TS-V174S 開発者インタビュー TS-V174S 開発者インタビュー

TS-V174S 開発者インタビュー

スピーカー開発を手掛けた
東北パイオニアのVシリーズ
担当者たちの開発秘話や
制作に懸ける想いとは

カスタムフィットスピーカー
「TS-V174S」
開発エンジニアたちの挑戦

カスタムフィットスピーカー
「TS-V174S」

力強く豊かな低域と高密度で臨場感ある中高域がリアルな音楽体験を実現する、カスタムフィットスピーカーのフラッグシップモデル。開発を担当したエンジニアたちの「これまでのカスタムフィットスピーカーの限界域を突破する」という挑戦から誕生しました。

東北パイオニア株式会社
商品開発チーム

TS-V174S

新しい発想と技術革新が生んだ
7年ぶりのフルモデルチェンジ

Vシリーズの7代目である前モデルが約7年間という長い間に渡って市場で受け入れられ続けたのは、Vシリーズ史上初のことです。多くのお客様に高評価をいただいていた原音再生思想を継承しつつ、昨今の音楽性やユーザーの傾向を考慮して進化させたい部分にフォーカスして大胆に刷新しました。

旧モデルはハイレゾ対応で解像度や超高音域再生に注力していたこともあり、発売から年数が経つにつれ、社内レビューや、一部のお客様から中低域の厚みや高域の表現にまだまだ伸びしろがあるとご意見をいただくようになりました。今回はその解決策としてウーファー部のサイズを拡大し、ドアへの埋込を深くし、カスタムフィットスピーカーのポテンシャルを最大限に引き出すことによって、お客様のニーズや時代にマッチする性能を目指しました。

リアルな中域再生を実現する「Open & Smooth」の導入は、車室内での音の指向性を考慮すると自然な流れです。また“カスタムフィット”の名の通り、車種に関わらず、誰が装着しても高音質を楽しんでいただけるものにしたいという想いもありました。そのため、トゥイーターには重厚感があり芯のはっきりとした中高域の再生が可能な「チタン製バランスドドームダイヤフラム」を新しく採用しています。開発期間の約2年半の間、企画メンバーや技術メンバーなど、関わる全ての人が妥協することなく新しいモデルの検討・開発を進めていきました。

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約1年半の調査と
難易度の高い課題を乗り越えて
カスタムフィットは限界域を突破

新モデルでの大きな挑戦は、ウーファーの振動板面積を最大化し、フレームはさらなる深型化を目指したことです。これらは音質向上に直結するものですが、取り付けが難しい車種が出てくることも考えられます。そのため、多くの車種に適合するかを詳細に調査する必要がありました。

実際に調査した車種は800以上、その期間は約1年半にも及びます。膨大なデータ量を確認することはもちろん、振動の頂点部分の変更がドアに影響しないか、フレームの厚み変更による影響はないかなど、容易に答えを出せない難易度の高い課題が山積みでしたが、Vシリーズの音質向上に直接結びつく重要なプロセスと認識して粘り強く協議を繰り返しました。その結果、開発開始当初は誰もが難しいと思っていたウーファーの振動板面積を最大化し、フレームの深型化までを実現できることが明らかになりました。これがまさに、カスタムフィットスピーカーの限界域を突破した瞬間です。

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新たな価値を生み出す
新規開発パーツの数々

フラッグシップモデルにふさわしい進化を遂げるため、新しく開発したパーツがいくつかあります。

まずは、ウーファーの振動板には「開繊カーボン」という、カースピーカー業界初の新素材を導入しました。開発部門には素材開発のスペシャリストチームがあり、開繊カーボンは新モデルの設計に先駆けて開発を進めていたものです。薄くて軽い開繊カーボンに樹脂を含浸すれば、強度は従来と同様に維持できるという利点があります。その反面、薄くて固いがゆえに、不要な共振音につながる可能性も見えていましたが、それを回避するために振動板の裏側に貼る抄紙を調整し、コーン紙の剛性を大幅にアップさせました。剛性の強化により空気を力強く押し出すこと、様々な周波数帯域の音を出す際に生じる歪みを抑えることが可能となりました。これにより、インプットされた音を正確に、また、より原音に忠実な表現を再現できるようになりました。

もう一つは、深型の「トラスバスケットフレーム」の開発です。この特徴的な構造は不要な振動を抑えられるようフレームの強化を検討していた際、ドライブ中に見かけた陸橋の補強構造から着想を得たものです。これをスピーカーユニットに応用してモデリングと解析を行ったところ、高い強度が確認できました。その後、足の本数や太さの調整を行い最終的なデザインの決定に至っています。

加えて、「Open & Smooth」の導入によりトゥイーターのクロスオーバー周波数が変更になったことから「ネットワーク基板」の開発も新たに行いました。ネットワーク基板の設計には、パーツを配置するために必要な幅や、パーツ同士が互いに与える影響などを考慮しておく必要があります。アンプチームのエンジニアからアドバイスを受けながら設計を進めました。

これにより進化した新しいVシリーズは、次のモデルを開発するエンジニアたちが、どのように進化させるべきか悩むほどの進化を遂げたと感じています。

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Vシリーズの原音再生は
新たなステージへ

TS-V174S TS-V174S

熱を感じる音、
楽器の芯、空間表現—
音源の持つ想いを最大限に描写

目指したのは、ボーカルの生々しさや厚み、楽器が奏でる音の輪郭、そして空間表現など、
まるでその場で音が奏でられているような臨場感・没入感のある音です。
そのための試聴評価は、磁気回路の検討や素材の違いなど、最初に決定した方針に沿ってテーマごとに行い、
目指す音に着実に到達できるよう段階的に進めていきました。

心掛けたことは、一つひとつの部品や構造が音質向上に影響していることが明確に伝わる“意味のある設計”です。
音楽が好きなお客様は小手先ではごまかされないということを私たちは知っています。
体験会ではお客様からは高評価で、単に「いい音ですね」で終わることなく「まだ聞いていたい!」と聞き入る方がほとんどで、
その手ごたえを感じています。

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新しいVシリーズは、
音楽が好きな人であればあるほど、
その魅力にのめり込んでくれると思います。
ボーカルの美しさ、楽器が奏でる喜怒哀楽、
音の厚みや静けさといった空間表現など、
皆様がお好みの音楽で存分にお楽しみください。

TS-V174S デザイナーインタビュー

デザイナーが語る

原音再現という理念を研ぎ澄ました
機能美あふれる
新デザイン