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銅メッキパーツを随所に用いて、製品全体のインピーダンスをコントロール

「サイバーナビXシリーズ」では、綿密な音質データ解析に基づき銅メッキシャーシを要所に採用。さらに銅メッキビスの使用箇所との関係性にも言及した。低インピーダンス化、低振動化やシャーシ構造の強度アップなどトータルでの高音質化に大きな効果のある銅メッキシャーシ。電気的には、ノイズ遮断効果・表皮効果・渦電流削減効果など高音質化には重要なファクターとなる様々な好影響が得られる。全体としては、側面シャーシ・背面シャーシ(ナビ・オーディオ分離)・オーディオ基板とナビ基板間をノイズ遮断するための中間シャーシ、背面に取り付けたパワーアンプ用のヒートシンクに至る数々のパーツに銅メッキ処理を施した。また、シャーシの一部に異なる素材を用いることで、異種金属の組み合わせによる共振点分散効果で不要な共振を徹底的に抑制し、シャーシ構造としては理想的な減衰特性も実現している。さらには、パーツとしては分離している背面のナビGNDシャーシ側からオーディオGNDシャーシ側にノイズが回り込まないよう、双方にまたがって装着されているヒートシンクとナビGNDシャーシの接点に絶縁シートを貼付けるなど、徹底したノイズ対策を施しています。

銅メッキパーツを随所に用いて、製品全体のインピーダンスをコントロール

銅メッキパーツの採用とノイズコントロール効果

銅メッキパーツの採用とインピーダンスコントロールによるオーディオ回路におけるノイズ抑制効果は、高音質化の観点から見て随所に現れているがその効果は複合的であり、一言でどの対策によりどの改善がなされたかを表現するのは困難である。その中で銅メッキシャーシの効果が大きい性能改善として、プリアウト出力の全高調波歪率の改善が挙げられる。従来モデルと性能比較した場合、中域は既に理想的なレベルに達しているが、高周波ノイズのコントロールによる電源およびGNDのクリーン化や加えて送り出し抵抗の非磁性体抵抗化の効果も相まって、低域と高域の歪率が約5dB改善しており、高音質再生に寄与している。
銅メッキパーツの採用とノイズコントロール効果

▲全高調波歪率比較:プリアウト出力

高音質回路ブロック配置

ナビ関連の回路とオーディオ関連の回路を完全に独立レイアウトにするための構造。電気回路構成のみならず、ナビ基板とオーディオ基板の間には銅メッキを施した中間シャーシを配置することで、ナビ基板からオーディオ基板へのノイズ干渉を抑制している。さらにメインSoC基板やDTVモジュールは、空間への不要な電磁波ノイズ輻射を徹底的に抑えるため、全面シールドを採用しています。

オーディオ基板

▲オーディオ基板

ナビ基板

▲ナビ基板

高密度回路配置技術(ナビ基板)

オーディオ部の基板スペースの確保およびデジタル回路からのノイズ輻射抑制を目的とし、各デジタル回路をナビ基板へ集約。部品点数に頼らないコンパクト回路設計技術を用いて、不要な部品を削除・最適化することでシンプルな回路を実現。さらに、高いパターン設計技術により、ナビ基板での高密度回路設置を実現すると同時に、オーディオ回路ブロックへ広大なスペースを確保し、各種回路からのノイズ輻射を徹底的に抑制しています。
高密度回路配置技術(ナビ基板)

振動対策:振動による音質劣化を排除

カーナビには様々な回路ブロックがあり、熱源が非常に多いため、FANによる排熱は必須となります。しかしパワーアンプ部やアクティブフィルターなど大きな増幅を行っている部分は、振動による音質劣化が起こりやすいためFANの振動による悪影響も懸念の一つ。その懸念を払拭するためFANを騒音が少ない静音タイプを採用することで、振動抑制にも絶大な効果を発揮しています。さらに、構造面においても振動を徹底的に排除するため制振用T字スリットを設けた背面シャーシにも銅メッキを施すことで強度を高め、併せてシャーシ間の固定用ビスも増量させることで堅牢で振動に強い構造を実現しています。

制振用T字スリット:サイバーナビ xシリーズ

▲制振用T字スリット:サイバーナビXシリーズ

背面シャーシ振動比較

▲背面シャーシ振動比較

熱設計

熱雑音による音質劣化を抑えるために、熱源はナビ基板へ集約。ナビ基板に比べオーディオ基板の定温化を実現し高音質化。通常であれば放熱部品によるコスト増を避け、ナビ基板、オーディオ基板に万遍なく熱源を分散させる手法を取るが、ここにも音質最優先の思想が息づいている。

ナビ基板

▲ナビ基板

オーディオ基板

▲オーディオ基板

流体設計

サウンドマスタークロックやD/Aコンバーター・I/V変換回路など、音質に大きな影響を与える回路では空気の振動による音質影響をも排除するためオーディオ基板周辺に大きな風の流れが起こらないような構造とした。これは熱源をナビ基板へ集中させたことによりこの構造を実現しています。

流体解析風量シミュレーション

この図は、製品正面から背面方向(矢印の方向)への空気の流れをシミュレーションしています。青から赤になるにつれて風量が大きくなっていることを表しています。下段にあるオーディオ基板の周りは、上段にあるナビ基板の周りに比べて風量が抑えられていることが分かります。熱源をナビ基板に集中させ、尚かつFANの吸引ポイントも上部に集中させることにより実現しています。

流体解析風量シミュレーション

▲流体解析:[風量シミュレーション]

オーディオ用電源リップルフィルター

オーディオ用の正負電源にディスクリート部品で構成されたリップルフィルターを搭載し、電源ノイズの排除を行っている。正負電源ともにノイズ除去効果を示しており、電源ラインの低ノイズ化、低リップル化に寄与しています。

プラス側電源ノイズスペクトル

▲プラス側電源ノイズスペクトル

マイナス側電源ノイズスペクトル

▲マイナス側電源ノイズスペクトル

一点アース構造

オーディオ基板においてパワーアンプ用の大容量コンデンサーのGNDを基準とし低インピーダンス化するため、銅メッキビスを1ヶ所に限定して使用。その他のブロック、シャーシは銅ビスと通常のビスと組合せて使うことで、基準GND・シャーシへのリターン電流をコントロールする「一点アース構造」を実現。加えて、右図の通り、電源カプラ・一点アース・パワーアンプ・背面シャーシ・ヒートシンク間のGNDインピーダンスを限りなくゼロに近づけるため銅メッキビスを用いて強固な結合を行っている。また、上段のナビ側シャーシと下段のオーディオ側シャーシにまたがっているヒートシンクとの結合部に絶縁シートを挟み込むことで、ナビ系のノイズがオーディオ系統に流れ込まないよう遮断し、GNDラインの強化とオーディオ系ノイズの徹底排除を行っています。

一点アース構造

▲一点アース構造

アース(GND)結合構造

▲アース(GND)結合構造

GNDノイズセパレーションまでも考慮した、各回路専用の高性能電源

数多くの回路ブロックが搭載されるカーナビにおいては、一般的にコストダウンやスペース効率のために電源出力を様々な回路で共有する設計が行われることが多い。また、電力設計や熱設計の事情により、高性能シリーズレギュレーターではなく、ノイズ発生が多いものの大電力を供給できるスイッチング電源を様々な回路で共有せざるを得ないケースがある。ただし、この電源共用化とスイッチング電源の採用は、アナログオーディオにとっては音質を大きく阻害する要因であり、「高音質を実現する」という観点では極力各回路専用の高性能電源を使用することが理想となる。供給電源から各回路に流れた電流は、供給側のGNDに戻ってくる。オーディオ系回路と、その他のデジタル回路などのノイズ源となり得る回路で電源を共有した場合、電源のみならずGNDにも他の回路からノイズが混入してしまう。オーディオ回路ブロック内であっても、系統別の独立電源が理想的である。さらに各系統で電源回路を専用化することにより負担を軽減し、余裕のある電源供給が可能となっています。
GND系統分割イメージ

▲GND系統分割イメージ

「マスターサウンド・アーキテクチャー」により、スペースの確保、熱源の最適化、放熱設計の最適化を図ることにより、各オーディオ回路ブロックにおいて専用の高性能電源を用意した。

  • DSP回路用 専用シリーズレギュレーター
  • DACデジタル回路および、サウンドマスタークロック 専用シリーズレギュレーター
  • DACアナログ回路用 専用シリーズレギュレーター
  • 「I/V変換回路、LPF、電子ボリューム回路ブロック」専用シリーズレギュレーター

上記以外にも一般的にはスペースやコストの関係で採用できないことが多い、オーディオ回路専用の負電源回路を搭載。通常の中点電源を基準とした信号伝送ではなく、クリーンでインピーダンスの低い信号伝送方式を採用し、高S/N比と低歪みを実現しています。また、I/V変換回路およびLPF部は正負両電源とすることにより信号振幅に対し電源のヘッドルームを拡大することで、低域も低歪みな伝送が可能となっています。

高音質パターンニング

差動パターンレイアウトや電源GNDパターンなどにおいては、閉ループを極力小さく設計し、回路間の相互干渉、ノイズ混入を抑え込んだ高音質パターンニングを実施。高音質回路ブロック配置技術と相まって、抜群の数値性能を確保。例を挙げると、最終出力のスピーカーラインの差動出力も「+-」をペアで引くことで、シールド効果を持たせながら低インピーダンス化によるノイズの混入防止と音声信号の安定を図っています。
スピーカー出力パターン図

▲スピーカー出力パターン図

ストレート回路設計思想

DAC以降のI/V変換回路、LPF部を経由して電子ボリュームに流れるアナログ変換された後のオーディオ信号経路をストレートに配置し、最短でパワーアンプまでもっていくパターンニングを実施。これにより、センシティブなオーディオ信号をピュアな状態を保ったまま出力し、スピーカーまで送り届けています。
ストレート回路設計思想:パターン例

▲ストレート回路設計思想:パターン例

パイオニアリファレンスチューニングと製品の音質評価体制

カロッツェリアでは、特にオリジナル音源を忠実に再現する原音再生にこだわりをもち、部品のクオリティを最大限に活かしたチューニングを施しています。製品の基本設計の後、常に飽くなき追究を続け回路設計の最適化を実施し各回路ブロックの定数を見直しをすることで、常にハイレベルな領域を目指して取り組んでいます。

  • 開発準備フェーズでは主要パーツの緻密な部品選定。
  • 製品開発では、抵抗やコンデンサーの細かい定数もより高音質になるよう追い込み。
  • 開発終盤フェーズでは、カーナビ事業部門のみならず
    スピーカー・アンプなどに携わっている各事業部から選りすぐりのメンバーが集まり、
    数十名からなる音質委員会という組織が、パイオニアとして音質的に世に送り出して
    良い製品に仕上がっているかのジャッジメントを実施しています。