2023年 10月 13日
ルート探索・配送
配送管理システム(TMS)は、輸配送に関わる管理業務全般を効率化できるシステムです。配車管理機能や運賃計算機能などがあり、さまざまな物流課題の解決につながります。配送管理システムでできることを知り、自社に合ったシステムを導入しましょう。
配送管理システム(TMS)は、英語でTransport Management Systemといい、現代の物流に欠かせないシステムの一つです。輸配送管理システムと呼ばれることもあります。
配送管理システムには、配車管理機能、運賃計算機能、運転日報の自動作成機能、貨物追跡機能、バース予約機能など、さまざまな機能があります。
配送管理システムを使用することで、配車計画や配送計画を最適化でき、物流コストの削減につながります。さらに、運転日報の作成など、手間のかかる事務業務の効率化が可能です。
「紙やExcelでの配車計画に時間がかかる」「物流コストを見直したいが、何から手を付けるべきか分からない」といった課題がある場合は、配送管理システムの導入を検討しましょう。
本記事では、配送管理システムの主な機能や導入するメリット、自社の課題に合わせた配送管理システムの選び方を紹介します。
配送管理システムは、配送管理(Transport Management)という言葉のとおり、物流に関する管理業務の効率化が可能なシステムです。
これまで配送計画の作成や輸配送の進捗状況の確認などの管理業務は、ベテラン担当者の勘・経験・度胸(KKD)に依存していました。配送管理システムを導入すれば、物流業界の経験が浅くても、ベテラン担当者のように管理業務を遂行できます。
また、配送管理システムは以下のような業務課題を解決できます。
配送管理システムは、物流業界の課題解決につながるツールとして注目を集めています。
配送管理システムは、倉庫管理システム(WMS)とは異なる役割を持ったシステムです。倉庫管理システムは、英語でWarehouse Management Systemといい、倉庫内業務の効率化に役立ちます。
例えば、入出荷する荷物の管理や、リアルタイムな在庫状況の管理、さらには帳票や請求書、棚卸報告書の発行といった機能を利用可能です。
配送業務は配送管理システム、倉庫内業務は倉庫管理システムで対応することにより、荷物の入荷から配送までの全ての物流プロセスを効率化できます。
配送管理システムの主な機能は5つあります。
配車管理機能は、配送する荷物を車両に割り当てたり、条件に合わせて配送ルートを作成したりする機能です。荷物の大きさや重量、保存温度(冷蔵・冷凍)などの条件や、リアルタイムな道路状況を考慮して、最適な配車・配送計画を作成できます。
運賃計算機能は、配送にかかる運賃を自動で計算する機能です。配送拠点からの距離や配送にかかる時間などの要素だけでなく、特殊車両割増(冷蔵車・冷凍車)、休日割増、深夜・早朝割増などの割増運賃も考慮し、正確に運賃を計算できます。
ドライバーにとって負担が大きいのが、1日の業務を終えて帰庫した後の運転日報作成です。配送管理システムには、車両の走行データなどを活用し、運転日報を自動で作成する機能があります。ドライバーの負担を軽減し、本来の業務に注力してもらうことが可能です。
配送管理システムによっては、貨物追跡機能が搭載されている場合があります。貨物追跡機能とは、荷物や車両の現在位置をリアルタイムに追跡する機能です。
顧客から問い合わせが入った際にも、貨物追跡機能を使うことですぐに荷物の状況を確認して回答できます。また、ドライバーの状況もリアルタイムに把握できるため、事故やトラブルに巻き込まれた場合は、迅速に指示を出すことが可能です。
配送管理システムのバース予約機能を活用すれば、工場や倉庫のバースの混雑解消につながります。バース予約機能は、バースの空き状況を確認したり、前もって利用予約を行ったりする機能です。
バース予約機能があれば、工場や倉庫でのトラックの待ち時間が減少します。積み下ろしの効率化だけでなく、ドライバーの長時間労働の是正にもつながる機能です。
配送管理システムを導入するメリットは、大きく分けて3つあります。
配送管理システムを導入することで、以下のような理由から物流コストの削減につながります。
配送管理システムを導入すれば、入力したデータに基づいて自動で配車・配送計画を最適化できるため、コスト削減につながります。
配送管理システムは、輸送品質の向上にもつながるシステムです。配送管理システムには、荷物や車両の現在位置をリアルタイムに追跡する機能があります。
顧客から荷物の到着日時についての問い合わせが入っても、配送管理システムで位置情報を確認して、すぐに回答可能です。配送管理システムによっては、インターネットを通じて、荷物の現在位置を顧客が直接確認できる場合もあります。
もし配送中にトラブルが発生しても、直ちに状況を確認し、顧客に説明できます。配送状況の見える化とスムーズな問い合わせ対応により、顧客満足度を高められるのも配送管理システムのメリットです。
配送管理システムを導入すれば、物流業務の属人化を防止できます。属人化とは、業務の進め方が社内で標準化されておらず、特定の担当者に依存している状態です。
物流業務は、ベテラン担当者の勘・経験・度胸に依存する面が多く、属人化しやすい業務の一つとされてきました。しかし、ベテラン社員が高齢化して引退したり、病気やケガで働けなくなったりすると、配車・配送計画の作成などの重要業務が遂行できなくなってしまいます。
配送管理システムを導入すれば、これまで一部社員に依存していた業務がシステム化され、経験が浅い社員でも精度の高い配車・配送計画が作成できます。人手不足が経営課題となっている企業や、ベテラン社員の後任探しに難航している企業は、配送管理システムの導入を検討しましょう。
配送管理システムを選ぶときのポイントは3つあります。
配送管理システムには、インターネット経由でアクセスできるクラウド型と、自社のサーバー設備が必要なオンプレミス型があります。
クラウド型の配送管理システムなら、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で配送管理を行ったり、自社サーバーなどの設備投資を抑えることが可能です。
一方、オンプレミス型にも、自社の業務環境に合わせた独自のシステムを構築できるというメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社に合った導入形態の配送管理システムを選びましょう。
システムの機能や見積もり金額だけでなく、導入後のサポートにも着目しましょう。サポート体制が充実した配送管理システムなら、導入後に分からないことがあったり、運用でつまずいたりしても、サポートチームへの問い合わせが可能です。
配送管理システムは、製品によってできることとできないことがあります。さまざまな機能が搭載されているシステムもあれば、最低限の機能しか用意されていないシステムもあります。
自社の物流課題を洗い出し、必要な機能を持った配送管理システムを選ぶことが大切です。予算が限られている場合は優先順位を付けて、重要度が高い課題の解決につながるシステムを導入しましょう。
配送管理システム(TMS)は、輸配送管理システムとも呼ばれ、荷物の輸配送に関わる管理業務全般を効率化できるシステムです。配送管理システムの導入にはさまざまなメリットがあり、物流業界の課題解決につながる可能性があります。例えば、配送ルートの最適化によって物流コストの削減につながる、車両の状況をリアルタイムで追跡して顧客からの問い合わせにすぐに対応できるようになるといったメリットが期待できます。また、業務の属人化を防止できるため、物流業界で深刻化している人材不足への対策としても有効でしょう。
配送管理システムの主な機能として、配車管理機能、運賃計算機能、運転日報の自動作成機能、貨物追跡機能、バース予約機能などがあります。自社の物流課題を分析し、必要な機能を持った配送管理システムを導入しましょう。