移動することが目的であった自動車は、カーステレオにより運転中に音楽を楽しむことが可能となり、カーナビゲーションにより安全かつ快適な移動できるものへと進化しました。これまでパイオニアは、車載機を進化させ安心に、快適に、そして楽しく移動することができるカーライフを提案してきました。
近年、世界はニューノーマルへとシフトし、人々の価値観、生活スタイルは大きく変化しています。そして、顧客ニーズも頻繁にそして大きく変化をしています。このような変化の中では、的確に顧客のニーズを捉え、ニーズの変化に応じてタイムリーにプロダクトとサービスを提供し続けなければ、より多くの人に未来の移動体験を提供することはできません。
新たな価値の創出のためには、技術の進化をとらえると同時に顧客ニーズに合わせた先行技術開発と新たなサービスへの進展が重要と考えます。パイオニアは先行技術開発により、技術の進化によるプロダクトの進化、そしてプロダクトの進化によるサービスの進化をリサーチし、モビリティ領域における“モノ(ハード)”דコト(サービス)”価値の提供を行っていきます。
“モノ”דコト”の先行技術開発では、「プロダクトの進化」と「サービスの進化」を技術視点で捉えています。
近年、様々な技術進展により各種製品の性能は向上し、多機能化も進んでいます。自動車の電子化が進むにつれて、センサ、情報表示、通信などの様々な機能が統合、集約され、自動車自体がIoT(Internet of Things)端末化しています。車載機は、スタンドアローンの機能を主体とするものから、種々のセンサで周辺車両や環境、そして運転者の状況などのデータをリアルタイムに収集し伝送できる多機能なIoTデバイスへと進化しています。
スマートフォンを代表とするパーソナルIoTが車室内に持ち込まれ、その多彩な機能を車室内で活用することも増えてきました。IoTデバイスに進化した車載機とパーソナルIoTデバイスが連携することで、個々のユーザーに必要かつ有効な情報を快適に伝えるといった新たなサービスが登場してきています。この背景にあるプロダクトの進化は、「機器間無線通信」によるスマートフォン連携です。この機器間無線通信により、IoTデバイス間の機能の連携、最適化が進みました。スマートフォンでサービスが実行され、運転中の操作と出力は車載端末で行うような形態です。つまり、運転者の行動が制限される車室内という空間において、「機能の最適レイアウト」が可能になりました。
プロダクトの進化イメージ
今後も「機器間無線通信」と「機能の最適レイアウト」を基軸にプロダクトはさらに進化していくと考えられます。そのプロダクトの進化を支える技術は、様々なデバイスの進化とそれらの「コネクテッド」と「オプティマイズド」です。機器間通信により機能分散された車載IoTデバイスとパーソナルIoTデバイスとの「コネクテッド」がさらに強化され、各デバイス間の機能連携とサービスがより洗練された「オプティマイズド」の形に進化します。
技術の高度化にともないユーザーは種々情報を受け取ることが可能となる一方、受け取る情報から自分の必要な情報を選び、処理することが求められます。しかし、ユーザーが行動を制限される車室内で全ての情報を確認し処理することは困難です。そこで「コネクテッド」並びに「オプティマイズド」の高度化により、安心・安全により良いサービスを受けるための更なる技術進化が必要です。注目すべき技術は、「ユーザーインターフェース技術」、「センシング技術」そして「データ解析技術」です。
ユーザーの負担が少ないユーザーインターフェースは、より最適なタイミングで最適な情報だけを提供できる技術に進化することが求められます。そのためにはユーザーの運転状況を的確に把握する必要があります。「センシング技術」では、小型化、高性能化、省電力化が進むセンサによるデータ品質の向上が期待されます。さらに取得したデータをAI(Artificial Intelligence)等の高度な解析を行うことで、ユーザーの状況を把握したり、行動を予測したりする「データ解析技術」が今後の益々重要な技術となります。
車載IoTデバイスとパーソナルIoTデバイスは今後も更に深く連携していきます。パイオニアは、技術とサービスのトレンドを踏まえ必要な主要技術を先行開発し、プロダクトの進化を実現していきます。人々の多種多様な価値観にパーソナライズされた楽しく、便利なサービスを安心・安全にそして快適に提供していきます。