カロッツェリアでは、サイバーナビの開発に当たって“ハイレゾ楽曲の忠実な原音再生”を実現するため、単にネイティブ再生をするだけではなくパイオニア独自の知見と技術力により、ハイレゾがなぜ高音質なのかを聴感試験と物理データを分析して解明し、重要となる性能指標の具体化にこぎつけた。そして「高音質を実現するために」というただひとつの目標の下、各プロジェクトチームにおいて、電気設計・機構設計・ソフト開発・音響解析・DSP技術などすべての叡智を集結、さらに数々の高音質部品を採用し徹底的にチューニングを行うなど、今でき得るすべての策を講じてきた。カロッツェリアで培ってきたノウハウだけでなく、永年に渡るパイオニアの歴史の中で蓄積してきたノウハウも惜しみなく投入し、理想の高音質を奏でる製品が完成しました。
ハイレゾ音源の高音質の理由で、一般的に注目されるのが、CD等の音源には収録されていない「20kHzを超える帯域」の信号再生である。サンプリング周波数の拡大により可聴帯域外の音まで再生が可能となり、さらに量子化ビット数の拡張による量子化ノイズの低減によって、より原音に忠実な音の再現が可能となった。しかし、この二つが部品構成や回路的に満たされていればハイレゾ楽曲をきちんと再生できているのだろうか。これは、あくまでハイレゾ音源の仕様として定義されているモノであり、どの様なレベルに到達していればハイレゾの良さを実現できているかを示していない。パイオニアでは、聴感上の感覚的な要素だけではなく高音質のファクターを物理データと聴感結果の関係性をもとに解明し、ハイレゾ楽曲を忠実に再現するための物理指標を独自に作成。その指標に基づきサイバーナビのオーディオ部を創り上げました。
さらに、ハイレゾ音源を忠実に原音再生するための要素技術開発の流れの中、CDや圧縮音源再生の高音質化にも取組み、独自の分析結果から16bit音源時の音質に影響を与える量子化ノイズを効果的に除去する技術(特許出願中)を独自開発。従来のbit拡張では誰も成し得なかったハイレベルの量子化ノイズ除去能力を獲得し、16bit音源でありながら24bit音源再生に近い特性へ補正する「マスターサウンドリバイブ(MSR)」を搭載。さらに倍音成分の復元技術により、可聴帯域外の音も生成することで、失われていた響き成分や空気感を取り戻し、CD音源や圧縮音源を本来のより自然で躍動感ある音へ復活できる。サイバーナビは、ハイレゾ音源の高音質再生のみならず再生可能なすべての音源をハイレゾに近づける機能を実現しています。
FLAC/WAV/ALACなどのハイレゾ音源をネイティブ再生可能(96kHz/24bit)なファイル再生能力を持ち、WAV/ALACにおいては、192kHz/32bitまでの音源再生に対応*1するなど幅広いニーズに応えます。さらにDSD音源(DSD64 : 2.8MHz/1bit、DSD128 : 5.6MHz/1bit)の再生に対応*2するなど、さらに音楽の楽しみ方の幅が広がりました。
*1 : 96kHz/24bitにダウンサンプリング再生 *2 : LPCMに変換して再生
USBデバイスやSDメモリーカードなど普段使用している大容量デバイスに対応。さらに、スマートフォン(Android)端末とのMTP接続へ対応することにより、気軽に便利に幅広くハイレゾ楽曲を扱うことが可能になりました。
「すべては、高音質を実現するために」。この目的に向かって要素開発・設計関係者が動き始めた。技術要素は個別に開発されているわけではない。各プロジェクトチームの作業はすべてが連携され、すべてが繋がっている。チーム間の結束は堅く、想いも強固な技術陣は着々と機能開発を進め性能を高めていった。カロッツェリアさながらのロスの少ない高音質信号伝送、忠実なハイレゾ再生を実現するために、回路構成をゼロから再設計。新たに開発したサウンドマスタークロックを核とした、無駄のないシンプルな回路構成で純粋無垢な高音質を実現しています。
製品設計には熱解析や流体解析・振動解析など、普段はあまりスポットが当たりにくい様々な検証作業がある。それは、アナログ技術ゆえの地道な作業であり「設計・シミュレーション、検証と対策」そのものであり、製品性能を支える大事な作業でもある。サイバーナビには、高度な解析技術により熱対策や振動対策など数多くの対策が盛り込まれています。
高音質を実現するための電気設計では、回路自体の設計と同様にプリント基板のパターンニングが重要な要素となります。ノイズ低減のための一点アース構造や各回路ブロックごとの専用電源化および電源系統別のGNDパターンニング。さらには、アナログ段の各回路ブロックを最短で出力まで導く「ストレート回路設計思想」。最終段のスピーカー出力は差動パターンレイアウトにより、シールド効果を持たせノイズの混入を可能な限り排除するなど、高音質設計を知り尽くしたノウハウが随所に投入されています。
高音質チューニングの要となるDSPには、高精度・高速演算処理が可能な「フルタイム52bit高性能Tripleコア浮動小数点DSP」を採用。また、高音質再生のキーデバイスである、D/Aコンバーターには、過去のカロッツェリアのノウハウを踏襲し「RS-P90」をも上回るS/N比-123dBを誇る「バーブラウン社製高性能32bitアドバンスド・セグメント方式電流出力型D/Aコンバーター:PCM1795DB」を採用し、さらにその電流出力を受け取り処理を行う「I/V変換回路のオペアンプ」には、新日本無線社が「MUSES」で培ったノウハウをもとに高い技術で高音質化が図られた「NJM8901E」など、数々の高音質パーツを惜しげもなく投入しています。
ハイレゾ音源などの楽曲をより原音に忠実な再生をするためには、各種デジタル処理技術が重要な要素となります。メインチップに高性能クアッドコアSoCを採用することにより、カーナビ機能の複雑で高度な処理と高音質実現のためのハイレベルなデジタル処理を両立。SoC内部でデジタル音源の処理を行う、DSD-PCM変換を含む各種モジュールを独自開発することにより、サンプリング周波数のコンバート時の折り返しノイズや歪み成分を極限まで抑え込むなど、音質劣化を徹底的に抑制しています。
車室内はオーディオ再生にとって過酷な環境。好みのイコライザーをかける前に、まずは乱れた特性をよりフラットに補正する必要があり、ハイレゾ再生を確実なものとするためには、高度な調整能力で車室内特性の補正が必要となる。サイバーナビでは日常で使用する音の傾向を変える好み調整の各種機能とは別に、カロッツェリアで実現してきた、高精度なベースチューニング思想を具現化。チャンネル間独立31Bandグラフィックイコライザー、0.35cm刻みのタイムアライメントをはじめとする、数々の高精度な調整機能を搭載。ユーザーインターフェースを含めた使い勝手も徹底的に磨き上げ、盤石なベースチューニング機能を創り上げました。
音質調整モードには、
-[マスターコントロールモード]:31Band GEQ.(L/R/SWまたはF/R/SW独立)
-[シンプルコントロールモード ] : 13Band GEQ.(全ch共通)
-[AUTO TA&EQ.(F/R独立)*1] : 車室内音場を自動調整※
の3つのモードがあり、車種や搭載システムによって多彩な調整方法が選べます。システムの接続方法も「ネットワークモード」と「スタンダードモード」が用意されており、様々なシステム構築と調整方法から最適な方法を選んでベストなチューニングが可能となります。
*1:ネットワークモード時、[AUTO TA&EQ.]は非対応。
※測定には別売の音響特性測定用マイク「CD-MC1」が必要です。
31Bandにもおよぶグラフィックイコライザーの調整をカーナビ画面上のタッチ操作で行うのは至難の業。しかも、画面操作のたびに耳の位置が動いてしまうため音を確認しながらの調整も難しい状態になります。カロッツェリアではこの悩みを完全解決するため、同梱のスマートコマンダーでの調整を可能にしました。また、同時にスマホアプリの開発も行い、ベースチューニングに必要な操作はすべてディスプレイに触れることなく調整が可能となりました。これにより耳の位置を動かさずに手元で簡単に操作ができるため、調整時の効率が上がり、設定作業に集中することができるため入念な調整を行うことができます。