2002年技術論文

1.HDDカーナビゲーションシステム

本橋実

【要旨】

HDDサイバーナビを開発し、市場導入した。
本システムの商品開発上のポイントは"群を抜く圧倒的な商品力の実現"であり、主に、
(a)高い処理能力を実現する新プラットフォーム
(b)小型化設計
(c)オーディオとの新たな融合
(d)画像の高画質化
に注力した。
本稿では、後述の詳細の導入の役割として、上述の概要を述べた。

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2.HDDナビ用新プラットフォームの開発

松本令司、天野克巳、佐藤強司、小林聡実、安藤斉

【要旨】

2001年モデルのカーナビゲーションを開発するにあたり、21世紀にふさわしい商品にすることを目的に、新しいプラットフォーム開発を総合研究所とMECとの共同プロジェクト(Jプロジェクト)で開発を行った。ASIC開発を中心に、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)や描画プロセッサ(GDC)などの新規デバイスに対応するとともに、データストレージとして新たにHDDを採用し、ナビの性能向上のほかに、ミュージックサーバーのような新機能を実現し新しいナビの形を提案できた。

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3.HDDのナビへの応用

滝澤政彦、松村博史

【要旨】

カーナビゲーションの地図記録媒体として、Hard Disk Drive(HDD)を使用するため、各種試験を実施した。車載環境という条件下で、振動動作、温度動作等実用上問題ないことを確認し、HDDカーナビゲーションシステムを商品化した。

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4.AVパワーユニット(AVIC-V07MD)の開発

石津和紀、中根昌夫、原陽一、本間康秀、牟田勉

【要旨】

AVパワーユニットは、HDDナビゲーション用インダッシュTVメインユニットとして開発をおこなった。 AVパワーユニットはインダッシュフル電動7インチモニタにTVチューナ、FM/AMチューナ、MD、DSP、アンプを凝縮したオーディオメインユニットである。 開発の中で1DINインダッシュにこれらの機能を凝縮するため小型化が必須要件であった。LCDパネル、映像信号処理回路、インバータユニット、駆動部ユニットの小型化によりAVパワーユニットの製品化を行なった。

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5.HDDナビゲーションシステムにおける実装技術の開発

堀口英樹

【要旨】

メディアにHDDを採用し、AVとナビゲーションを融合させたカー・ナビゲーションシステム「AVIC-H09」を1DINサイズで実現した。これを実現するために、カーコンピュータ部にBGA-IC、ビルドアップ基板、高効率・小型のDC-DCコンバータを採用し、高信頼性、低コスト化、高密度実装を実現した。また、GPS部では小型化に対応する部品の検討、各回路の検討を行い、さらに放熱、雑音を考慮した実装を行い、車載機器として十分な信頼性を確保した。

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6.車載用DVD/CDドライブの開発

荒木盛雄、坂本雅人、富樫淳、西尾善道、福田真之介、松尾一徳、山下俊郎

【要旨】

車載用DVD/CDドライブ(MS2)を開発した。
本ドライブは以下の特徴をもつ。

  1. 小型ピックアップ搭載で厚さ25.4mmの薄型ドライブ
  2. DVD-ROM、DVD-VIDEO、CDDA、VIDEO-CDなど、多くのディスクメディアに対応。
    さらにDVD-ROMはATAPI対応。
  3. 共通のプラットホームで、以下の3つのバリエーションを持つ。
    1. a. DVD-ROM/CDドライブ
    2. b. DVD-VIDEO/CDドライブ
    3. c. DVD-ROM+VIDEO/CDドライブ

これら魅力的な特徴により、多種多様な高機能、高付加価値製品へ柔軟に対応することが可能となった。

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1.次世代光ディスクシステムの再生マージンシミュレーション

柳澤琢麿、野本貴之

【要旨】

青紫色レーザーと高開口数の対物レンズを用いた次世代光ディスクシステムの再生信号シミュレータを開発した。このシミュレータは信号処理効果も含めたシステムマージンの計算が可能である。これを用いて、次世代の再生専用型光ディスクシステムのマージンシミュレーションを行った。その結果、リミットイコライザを用いることで、記録容量25ギガバイトのシステムが実現可能で、更に適応型イコライザやクロストークキャンセラまで用いれば、更なる大容量な光ディスクシステムが実現できる可能性があることが分かった。

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2.DVD/CDピックアップ用 光集積デバイスの開発

伊澤正隆、皆川登、橋本和信、富澤功

【要旨】

要旨DVD/CDピックアップの小型化・ローコスト化を実現するため、受光素子に光学部品の一部機能が追加された光集積デバイス(=光ICデバイス)を提案した。そして、光ICデバイスの設計手法と製作手法を確立し、DVD/CD ピックアップ用の光ICデバイスを試作した。評価用ピックアップに実装して評価したところ、光ICデバイスからのサ-ボ信号を使い信号再生することができた。

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3.25 GB DVR-RWディスクの開発

細田康雄、泉知明、三森歩美、神野智施、工藤秀雄

【要旨】

今回、DVR-RWの仕様に基づく、カバー層厚0.1 mmを有した相変化記録ディスクにおいて、青紫色レーザーを使った次世代光記録ディスクの開発を行い、最終的に、グルーブ記録方式を用いた、GeInSbTe系相変化ディスクで、25 GBの大容量記録ディスクを開発した。そして、リミットイコライザを用いることによって、十分なシステムマージンを得ることが出来た。
また、2倍速記録の検討も行って、25 GBの2倍速記録ディスクを開発するに至っている。

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4.高速記録DVD-RWディスクの開発

松川真、大島清朗、田切孝夫、滝下俊彦

【要旨】

現行DVD-RWのver1.1規格との互換性を保ちながら、2倍速記録にも対応したディスクの開発を行った。相変化記録材料の結晶化速度の最適化、ディスク構造、LPP形状の最適化、高精度カッティング技術によるスタンパーグルーブ部の低ノイズ化の実現、などにより本開発を行った。本開発により作製したディスクをベーシックライトストラテジー及び2倍速最適化ストラテジーにて記録した結果、1倍速jitter7.67%、変調度67.9%、反射率20.9%、2倍速jitter6.92%、変調度75%、反射率20.1%であり、記録後のディスクはDVDプレーヤーに互換性のあることを確認した。

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5.High-Speed(×1~4)対応DVD-Rディスクの開発

村上重則、近藤淳、滝下俊彦

【要旨】

色素媒体の最適化、成形基板溝形状の最適化、LPP形状の最適化等を行うことにより、650 nm記録波長に対応したHigh-Speed 4.7 GB DVD-Rディスクの開発を行った。本開発ディスクをDVD-R for General Ver2.0規格準拠のベーシックライトストラテジにて×1 recordingした結果は、変調度61.7%、Jitter6.65%、PIER_MAX45カウントであった。また、DVD-R for General Ver2.01規格準拠のベーシックライトストラテジ候補にて、×2、× 4recordingした結果は、変調度77.1%(×2)、79.1%(×4)、Jitter6.38%(×2)、6.42%(×4)、PIER_MAX23(×2)、27(×4)カウントであった。記録後のディスクはDVDプレーヤに互換性のあることを確認した。

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6.DVD-R 2倍速記録技術

堀川邦彦、城田彰、加藤正浩、村松英治、谷口昭史

【要旨】

標準速記録(1倍速記録:ユーザーデータレート11.08 Mbps、記録線速度3.49 m/s)を前提に開発されたDVD-R for Generalディスクは、DVD-Forum公認の規格として発行された。このDVD-R規格に準拠したディスクメディアで2倍速記録を実現するための記録技術検討を行った。

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7.ディスク型情報記録装置の研究動向

伊藤寛

【要旨】

ハードディスク装置(HDD)、光および光磁気(MO)ディスク装置などの高密度化の発展について述べる。記録密度の上限は、一般的に、磁気記録媒体では熱揺らぎによって引き起こされる記録ビットの劣化により、一方、光記録においては光の回折限界がその制限を受ける。研究はこれらの望ましくない効果をいかに克服するかに焦点をおいてきた。具体的には、前者は超常磁性限界として知られる。この限界を押し退けるために、反強磁性結合の記録媒体が開発された。この記録媒体を高感度巨大磁気抵抗(GMR)効果型ヘッドと組み合わせることによって、100 Gbits/in2を超える面記録密度が達成された。一方、高密度光および光磁気(MO)ディスク装置においては、近接場光記録、電子ビームマスタリング(EBR)および超解像現象などの新規な技術が、光の回折限界を克服するために広範囲に研究されている。CDサイズディスクに約21-50 GBの記録容量を蓄積出来る次世代DVD装置が、青紫色半導体レーザと高い開口数レンズを用いて開発された。幾つかのディスク型記録を満たす小型装置がディジタル静止画カメラや車載用途(PDA)として開発されている。

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1.ホームAVネットワークシステムの開発

渡部一智、高橋 努、長谷部剛、美濃島邦宏、樋口正生、
稲垣勝利、森岡隆一郎、田中淑貴、山村 学、城崎康夫、西村紳介

【要旨】

誰もが簡単に構築でき、より快適なホームネットワークシステムを実現することを目的として、IEEE1394により接続されたデジタルAV機器によるホームAVネットワークの統括制御、及びインターネットを利用したグローバルネットワークとの融合を可能にし、ネットワークリモートコントローラを用いてすべての操作を手元で簡単に行うことができるホームAVネットワークシステムを開発した。

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2.DVD暗号LSIの開発

山口 聡、吉田成孝、鈴木敏雄、佐々木努、河原哲也、遠藤秀人

【要旨】

DVD録画機で著作権を保護しつつ商用コンテンツの記録を可能とするため、記録型DVDで採用されているコンテンツ暗号化方式"Content Protection for Recordable Media"(CPRM)に準拠した暗号化、復号化を行なうLSI(CPRM LSI)の開発を行なった。暗号に関わる処理をLSI内部で完結させることで、機密情報の保護とLSI制御の容易化を実現し、独立した暗号化処理系と復号化処理系を備えることにより、録再同時動作への対応を可能とした。

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3.DVR-7000の開発

清水勇治、高橋 央、川原康成、遠藤二郎、石井英宏

【要旨】

DVDレコーダ DVR-7000を商品化し、2001年7月市場導入した。システム構成を前モデルからフルモデルチェンジし、高画質化、多機能化、使い易さを実現した。

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4.HDD-DEHのソフトウェア開発

野中慶也、傳田明弘、植坂岳冶、坂元勇二、新居紀孝、佐藤征宏、
遠藤和明、加藤寛樹、杉野竜二、佐田武志、遠藤孝司、西瀉純子、石山邦浩、森田健司

【要旨】

本製品はカーオーディオとして初めてCD(MP3CD再生対応)、Magic Gate Memory Stick記録/再生/データベースのアップデート機能、HDD記録再生といった新しい機能を開発し、従来からあるAM/FM Tuner、MOS-FET 50 Wx4chアンプ、OEL表示、音場制御DSPとともに全世界向けとし、1DINサイズに搭載した。
HDDに格納された多数の楽曲を容易に扱う為、特に操作性に配慮しながら新しいオーディオの世界を作ることに注力し、他社に先駆けて市場導入することができた。

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5.品質工学を用いた振動板形状の最適化

今西快友、馬場輝夫、長谷川知己、小谷野進司

【要旨】

薄型かつ異形で有りながら広帯域再生可能なスピーカ振動板を実現する手法について検討した。構造解析を用いた異形振動板の開発では形状パラメータの増加により、従来の経験的手法では最適形状を効率よく得ることが困難である。そのため、品質工学を適用し、形状パラメータの最適化を試みた。パラメータは形状要因から8種類を選定し、L18の直交表に割り付け周波数を誤差因子として実験を行った。その結果、平坦で広帯域な音圧特性が得られる振動板形状を効率よく決定することを可能とした。

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6.箱庭的臨場感の提案と、
めがね無し小型立体表示装置の開発

石川大

【要旨】

ユーザーインターフェースやコミュニケーション機能を目的とした、新しい感覚の臨場感を提案し、これを実現するために、新しい方式によるめがね無し立体表示技術「3Dフローティングビジョン」を開発した。また同時に、一般個人使用を前提とした、めがね無し小型立体表示装置を試作した。
ハードの構成として、マイクロレンズアレイを用い、空間に実像を結像させることで、生理的要因による立体感を作り出している。また同時にソフト制作時に、物体の大小や、明暗、陰影、コントラストなどの要因を適宜盛り込むことによって、心理、記憶的要因による立体感を作り出している。
これら2つの要因により、試作機において効果的な立体感を確認することが出来た。 3Dフローティングビジョン」の特長としては、主に以下の項目があげられる。
(1) 構造がシンプルなため、低コスト化、小型化が可能
(2) 手前に飛び出す映像を、裸眼で観察できる
(3) ソフト制作が比較的容易
(4) 見る距離が固定されない
(5) 眼が疲れにくい
(6) 横になっても見られる
また商品への応用形態として、擬人化されたコミュニケーション機能を予感させる、玩具メーカーでの試作品を報告する。

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7.コピープロテクション

安島浩輔

【要旨】

近年より重要性を増している著作権保護は、技術のみならず契約や法律、また他の技術との組み合わせによって、成り立っている。
著作権保護の網のどこか一箇所にでもセキュリティの弱いところがあると、そこから違法な複製が作られてしまう。どこにも弱点を残さずに、著作権保護の網の強化をすすめることが急務である。

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【一般論文】
「レーザ加工を用いたVariable Stripe Length法
によって測定したGaN系青紫色レーザーダイオードの
光学利得と内部損失」

木村義則、伊藤敦也、宮地 護、高橋宏和、渡辺 温、太田啓之、竹間清文

【要旨】

GaN系青紫色半導体レーザにおいても、半導体レーザの性能改善の指標となる利得や内部損失などを測定することに対する重要性が増している。そこで、我々は実際に発振するGaN系青紫色半導体レーザ素子の利得や内部損失を直接測定することのできる、Variable Stripe Length(VSL)法のための新しい手法を提案する。今回提案するこの方法では、高出力のレーザ光を半導体レーザ素子のp側電極金属に照射、加工することで励起長を変えるという方法によってVSL法を実現する。この方法を我々の作製したGaN系青紫色半導体レーザに適用したところ、内部損失の大きさは素子の積層構造に強く影響されていることが明らかになった。

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「GaAs基板上に貼り替えた GaN系青色半導体レーザの作製」

宮地 護、伊藤敦也、木村義則、高橋宏和、渡辺 温、太田啓之、竹間清文

【要旨】

サファイア基板上に形成したGaN系レーザ薄膜をレーザリフトオフ法を用いてGaAs基板に貼り替える技術を検討した。この技術により共振器端面の品質は通常のサファイア基板上のデバイスと比較して改善され、その形成歩留まりも大幅に向上した。また、サファイアを剥がしたn-GaN側から放熱をとることにより、良好な放熱特性が得られ、60℃においても30 mW以上のハイパワー動作が可能となった。

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