極から心拍を検出し、検出した心拍信号から、心拍数の算出、補間・FIRフィルタ処理、および眠気予測処理をした。 試作機を用いてユーザ評価を実施したところ、評価者全員が、運転中の心拍に関心を示し、8割の評価者が本機の性能に対して信頼していることが分かった。

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2.楽曲レコメンドシステム

小田川智、児玉泰輝、莪山真一、松下文雄、鈴木康悟

【要旨】

楽曲録音装置に記録されている大量の楽曲から、楽曲の印象を示す検索語を用いてユーザの好みの曲を再生する楽曲レコメンドシステムを開発した。
音楽的な特徴量を「楽曲特徴量」、検索語を規定する特徴量を「検索特徴量」と定義した。検索語には、運転中に使用されると考えられる「明るい」、「ノリがいい」、「静かな」、「かなしい」、「癒される」を採用し、各検索語に固有の検索特徴量を設定するとともに、楽曲の録音時に楽音信号を分析し、楽曲特徴量を求めた。これらの情報を用いて検索語と音楽の合致度を求め、レコメンドを行った。さらに、本システムにユーザの嗜好を学習する機能を付加することで、ユーザの好みの楽曲をレコメンドする精度の向上を実現した。
また、システムの応用として、外部の状況(時間帯、天気、順調や渋滞などの走行状態)に応じて、その状況に最適な楽曲をレコメンドする機能を開発した。
前者を「フィーリングプレイ」、応用システムを「フィーリングオートモード」として当社のカーナビシステムに搭載し、市場で好評を得ている。

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3.カーナビ音声操作の発話タイミングミス軽減

外山聡一、川添佳洋、小林載、藤田育雄、金子忠靖、大杉淳、塩田岳彦

【要旨】

カーナビ音声操作機能の機能向上を目的にユーザビリティテストを実施し、認識阻害要因の調査を行った。その結果、発話タイミングの取りづらさが一つの大きな要因であると判明し、対策を検討した。カーナビ音声操作のプロトタイピングツールを作成し、対策方法考案/プロトタイプ作成/少人数被験者へのテストを繰り返して、対策手法の検討・絞り込みを行った。その結果、画面の改良およびユーザ主導での発話タイミング切り替えを効果のある対策手法として選択した。この対策手法のプロトタイプに対して、一般被験者へのユーザビリティテストを行い、発話タイミングミス軽減効果があることを確認した。

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4.車載ロボットの試作

伊藤宏平、藤田隆二郎、市原直彦、柴崎裕昭、佐藤伸之、安達友洋

【要旨】

新しいコンセプトを持つ車載機器を検討し、ドライブを共感するパートナー車載ロボットを提案した。「ドライバーと心がつながる」、「運転を優しく見守る(優しい運転)」、「ドライブを一緒に楽しむ」という三つのキーワードを柱として試作を行った。試作品を社外展示会に出展し、来場者アンケートを行った結果、車載ロボットのコンセプトが多くの来場者に理解されたことを確認した。

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5.デジタルリバイズエンジンの開発

浅川太郎、林幸雄、原田清次、勝屋宏一、
阿部義徳、高橋哲也、高橋宏ニ、水戸研司、
田中淑貴、渡邊一弘、伊東毅

【要旨】

地上デジタル放送は、アナログテレビ放送と比較して移動受信の安定性に優れている。しかし、ビルの谷間などを走行している時や高速移動している時、あるいは弱電界エリアでの受信など、受信条件によっては映像の乱れや音切れなどが発生する。
この問題を解決するために、エラーコンシールメント技術"デジタルリバイズエンジン"を開発した。この技術を車載用地上デジタルTVチューナーに搭載することで、受信エラーによる映像の乱れや音切れを低減し、走行中においても良好な視聴環境を提供することができた。

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6.車載向け地上デジタル受信機の開発

内山和彦

【要旨】

ハイビジョン放送とワンセグ放送の両方式を受信可能な車載用デジタルテレビ放送受信機を開発した。移動体でも良好な受信を可能にするため、2チューナキャリア合成ダイバシティおよび画像・音声のエラー補正技術を可能にしたメディアプロセッサを搭載した。

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7.2006HDDカーナビゲーション製品の開発

野中慶也、熊谷俊一、村田一夫、小田亮
村田利幸、津久井智尚、垂井伸夫、新居紀孝
山本健太郎、松尾剛、前川泰利、杉野竜二
青山将士、関根能男、篠永伸夫、岩路博文
加藤寛樹、橋沼孝司

【要旨】

本稿では、2006HDDカーナビゲーション「AVIC-VH009」、「AVIC-VH009MD」、「AVIC-XH009」、「AVIC-ZH009」および「AVIC-H009」に搭載されたWVGA対応モニター、スマートループ構想、音楽配信機能についてその概要を解説する。これらのカーナビはWVGAモニターによる高精細な描画を実現し、蓄積型プローブによる情報共有、またパソコンで購入した楽曲の転送やエニーミュージックからの楽曲購入といった音楽配信にも対応した。

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8.カーナビゲーションをとりまくITS技術

長岐孝一

【要旨】

カーナビゲーションの歴史、カーナビゲーションのハードウェア、ソフトウェア技術について解説するとともに、カーナビゲーションにおけるカメラ応用、車両制御の取り組みなど、カーナビゲーションに応用されているITS関連技術にについて述べる。

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9.車載用有機ELディスプレイの現状と展望

仲田 仁

【要旨】

有機ELディスプレイは、コントラストが高い、応答速度が速い、低温での動作安定性が高いといった特徴を有しており、車載用途に適したディスプレイである。現在、有機ELディスプレイは車載用途としてカーオーディオや一部の計器に応用されているが、薄さや形状のフレキシビリティといったデザイン性の点からフィルムタイプのディスプレイへの期待が高まっている。

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【部門紹介】
モーバイルシステム開発センターの紹介

安藤斉、垣内志津夫、塩田岳彦、上條博之、齋藤トモエ

【要旨】

モーバイルシステム開発センターは、車載システム開発部、デジタル受信機開発部、サウンド技術開発の3部からなり、ナビゲーションプラットフォームの開発、車載カメラ応用技術、音楽エージェント技術、音声認識技術、デジタル放送向け受信機など、カーエレクトロニクス関連の要素技術、システム開発を行っている。また、将来に向けてITS関連、ネットワークへの対応、安全へ向けての取り組みなどにも対応している。

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1.有機発光型トランジスタによるアクティブマトリックス駆動

中村健二、秦拓也、吉澤淳志、小幡勝也、遠藤浩幸、工藤一浩

【要旨】

我々は有機薄膜トランジスタと有機ELを組み合わせた有機発光型トランジスタ(MIS-OLET)を新たに開発し、素子構造を最適化することで、最大電流149μA、最大輝度1034cd/m2(VD=-20V, VG=-50V)、On/Off電流比104の特性を得る事に成功した。また、このMIS-OLET素子を用いてプラスチック基板上に画素サイズ16×16ドットのマトリクスパネルを作製し、アクティブマトリクス駆動を実現した。

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2.有機EL素子の高温保存劣化分析

宮口敏、大畑浩、平沢明

【要旨】

有機EL素子の高温保存に起因する劣化に関して、Backside SIMS法などの各種分析手法を用いて分析を進めている。有機EL素子を正孔輸送層材料のガラス転移温度(Tg)程度以上の温度で保存すると、発光層兼電子輸送層材料であるAlq3と正孔輸送材料が分子状態で混合していることが確認された。また、電子注入層材料であるLiF、CsFの拡散に関しても分析を行い、高温環境下では、Li元素、Cs元素ともにAlq3層への拡散が確認された。また、Liに比べCsの拡散は大きく、素子特性の劣化も顕著である。

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3.コーティングによる有機TFTの作製

中馬隆

【要旨】

アクティブマトリクス駆動フラットパネルディスプレイに使用されているTFT(Thin Film Transistor)には、Siを主原料とした半導体が用いられている。一方では、近年有機化合物を半導体層に用いた有機TFTの開発が国内外で盛んであり、特に印刷技術を用いてTFTを形成する技術開発が注目されている。本稿では、印刷を用いて有機TFTを作製する技術を、発表事例を紹介しながら解説する。

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4.Correlation of hole mobility,
exciton diffusion length, and solar cell
characteristics in phthalocyanine /
fullerene organic solar cells

寺尾佑生、雀部博之、安達千波矢

【要旨】

金属フタロシアニン(MPc, M = Fe, Co, Ni, Cu, Zn and H2)およびフラーレン(C60)を積層させたヘテロ接合型有機太陽電池において、MPcのホール移動度および励起子拡散長を太陽電池特性と比較した。その結果、ZnPcを除くMPcを用いた太陽電池では短絡電流がホール移動度と線形関係を示した。また、それぞれのMPcについて励起子拡散長を理論計算によって求めたところ、励起子拡散長は短絡電流と比例関係を示し、両者が強い相関関係にあることが確認された。

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in English

5.PDP用蛍光体の帯電量が放電特性に与える影響

杉尾幸彦、日比野洋、小牧俊裕

【要旨】

PDPの放電特性は、使用する蛍光体によって異なることが知られている。PDPの高性能化および長寿命化には、RGBの放電電圧を制御し、均一化することが必要である。しかし、RGB蛍光体が放電特性に与える影響についてはメカニズムがよく判っていない。本研究では蛍光体の『帯電量』に着目し、PDPの放電特性に与える影響について調査を行った。その結果、蛍光体の帯電量が放電特性に大きく影響していることが判り、帯電量を制御することでRGBセルの放電電圧を均一化することに成功した。

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6.UV-LED配列を用いた多層ディスクの中間層形成法

近藤 淳、田切 孝夫、吉本 正夫、東家 安信、大島 清朗、滝下 俊彦、山中 修

【要旨】

多層ディスクにおいては、中間層の層厚分布に対して非常に高い精度が要求されている。我々は東北パイオニアと共同でUV-LED配列を用いた新しい中間層形成法を開発した。今回開発した中間層形成法を用いることにより、ディスク全周での層厚分布はPP値で2μmに抑えることが可能となる。これにより、2層型DVD-Rの中間層形成のみならず、2層型BDあるいは多層ディスクの中間層形成に対応することが可能である。

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7.環境負荷を考慮した大容量光メモリ用反射膜材料の開発

樋口隆信、細田康雄

【要旨】

記録再生特性と環境負荷の両立を目的として新しい反射膜材料の開発を行い、環境負荷の目安となるPRTR法の対象にならない物質を用いて、反射膜を構成する結晶粒子を微細化することにより媒体ノイズを低減した。新規に開発したAlPdSnO合金をBlu-ray Disc型の光メモリ媒体に適用すると、既存のアルミニウム合金(AlTi)よりも優れた記録再生特性を示した。

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8.BD/DVD/CD互換機用多波長集積レーザの開発

宮地 護、木村 義則、三村 泰弘、尾上 篤

【要旨】

我々は、多波長集積レーザを作製するための、量産性のあるウェハレベルによる集積プロセスを開発した。このプロセスを用いることにより2つの発光点間隔が3μmと非常に近接した赤/赤外二波長集積レーザを実現した。さらにこの二波長集積レーザと青色レーザを集積することにより、全ての発光点が10μm以内に収まっている青/赤/赤外三波長集積レーザを作製することに成功した。

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9.アクティブマトリックス駆動型HEEDの開発と
撮像デバイスへの応用

中田智成、佐藤貴伸、松葉陽平、田中亮太、酒村一到、根岸伸安、
奥田義行、渡辺温、吉川高正、小笠原清秀

【要旨】

HEED(High-efficiency Electron Emission Device)は様々な可能性を持っており、その中でも超高感度撮像デバイスへの応用が期待されている。超高感度撮像デバイスであるHARP(High-gain Avalanche Rushing Amorphous Photoconductor)撮像板を実現させるため、アクティブ駆動型HEED冷陰極アレイを開発し、これとHARP膜とを組み合わせたHEED冷陰極HARP撮像板を試作した。本撮像板をNTSC規格で駆動したところ、良好な撮像特性を確認することができた。

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10.集束イオンビームによりナノ加工を施した
LiNbO3フォトニックデバイス

李西軍、渡辺温

【要旨】

ナノ加工技術の進歩により、斬新で高性能な光デバイスの研究開発が益々盛んになってきている。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)分野ではすでに成熟しているナノリソグラフィやナノエッチング等のトップダウン型のナノ加工技術を駆使し、スラブ型フォトニック結晶やフォトニック・ワイヤーなどが次々と報告されている。我々は、集束イオンビーム(FIB)を用いることにより、まだ未成熟分野であるシリカ上ニオブ酸リチウム(LN)薄膜に対するナノ加工技術を確立し、フォトニック結晶構造の作製に成功した。さらにLNのリッジ型導波路において、FIBによるサブミクロン・オーダーの直接ドメイン・パターニングも達成することができた。最後に集積型LN非線形光デバイスと高集積光回路LNフォトニック結晶に言及する。

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【一般論文】
Song Surfing: 類似フレーズで
音楽ライブラリを散策する音楽再生システム

堀内直明、薗田俊行、田中浩司、田中淳一、長沢秀哉、莪山真一

【要旨】

近年個人でも大規模な音楽ライブラリを容易に構築し、楽しめる環境が整ってきた。しかし、楽曲名やアーティスト名等の書誌情報で楽曲を検索する従来のインタフェースでは、個人のライブラリであっても数千曲もの楽曲を把握するのは困難であった。そこで本研究では、楽曲の持つ時系列データに注目し、適度なユーザの介入を許すインタフェースと組み合わせて、大規模音楽ライブラリを容易に楽しめるシステムSong Surfingを開発した。Song Surfing を用いれば、音楽ライブラリの大きさに左右されず同じ労力でそのライブラリを楽しむことが出来るようになる。

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【部門紹介】
デバイス研究センターの紹介

横川文彦

【要旨】

デバイス研究センター(DRC)は2006年7月に総合研究所の中に新設された。新規光ディスクシステム、有機EL ディスプレー、HEED、強誘電体メモリといった当社の独自デバイスとその応用システムを研究開発する部門である。本項では、デバイス研究センターのミッションや研究領域について紹介を行なう。

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