2000年技術論文

1.1パス可変レート制御によるMPEG映像符号化技術の開発

梅原泰之、稲垣勝利、劉東華、高橋努、堀内崇弘、木村智博

【要旨】

DVDファミリーの1つとして、映像、音声を記録できるDVD-RWを用いたDVDレコーダの商品化にあたり、MPEG映像符号化方式として1パス構成の可変レート制御(Variable Bit Rate control:以降VBR)アルゴリズムを開発した。これにより従来の1パス構成の制御に用いられていた固定レート制御(Constant Bit Rate control:以降CBR)と比較して画質の改善を実現することができた。

2.BSデジタルTV放送試作受信機の開発

江見哲郎、鮎貝泰城、藤井馨一郎、藤吉昭光、井上達、
阿部和也、松本令司、大久保英幸、轟隆一、増本優

【要旨】

日本におけるBSを利用した衛星デジタル放送受信機の試作を行った。この放送システムには、「HDTV放送」「階層受信」など、新しい技術が盛り込まれており、今回の開発で、方式の基本技術の確立ができた。

3.地上波デジタル放送方式(ISDB-T)

橋宏二

【要旨】

日本の地上波放送方式であるISDB-Tが1999年5月に規格化された。このISDB-T規格は以下の特徴をもつ。
・HDTV(High Difinition Television )放送対応である。
・移動体受信対応である
・階層化伝送対応である
・SFN(Single Frequency Network)の構築が可能
本論分はISDB-Tの概略を紹介する。

4.DABの応用

市川俊人、松宮由季、内山和彦、土岐克彦、中尾堅志

【要旨】

移動体受信において、マルチパスによるノイズの影響を受けないCD並の音声、およびデータ放送を提供することの出来るデジタル放送システム DAB(Digital Audio Broadcasting)の車載用受信機の開発を行った。
回路構成としては、アナログ部受信系にTEMIC社製IC、デジタル信号処理系はPhilips社製ICを搭載しており、IP-Bus(パイオニアカーステレオ用バスシステム)コントロールによるハイダウェイチューナ形式である。
ドイツ評価コースを始めとする欧州各国で走行試験を繰り返し、現在、放送局でリファレンスの受信機として採用されている DAB452(Philips社製)とほぼ同等の性能を持つ車載用第1世代受信機を市場導入することに成功した。

5.振り付けカラオケの実現

稲葉尚人、浅井三平、星野孝行

【要旨】

モーションキャプチャーと3次元コンピュータ・グラフィクスを用いることにより、わずかなデータ量でリアルなヒトの動きが再現できることに着目し、CGアニメーションによるMIDIカラオケと同期した振り付け表現について検討した。その結果、振り付けカラオケを通信カラオケシステムSuperBeMAX'Sの主要機能として搭載することができた。

1.フリップチップ実装技術の開発

佐藤菊一、梶原博、安達明直、馬見塚尚志

キーワード:フリップチップ、ICチップ、ACF工法、ACP工法、NCP工法

【要旨】

電子機器に対して、小型化高機能化が強く求められている。これらの要求を実現するため、裸のICチップを直接プリント配線板に実装するフリップチップ実装技術が、不可欠なものとなった。
フリップチップ実装技術の信頼性評価を継続しているが、現時点で、TEG(Test Element Group:特性評価用素子)をビルドアップ基板にACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)工法、ACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電ペースト)工法、およびNCP(Non Conductive Resin Paste:無導電粒子ペースト)工法で実装実験を行った結果、高温高湿試験(85 ℃ 85% 500時間)、ヒートショック試験(-55 ℃/25分~+125 ℃/25分 500サイクル)に対して、接続抵抗値の上昇が少ない材料、接合条件を見出すことができた。

2.画像認識による光ピックアップ調整技術の開発

市川努、小林誠

キーワード:画像処理、光ピックアップ、ビーム分布、新光軸調整法、レーザービーム

【要旨】

光ピックアップの光学系調整において、従来使われていたダイナミック調整とは方式の異なる画像認識を用いた新光軸調整方式の開発を行った。受光素子やレーザービームをCCDカメラで取り込み、画像処理することで位置情報やビームの分布・フォーカス情報を得ることができる。
この方式を量産装置に展開することで、タクトタイムの短縮およびバラツキの低減が期待できる。

3.MDピックアップ生産化における設備開発

田中勝利、青木吉幸、田崎淳、岡寺永貴

キーワード:MDピックアップ、小型化、高密度化、接着剤、ACT、フレキ

【要旨】

MDピックアップ生産用設備・治具を開発・導入した。MDピックアップの特徴である小型化・高密度度化に対して以下の点に着目して開発・導入を行い、安定した生産を実現した。
1. 接着剤少量塗布
2. ACTバネ曲がり防止
3. 狭ピッチフレキ実装

4.記録再生光ピックアップの新調整法開発

岩田達也、千田勇人、大内秀和、桑原慶成

キーワード:DVD-RW、光ピックアップ評価調整システム、再生信号検出式調整法、ビームスポット式調整法成

【要旨】

4.7 GB DVD-RW光ピックアップ評価調整システムを開発した。
この手法では、光ピックアップ(PU)から出力した光ビームがディスク面上に集光した状態(=ビームスポット)の形状を直接観測し、調整することが可能となった。
既存の基準ディスクを使用し、フィードバックされた電気信号を生成し総合評価調整するシステムと比べ、より高精度、短時間でPU調整が可能となった。

5.PPDPにおけるモジュールアセンブリ技術

伊奈岡孝

キーワード:PDP、マトリクス駆動、接続工法、実装工法、信頼性評価方法

【要旨】

DPのガラスパネル上電極へドライバーICなどの電気回路を電気的に接続するモジュールアセンブル工程における接続技術について、具体的な工法と留意点について紹介する。またその接続信頼性評価方法とドライバーICの実装工法、およびモジュールアセンブリ技術の今後の課題について述べる。

6.電子回路基板の検査技術

尾川謙一、冨田信次

キーワード:JTAG、BIST、ファンクションテスト、複合協調テスト、JTAGコントローラ

【要旨】

電子回路基板の新しい検査方法として「複合協調テスト」を検討した。複合協調テストは、バウンダリングスキャンテスト(JTAG:Joint Test Action Group)、ファンクションテスト、BIST(Build In Self Test)を、組み合わせ、同時に実行するテストである。
実際に電子回路基板の検査を複合協調テストで行った結果は、各々単独のテストで検査した場合に比べ、見逃し不良が大幅に減少することを確認した。

7.高密度実装基板の量産化取り組み

渡邉万哲

キーワード:1005チップ、BGA、CSP

【要旨】

1996年から量産がスタートした携帯電話基板の実装量産化を行った。実装量産化取り組みに当たり、当時の当事業所では実装技術上の新工法であった1005チップの実装から検査方法の確立、ファインピッチ印刷技術の確立、およびBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip Size/Scale Package)の接合信頼性確認から修理/検査方法の確立を行った。

8.薄型・高効率バックライトの開発

河合功治、山田秀夫、志水文雄、長島貴、石川隆司、花岡実、小田啓二

キーワード:バックライト、インバータ、導光板、薄型化、液晶ディスプレイ

【要旨】

液晶ディスプレイとして高画質を維持しながら世界最薄型・軽量・低消費電力を達成するためのバックライトを開発した。
インバータ、導光板などの部品の効率改善によって低消費電力化を図り、また薄型化のためにモジュールケース削除やアルミ・樹脂一体外装などの手法を採り入れ、厚さ7 mm、消費電力4.8 W、輝度480cd/m2の液晶ディスプレイを実現した。

9.クリーム半田印刷の改善

齊藤貞幸

キーワード:SMT工法、半田印刷、スキージホルダー、ウレタンスキージ、スキージ速度、印刷品質

【要旨】

SMT工法においてクリーム半田印刷の良否は実装品質に多大な影響を及ぼす.加えて生産性の面から印刷速度への要求も厳しさを増している。印刷品質を確保することと印刷時間を短縮することの両立こそ重要な課題である。新しく開発したスキージホルダーを用い、ウレタンスキージの柔軟性の利点を活かし、スキージ速度200 mm/secを達成、しかも安定した印刷品質を実現した。

1.ピットエッジ多値記録を用いた
高密度光ディスクシステムの信号処理技術

後藤利夫、林英樹

【要旨】

再生専用型光ディスクの高密度化のために、SCIPER(Single Carrier Independent Pit Edge Recording)と呼ばれるピットエッジ多値記録方式と、RPR(Radial direction Partial Response)を組み合わせたSCIPER/RPR方式が提案されている。この光ディスクシステムの記録技術としてピット交番配置、畳み込み符号、記録補償を開発し、再生技術として適応イコライザ、キャリアキャンセラ、ビタビ復号を開発した。このシステムのデータ再生性能を計算機シミュレーションにより評価した結果、1×10-3のビットエラーレートでノイズマージンが5.4 dB改善され、タンジェンシャルチルト、タイミングオフセット、ピット位置ずれに対するマージンが拡大することがわかった。

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2.電子ビーム記録装置を用いた高密度マスタリング

勝村昌広、北原弘昭、小笠原昌和、小島良明、和田泰光、飯田哲哉、横川文彦

【要旨】

次世代DVDシステムの開発において、必要な高密度ディスクを作製することを目的とし、電子ビーム原盤記録装置を開発し以下の項目を確認した。

  1. 20 Gbytes、25 Gbytesの記録容量ディスクを作製し、対物レンズNA=0.75の再生システムで、DVDスタンダードイコライザを用いてスタンパ再生を行い、20 Gbytesディスクではジッタ7.7%、25 Gbytesディスクではジッタ14.5%が得られた。
  2. 電子ビームの収束半角6 mradの条件により80 nm L&Sと50 Gbytes記録容量の記録を行った.

電子ビームを用いたマスタリングは、高密度光ディスクにおいて有力なマスタリング技術である。

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3.薄型基板における複屈折制御の検討

今井哲也、志田宜義、菅圭二、飯田哲哉

【要旨】

高密度薄型基板の射出成形において、ディスク性能に影響を与える複屈折値の制御と低減が求められている。そこで、筆者らは成形技術の立場から複屈折の発生原因のひとつである熱応力に着目し、金型キャビティ表面の温度分布を変化させることによる複屈折の制御および複屈折値を最小とするための金型キャビティ表面温度分布を射出成形用CAE解析ソフトを用いて検証を行ったので報告する。

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4.薄型基板厚みばらつきの低減

菅圭二、今井哲也、志田宜義、飯田哲哉

【要旨】

次世代DVD基板成形技術においては、球面収差の原因となる基板厚みばらつきの低減が求められることになる。局部的厚み変化を起こす基板では、鏡面板の冷却溝形状(渦巻き形状)の屈曲部と基板薄肉部が一致する。また、通常の射出成形では金型は鏡面板を含めて射出圧力により径方向におわん形状の変形を生じている。そこで鏡面板の変形について簡易モデルを用いて解析を行ったところ、屈曲部の変形が小さくなっていることが判明した。そしてその結果より屈曲部のない鏡面板を作製して成形を行ったところ局部的に18 μm薄かった部分が4 μmの厚み差に低減した。この実験から、鏡面板冷却溝屈曲部形状が基板厚みばらつきに大きく影響を及ぼすことが分かった。

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5.光ディスクにおける反り発生メカニズムの解明

志田宜義、菅圭二、今井哲也、飯田哲哉

【要旨】

次世代光ディスクにとって反り制御は必要不可欠な技術である。その原因は明確に究明されていなかったが、今回筆者らはこの原因を究明した。また、本実験を行うにあたり新たな反り解析法を考案した。
この結果、固定側と可動側のキャビティー表面温度差はディスク面内の反りに影響を与え、スプルーとカッターの温度差やメカニカルエジェクターの突出しはディスクの中心部の反りに影響を与えていることが判明した。また、スタンパーにより発生する反りはスタンパーと鏡面との熱抵抗によることがわかった。

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6.DVD-RW version 1.0 の要素技術

加藤正浩、山口淳、村松英治、谷口昭史

【要旨】

DVD-RWの開発と規格化の推進には、良好な記録再生特性を得るための技術開発が必要不可欠であった。記録パルスストラテジ、ディスクの最適基板形状、およびプリフォーマット信号再生技術など、重要な開発項目がいくつか存在した。それらのDVD-RW開発における要素技術について、シミュレーション計算と実験結果を用いた報告を行う。

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7.DVD-Rディスクの開発

村上重則、近藤淳、草間樹、滝下俊彦

【要旨】

色素媒体の最適化、成形基板特性の面内均一化、LPP形状の最適化などを行うことにより、650 nm記録波長に対応した4.7 GBDVD-Rディスクの開発を行った。本開発ディスクをDVD-R for General規格準拠のベーシックライトストラテジにて記録した結果は、変調度65.8%、Jitter6.26%、反射率53.3%、PIER(AVE)5カウントであり、記録後のディスクはDVDプレーヤに互換性のあることを確認した。またDVD-Rの高速記録に対し、シアニン系色素での可能性を見出した。

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8.DVD-RWディスクの開発(リーダブル・エンボスへの対応)

松川真、大島清朗、田切孝夫、滝下俊彦

【要旨】

現行DVD-RWの規格ver.1.0では既存のDVDプレーヤーとの互換性やコピーマネジメントに未対応である。これらに対応する手法として筆者らはリーダブル・エンボスを検討した。リーダブル・エンボスを実現するためには、エンボス部とグルーブ部の深さを変える必要があり、今回筆者らはレジストの中間現像によるV溝基板でグルーブ部、エンボス部の最適化検討を行った。また、V溝に合わせた媒体構造の変更も併せて検討した。

詳細はこちら(PDF 592 KB)

9.車載用録再MDメカモジュール

山野井勝明

【要旨】

車載用録再MDメカモジュール(MDR1)を開発した。
パイオニアとして車載用の録音機は初めてであり、クリアすべき課題も多かったが、シャープ(株)の協力により製品仕様を十分満足するメカモジュールが完成した。

詳細はこちら(PDF 235 KB)

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