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【2025年最新】アルコールチェック義務化の対象者と実施のポイント

2025年 4月 4日

アルコールチェック義務化

アルコールチェック義務化の概要や、具体的なチェック内容、義務を怠った場合の罰則などを詳しく解説します。

目次

アルコールチェック義務化の概要

国土交通省では、運送事業者が運転者に対して実施する点呼において、「運転者の酒気帯び」の有無を確認する際にアルコール検知器を使用することを義務付けています。
アルコール検知器でのチェックは、以前は運送業や旅客運送業などのいわゆる「緑ナンバー」を対象として義務化されていました。しかし、2022年4月以降は「白ナンバー」の車を規定台数以上使用する事業者も対象となっています。

参考:公式サイト(自動車総合安全情報)

アルコールチェック義務化の対象者

2022年3月まで:運送業や旅客運送業などの緑ナンバー事業者が対象

2011年5月1日より、運送業や旅客運送業など(バスやトラック、タクシーなど)のいわゆる「緑ナンバー」の自動車を保有する事業者は、事業所内でのアルコール検査機器の備え付けと点呼時のアルコール検知器の使用が義務付けられています。
そして、2022年4月以降は一般的な自家用車である「白ナンバー」の車を規定の台数以上使用する事業者も、アルコールチェック義務化の対象となりました。

2022年4月から:白ナンバー車両を規定台数以上使用する事業者も対象に

アルコールチェック義務化の対象となるのは、下記のいずれかに該当する企業です。

  • 乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持する企業
  • 白ナンバー車5台以上を保持する企業

※オートバイは0.5台として換算
※それぞれ1事業所あたりの台数

※出典:安全運転管理者(道路交通法施行規則第9条の8)/警視庁HP

この条件は、社用車や営業車を持つ多くの企業で当てはまるはずです。当てはまった場合には、アルコールチェックを実施する義務があります。現在は対象でなくとも、今後は社用車の台数が増えて対象に含まれることになりそう、といった企業もあるかと思います。そのときのためにも、具体的に行うべきこと、準備すべきことを確認してください。

アルコールチェック義務化の対象が拡大された背景

アルコールチェック義務の対象が拡大された背景には、2021年6月、千葉県八街市で飲酒運転のトラックに下校中の小学生がはねられ、児童5人が死傷した事故があります。事故を起こしたトラックは緑ナンバー(営業ナンバー:運送業などを行う事業者の車両)でなく白ナンバーで、運転前のアルコールチェックは義務付けられておらず、実施もされていませんでした。
このような痛ましい事故を二度と起こさないために、これまで対象外となっていた白ナンバーのアルコールチェック検査も義務化されることとなりました。

義務化されたアルコールチェック業務の内容は?

アルコールチェック業務の具体的な内容やチェック方法については、以下のように定められています。

  • 運転前後の運転者に対する酒気帯びの有無の確認を国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行うこと
  • アルコール検知器を常時有効に保持すること
  • 酒気帯び確認した結果をデータや日誌等で記録し、1年間保存すること

チェックのタイミングとしては、運転の前だけでなく、運転業務の後にも酒気を帯びていないかを確認するという点に注意しましょう。出勤前に飲酒していないかを確認するほか、運転中に飲酒していないかのチェックも行うということです。
確実なアルコールチェックの実施・記録のためには、安全運転管理者の主導でチェックを実施するほか、営業所ごとの実施状況を管理者が把握しなければなりません。

また、アルコール検知器は営業所ごとに常備し、遠隔地での業務の際は運転者に携帯型のアルコール検知器を携行させる必要があります。
保守面においては、安全運転管理者はアルコール検知器の取扱説明書に基づき、適切に使用・管理し・保守する必要があります。毎日確認すべき項目は以下の通りです。

  • 電源が確実に入ること
  • 損傷がないこと

さらに、少なくとも週1回以上確認する項目は以下の通りです。

  • 酒気を帯びていない者がアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知しないこと
  • アルコールを含有する液体またはこれを希釈したものを、口内に噴霧した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知すること

こうした管理・保守を徹底するという面でも、安全運転管理者の負担は大きくなります。しかし、これらを遂行することは義務であるため、「置いているだけで使い方がわからない」「携行しているが、実際にはチェックしていない」といった状態とならないよう、使い方を指導する時間を設ける、チェックの流れを業務に組み込むなどの対応が必要です。

アルコールチェックはどのように行う?タイミングや記録方法は?

アルコールチェックを行うタイミング

警察庁は、運転前後の酒気帯び確認について以下の留意事項を発表しています。

「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者」における「運転」とは、一連の業務としての運転をいうことから、酒気帯び確認は、必ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時及び終了後や退勤時に行うことで足りる。

※出典:安全運転管理者による運転者に対する点呼等の実施及び酒気帯び確認等について(通達)(PDF)

上記により、朝礼時や終業前の点呼時に一斉にアルコールチェックを行えば、各ドライバー出発時の立ち会いの手間を省けます。また、ドライバーが直行直帰の際もアルコールチェックが必須です。

アルコールチェックの方法

アルコールチェックは、対面での目視確認と、アルコール検知器でのチェックの両方が必須です。
目視で確認する際は、運転者の顔の表情、呼気のにおい、声の調子などによって、酒気帯びの有無を判断します。通常は対面で確認することになりますが、直行直帰や出張など、運転者が遠隔地にいる場合は、対面での確認が難しい状況も予想されます。その場合は、ビデオ通話のカメラ越しに顔色や様子を確認する(IT点呼型)、電話応答の様子で確認する(電話点呼型)という方法も認められています。
これに加えて、アルコール検知器によるチェックを行います。

アルコールチェックの記録方法

酒気帯び確認記録簿の例

日付 確認者 運転者名 運転前 確認時間 確認方法 アルコール検知器の
使用有無
酒気帯び
の有無
その他
必要な
指示事項
運転車両 運転後

 
運転前 対面・TEL
その他(   )
有・無 有・無
運転後 対面・TEL
その他(   )
有・無 有・無

記録する内容

  1. 確認の日時
  2. 確認者名
  3. 運転者
  4. 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号など
  1. 確認の方法
    • アルコール検知器の使用の有無
    • 対面でない場合は具体的方法
  2. 酒気帯びの有無
  3. 指示事項
  4. その他必要な事項

アルコールチェックの記録に関して媒体や書類形式に指定はありません。

次の項目をチェック項目として作成しましょう。

  • 検査日時
  • 検査実施者の氏名
  • 検査を確認した第三者の氏名
  • 検査結果

チェックや振り返りの際には、日誌やプリントなどのアナログな保存形式よりもデータ形式の方が確認しやすいでしょう。専用のシステムを使用して管理するとよりスムーズです。

アルコールチェックで押さえておくべきポイントは?

安全運転管理者を選任する

安全運転管理者は、乗車定員が11人以上の自動車1台、またはその他の自動車5台以上を使用している事業所ごとに1名を選任することが定められています。
安全運転管理者・副安全運転管理者を選任しなかった場合は「選任義務違反」となり、50万円以下の罰金が科せられます。
また、選任・解任の際には、15日以内に管轄の公安委員会へ届出を行う必要があります。この届出を怠ると「選任解任届出義務違反」となり、5万円以下の罰金が科せられます。
アルコールチェック義務の対象となる企業は、必ず安全運転管理者を選任し、早急に届出を行いましょう。

安全運転管理者が行う管理項目

ここで、安全運転管理者の業務を確認しておきましょう。
安全運転管理者は、以下9つの業務を行う必要があります。

  1. 運転者の適性把握
  2. 運行計画の作成
  3. 交替運転者の配置
  4. 異常気象時の措置
  5. 点呼・日常点検
  6. 運転日誌の備え付けと記録
  7. 安全運転指導
  8. 酒気帯びの有無の確認
  9. 酒気帯び確認内容の記録・保存

上記の業務の中で、アルコール検知器によるチェックも実施します。事前に実施フローを確認し、シミュレーションを行うことで、スムーズに業務を遂行できることが望ましいでしょう。

関連記事:安全運転管理者とは?業務内容や違反時の罰則を解説

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どのようなアルコール検知器を使えばよいか

では、実際にアルコールチェックを行う際には、どのような検知機器を使用したらよいのでしょうか。
結論からお話しすると、アルコールチェックに指定された機器はなく、呼気中のアルコールを正しく検知し、その有無・濃度を音や光、数値などで示すことができれば問題ありません。
現在はさまざまなメーカーからアルコール検知器が販売されており、検査結果を自動で記録するものやシステムと連携できるものなどがあります。

注意したいのは、アルコールチェックの際には検知器に息を吹きかける必要がある点です。
感染症予防の観点から、次亜塩素酸ナトリウム水で検知器を消毒する、ストロー式・マウスピース式の検知器を運転者の人数分用意するなどの対策を行いましょう。
手指にアルコール消毒液を使用すると正しい反応を得られないことがあるため、チェックの直前には避けつつ、感染を予防できるよう工夫する必要があります。

アルコール検知器については、下記記事をご参照ください。選び方や不正防止方法などさまざまな角度からアルコール検知器について解説しています。

関連記事:アルコール検知器のごまかしは可能?不正をなくし飲酒運転を防止しよう

チェック結果の記録・保持体制を構築する

アルコールチェックを確実に行うためには、組織全体で協力し、管理体制を構築することが重要です。安全運転管理者を中心に、アルコールチェックを徹底する取り組みを進めましょう。
アルコール検知器の配置場所やアルコールチェックの手順、記録の保管方法、酒気帯びが確認された場合の対応策などを明確にし、社内で遵守するように努めます。
安全運転管理者にだけ任せるのではなく、運転者を含めた全員が責任を持ち、運用の徹底と安全な運転を意識することが重要です。

アルコールチェック義務を怠った場合の罰則は?

アルコールチェック義務を怠った場合の罰則

アルコールチェックを怠ると、安全運転管理者の業務違反となります。直接的な罰則はないものの、公安委員会によって安全運転管理者を解任される、是正措置命令が発令されるなどはあります。さらに、この是正措置命令に対して改善を行わないと、「是正措置命令違反」として50万円以下の罰金が科されるため注意しましょう。

従業員が飲酒運転を行った場合の行政処分と罰則

もし運転者が飲酒運転を行った場合、道路交通法の「酒気帯び運転等の禁止違反」として、運転者だけでなく代表者や管理者も5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される恐れがあります。
また、運転者が酒気を帯びた状態であることを知りながら社用車の運転を指示した場合には、使用者・管理者は管理不足とみなされ、刑事責任を問われる可能性もあります。
さらに、企業としての責任を果たしていないといったイメージも付くことから、印象の悪化は避けられないでしょう。

罰則対象 車両等を運転した者
(運転者)
車両等を提供した者
(事業所、管理者)
酒類を提供した者
又は同乗した者
運転者が酒酔い運転をした場合 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
運転者が酒気帯び運転をした場合 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト (npa.go.jp)

まとめ 飲酒運転撲滅に向けて抜かりなくアルコールチェックを

この記事では、白ナンバー車を保有する企業が、アルコールチェックを確実に行うために知っておくべきことを解説しました。
記事のポイントは次のとおりです。

  • 白ナンバー車を保持する企業はアルコールチェックが義務化されている
  • 対象は乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上、白ナンバー車5台以上を保持する企業
  • アルコールチェックは検知器を用いてチェックする必要がある
  • アルコールチェックの記録は専用システムを利用するのがスムーズ

文字で見ると複雑に感じられるかもしれませんが、やること自体はシンプルで、アルコール検知器を導入し、点呼時にアルコールチェックを行うということです。確実に実施できるよう、安全運転管理者や責任者が率先して社内に周知していきましょう。
また、本文中でもお伝えしたとおり、アルコールチェックの実施と記録管理をスムーズに行うには、専用の管理システムを使用するのがおすすめです。

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