2024年 11月 8日
安全運転指導
運転免許を取得したのちに、運転から遠ざかりペーパードライバーになってしまう場合もありますよね。免許を持っているので運転は可能とはいえ、いきなり公道で運転するのは不安なだけでなく危険も伴います。 ブランクを経ての運転で事故を起こさないようにするためには、まず事故が起きる原因を知り、事前に運転の練習をしておくことが大切です。 こちらの記事では、ペーパードライバーが起こしがちな事故の原因と、自主練習のポイントや事故防止策について解説します。
まずはペーパードライバーの定義や特徴などをご紹介します。
運転免許証を持っているだけのドライバー、つまり「運転免許を取得してはいるけれど実際には運転をしていない人」を指します。以前は運転していたけれど、車の運転をする機会がなくなりペーパードライバーになったという人もいるでしょう。また、過去に事故を起こしたり、怖い思いをしたりした経験によって運転から遠ざかるケースもあります。
運転に不慣れだと、駐車や交差点の右折など、特定の操作が苦手という方も多いようです。
そして、長期間運転しないと操作の手順や車両の間隔、道路標識の意味などの記憶が曖昧になるため、より一層運転を避けてしまうというサイクルにもつながります。
国内において、2023年時点で運転免許を持っている人はおおよそ8,190万人。年ごとの交通事故の発生件数は、2004年から2022年までは緩やかに減少傾向にあり、2022年度の発生件数は30万839件でしたが、2023年には7,091件増加し、30万7,930件の事故が発生しました。前年比から件数が増加したのは19年ぶりであるとのことです。
※参考:e-Stat「警察庁交通局 令和5年中の交通事故の発生状況」
※参考:内閣府「令和5年交通安全白書 第1節道路交通事故の長期的推移」
運転する機会が多ければ多いほど、または運転している期間が長ければ長いほど事故を起こしてしまうリスクは高まります。
一方で、普段運転をしていないペーパードライバーが練習もなしに運転する場合も同様に、事故を起こすリスクがあります。車の操作や標識の確認に慣れていない状態で運転するのは危険なため、事前の運転練習などで備えておくと安心です。
※参考:データから見えた、新卒社員の自動車事故リスク。その原因と対策法 |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)
事故が起こる原因としては主に5つです。
最も多い事故原因は、安全確認不足です。右折時の確認不足によって対向車と衝突したり、左折時に自転車やバイクを巻き込んでしまったりと、安全確認を怠ると事故につながる恐れがあります。
その他にも運転中は、前方や後方、左右の安全確認をすることが求められ、一時停止での左右の確認や、車線変更のときの周囲の車の確認、合流時の確認など、安全確認が必要な場面が多くあります。これらを怠ると車同士の衝突や、自転車や歩行者との接触といった事故につながってしまうことがあります。
運転中にスマートフォンやカーナビなどの操作をしたり、景色や看板を見たりといったよそ見が原因で事故を起こしてしまうことがあります。脇見運転による事故は年々減りつつあるものの、安全確認不足に次いで2番目に多い事故原因となっており、特に若年層が事故を起こした際の原因の1つとして割合が高いです。
たとえば時速60kmで走行中の場合、車は1秒間におおよそ17mも進みます。つまり、たった1秒間のよそ見でも大きな事故を起こしてしまう恐れがあるため注意が必要です。
周囲の車や歩行者、自転車などの存在に気付いてはいるものの、相手の動きへの注視が足りない状態を指します。
たとえば右折待ちで停車している際、対向車を認識しながらも自分が先に行けると判断して右折したところ、衝突してしまったというケースなどが挙げられます。
また、相手の車が止まってくれるだろう、対向車が譲ってくれるだろう、近くに歩行者がいるけれど横断歩道は渡らないだろうといった「だろう運転」も当てはまります。
運転操作ミスは、特に若者や高齢者に多い事故原因の1つです。具体例としては、アクセルとブレーキを踏み間違えて建物へ衝突したり、バックするつもりがギアを入れ間違えて前進してしまったりといった事例です。なかでもハンドル操作のミスではスピードが出ているケースも多く、重大な事故につながりやすいです。
普段は問題なく運転操作ができていても、運転中に焦りが発生すると操作ミスが起きてしまうこともあります。焦り運転ではついスピードを上げたり、急な車線変更をしてしまったりといった、運転操作ミスを誘発する行動をとってしまいがちです。正しい判断と操作ができるよう、運転中は常にゆとりをもっておくことを忘れずにいましょう。
集中しておらず、ぼんやりしながら運転している状態を指します。考えごとをしたり、同乗者との会話に夢中になったりしているため、見ているようで見ていないという状態です。
ぼんやりしていると、歩行者や車、信号の色、標識などにも気付きにくくなり、事故につながってしまうのです。
これまでは運転が必要なかったものの、日常的に運転が必要な地域に引っ越した、旅先でレンタカーを使う、車で送り迎えが必要になったなどの理由から、突然運転する機会ができることもありますよね。
長いブランクを経て運転する場合は、以下の方法を参考に練習しておくと安心です。
お金をかけず、手軽に行える練習方法です。家族や親戚、友人など、周囲にベテランドライバーがいる場合は教えてもらいましょう。
まずはベテランドライバーが運転する車の助手席に座り、運転する様子をじっくりと観察します。ミラーを確認するタイミングや運転中の目の動き、車線変更のタイミング、車間距離の取り方などをよく見て、自分が運転するのをイメージするとよいでしょう。
運転できそうであれば実際に運転もしてみましょう。その際は、ベテランドライバーに助手席に座ってもらい、運転しやすい道路を走行します。そこから徐々に運転頻度を増やしていき、慣らしていってください。自分で運転しながらベテランドライバーに注意点やコツを教えてもらうことで、見ているだけではわからないポイントも知ることが可能です。
ただし、ベテランドライバーは運転に慣れているとはいえ、教習のプロではありません。効率が悪くなかなか上達しないことがある点には注意しましょう。
新規で免許を取得する際には、自動車教習所に入るのが一般的です。自動車教習所では、新しく免許を取る人だけでなく、ペーパードライバー向けの講習を行っていることがあります。
運転姿勢のとり方や基本的な操作方法から教えてもらえること、プロの指導員に教えてもらえることなどから、ペーパードライバー歴が長く運転に自信がない人におすすめです。安全に、効率よく運転方法を身につけられるでしょう。
運転には教習車を使うため、自分の車を持っていなくても練習できます。また、教習車には補助ブレーキが付いており、万が一のときは指導員がブレーキをかけてくれるので安心です。
ペーパードライバー講習では、教習所内で練習をして、その後路上教習に進めるのもメリットです。標識の見方や交通ルールなど基本的なことからしっかり学びたい場合は、学科講習もセットで受けられると安心です。
指導員に指定の場所に来てもらい、個人出張レッスンをしてもらう方法です。専門のスクールで行っており、基本的には自分の車を使用します。
個人出張レッスンは、買い物や送り迎えなど運転の目的がある程度決まっていて、よく利用する道を使って練習したい場合には特におすすめです。実際に車庫入れする場所を使うことで、実践的な練習ができます。
自主練習する場合は、講習や個人レッスンを受けた後に復習として行うのがよいでしょう。講習などを受けずに、いきなり1人で自主練習するのはあまりおすすめできません。
また、自主練習する場合は充分に注意しながら行う必要があります。
ペーパードライバー講習や個人レッスンを受けて運転の感覚を取り戻したら、自主練習をしてさらに運転に慣れていきましょう。
いきなり本番では焦りの元になるため、時間の許す限り練習しておくと安心です。以下にご紹介するポイントを参考にしながら、自主練習をしてみてください。また、自主練習する際は、可能であればベテランドライバーに同乗してもらうことをおすすめします。
自主練習する際に使う車は、運転しやすいタイプがおすすめです。具体的には、車体が小さくて小回りが利くこと、座席の位置が高めであること、ボンネットの先端までが運転席から見えること、前方・後方・斜め後ろなどが見やすいことなどが挙げられます。
運転席からの死角が多いタイプや、後方が見えにくいタイプは避けます。安全機能がついた車であれば、より安心です。
自動ブレーキ機能や衝突を防ぐセンサー、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ装置などが装備されていれば、万が一のときに運転をサポートしてくれるでしょう。
交通量が多い場所は避けます。車だけでなく、自転車や歩行者などの人通りが少ない場所を練習場所に選びましょう。車線の幅が広い道だと運転しやすいです。
また、土地勘のある場所を選ぶのもポイントです。駐車の練習をする際も、前後左右に駐車中の車がないような、空いている駐車場を選んで練習します。
また、場所に加えて時間帯にも注目を。朝の通勤時間や夕方などの交通量が増えやすい時間帯は避けましょう。早朝のような明るくて、かつ車や人通りが少ない時間帯を狙うのがおすすめです。
クリープ現象とは、ギアが「P」や「N」以外のとき、ブレーキから足を離すとアクセルを踏んでいなくてもゆっくりと車が前進、もしくは後進する現象をいいます。なお、クリープ現象が起こるのはオートマチック車のみです。
オートマチック車で練習するのであれば、最初はアクセルを踏まずに、このクリープ現象を利用して運転の練習をするのがおすすめです。ゆっくりとした動きで車が動くのを体感したり、ハンドル操作したりして運転の感覚を思い出しましょう。
まっすぐに進むことに慣れたら、右折・左折の練習をします。大きくハンドルを切り、巻き込み確認などもしながらゆっくりと進みましょう。内輪差にも注意が必要です。
クリープ現象で運転して車を動かす感覚に慣れたら、アクセルを踏み込んでスピードを上げてみます。スピードメーターを見て、自分の車のスピードが時速何キロで走っているのかを確認するようにしましょう。
速度が上がると視界は狭くなるため、目線を少し先にして運転するのがポイントです。目線が遠くにあると周囲の車や人の動きがよく見えるようになり、走行軌跡も安定します。少し先を見て、追突や急ブレーキに対応できるようにしましょう。
事故を起こさないためにも、再発防止策を把握しておくことをおすすめします。
事故のない運転をするには、まず運転しやすい姿勢をとることが大切です。座席を前後、上下に動かして、自分に合った運転姿勢をとりましょう。
ブレーキやアクセルは右足で操作するため右足の動きやすさも確認し、ブレーキをしっかりと踏み込める位置に座席を合わせます。
また、ハンドルやシフトレバーが操作しやすいかも確認してください。軽く腕を曲げた状態でハンドルを両手で握ったときに、背中とおしりが座席に密着していると、リラックスした姿勢をとりやすいです。
正しい座席位置にシートを調整したら、ミラーの位置も調整します。ルームミラー、ドアミラーを動かして、後方が見やすいようにしましょう。
きょろきょろと道を確かめながら脇見運転をしたり、間違った道に入って焦りやパニックに陥ったりすると、事故が起こりやすくなります。カーナビを導入すれば、目的地までの経路が自動で案内されるため、ゆとりをもった運転ができておすすめです。
カーナビを導入する際は、旧型のものではなく最新型のものを導入するようにするとより良いです。最新のマップが内蔵されているだけでなく、渋滞を回避した経路を案内してくれたり、通行止めや工事中などの情報を加味して案内してくれたりするため、運転中のイライラや焦りも回避でき、余裕を保った運転ができるでしょう。最近のカーナビは車載ナビだけでなく、iOSやAndroidアプリで作られたカーナビも増え、ますます便利になっています。
ペーパードライバーがいきなり1人で公道を運転するのは危険を伴います。運転する場合は、講習や個人レッスンを受けたり、ベテランドライバーに教わったりして練習するようにしましょう。
事故を起こさないようにするには、事故が起きる原因を把握することも大切です。安全確認不足や脇見運転、動静不注視などで事故は起こりやすいため、運転する際には意識しておきましょう。事故防止策として、最新のカーナビを導入するのもおすすめです。
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