お役立ち情報

営業車の適切な点検方法と運行管理の活用方法とは

2025年 3月 18日

社用車・営業車

営業車を管理する安全管理者にとって、その管理方法は頭を悩ませる原因となっていないでしょうか。運転・乗車する社員の安全を守るだけでなく、業務効率化にもつながる運行管理ですが「点検では何を、どのようにチェックすればいいのか」「自社で行っている点検方法は適切なのか」と、とくに日常点検において最適な実施方法がわからない人もいるでしょう。 ドライバーに問題がなくても、車に異常があり走行不能であれば業務に支障が出てしまいます。そこで今回は、営業車の適切な点検方法と運行管理の活用方法について、わかりやすく解説します。

目次

営業車の点検は適切にできている?日常点検の目的と必要性

営業車の点検を法律的な観点から見ると、道路運送車両法47条には「使用者の点検及び整備の義務」があり、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と定められています。このことから、営業車の点検は法的に必須であることがわかるでしょう。

また、営業車を適正な状態に保つために「車検」「12ヵ月ごとの定期点検」「日常点検」の、3つの点検が義務付けられています。車検は、行わなければ営業車が公道を走行できなくなるため、確実に受けることとなります。定期点検もまた、整備工場で受けるので問題ないでしょう。

注目したいのは日常点検です。日常点検は社員が自ら行うこととなるため、適切なルールと運用が必要となります。日常点検は車の異常を早期に発見して、整備不良による事故を未然に防ぐ目的で行われます。ブレーキランプが切れていて後続車に追突されるケースは多くありますし、タイヤの空気圧が低くバーストしてしまうケースも少なくありません。

ブレーキの利き具合はとくに重要で、ブレーキペダルの踏み心地を確認しておかないと、運転中に止まろうとしたとき、ブレーキが思ったように効かず衝突事故を起こすこともあり得ます。

こうした事故の中には、日常点検を実施していれば防げたものもあるかもしれません。事故を未然に防ぐためには、車検や定期点検だけでなく、従業員が行う日常点検が重要となるのです。

道路運送車両法47条

日常点検の方法と見るべきポイント

日常点検では、定期点検のような詳細な点検は行いません。また、自動車整備士などのプロが行う点検でもないので、教習所で学んだ「運転前点検」の内容で充分です。

車両をぐるりと回って外側からの点検、ボンネットを開けてエンジン関係の点検と運転席に座ってのブレーキペダルやサイドブレーキの点検など、短時間で行う点検が日常点検となっています。

日常点検で見るべきポイントとしては、次の個所をしっかり点検します。

  • タイヤの状態
  • ランプ類の点灯確認
  • ブレーキ回り
  • 燃料装置
  • 冷却装置
  • 潤滑装置
  • ワイパー
  • ミラー

※参考 日常点検15項目(私にもできるマイカー点検) | JAF

エンジンルーム内で見るべきポイント

日常点検は、単に外から目視するだけの点検では終わりません。ボンネットを開けてエンジンルーム内を点検する必要もあります。

このときの注意点として、決してエンジンをかけたまま点検しないようにしましょう。日常点検を行ったためにケガをするのは本末転倒ですから、必ずエンジンは停止したままで点検を行います。

ウインドウォッシャ液

ウインドウォッシャ液は、フロントガラスが汚れた時に汚れを取り除いて、視界を良好にするために必要です。

とくに長距離を走る予定のある営業車では、ウインドウォッシャ液が切れていると、フロントガラスが汚れたまま走行することとなるので、事故の危険が高くなります。できれば、満タンにしておくことをおすすめします。

ブレーキ液

ブレーキ・リザーバ・タンク内の液量が、最低量を下回っていないか確認します。この液が少ないとブレーキの利きが悪くなりますから、山間部に出かける営業車ではとくに確認が必要です。下り坂でブレーキの利きが悪いと、ガードレールを突き破って転落するかも知れません。

バッテリ液

バッテリの液量が、UPPERとLOWERの間にあるか確認します。バッテリが上ってしまうとレッカー車を呼ぶこととなり、営業車の保険次第では費用が高額になるケースもあります。

とくに冬場にはバッテリが上がりやすくなっているので、要注意です。

冷却水

ラジエータ・リザーバ・タンク内の冷却水の量が、FULLとLOWの間にあるかを点検します。少ないとエンジンがオーバーヒートを起こして、自走できなくなります。長距離を走る営業車では、LOW付近になっていれば補充しておいた方が無難です。

点検を怠っていて、遠方で自走できなくなったらレッカー車が必要になりますし、なによりエンジンが焼きついて廃車になる恐れもあります。

エンジン・オイル

エンジン・オイルの点検は、ボンネットを開けてオイルレベルゲージを抜き取り、ペーパータオルなどで拭き取ってオイルの状態をチェックします。オイルに透明感があれば問題ありませんが、濃い茶色・黒っぽくなっているなどの場合にはオイルが劣化しているため、交換が必要となります。

エンジン・オイルを拭き取るペーパータオルや雑巾は、営業車内に常備しておくようにすれば、点検時の手間が少なくなるでしょう。

※参考 自動車点検整備推進協議会 (tenken-seibi.com)

車両の外から確認するポイント

次に車両の外から確認する、日常点検のポイントについて解説します。ここでは、タイヤの状態とランプ類の点検を行います。

タイヤの空気圧

タイヤの空気圧は見た目で判断する人もいますが、タイヤゲージにて正確に空気圧を測ったほうがより確実です。とくに、営業車は点検を行う人が一定でないことがほとんどですから、個人の感覚ではなく、誰が確認しても結果を把握しやすいようにルールとして決めておくとよいでしょう。

車に詳しければ「大体このくらいのたわみで大丈夫だろう」と判断できるかもしれませんが、会社ではさまざまな人が営業車を運転します。そのため、空気圧計は用意しておくことをおすすめします。

空気圧が低いまま走行を続けると、燃費が悪くなることに加えて走行性能が低下し、タイヤの両肩部が摩耗しやすくなります。昔は「高速道路を走るときは空気圧を高くしておく」という声もありましたが、実際にはそうした必要はありません。メーカーの定める車両指定空気圧に設定しましょう。

タイヤの亀裂・損傷の有無

タイヤに著しい亀裂や損傷がないか、全周にわたり点検します。ゴム部に釘が刺さっているケースや、先のとがった石が挟まっているケースもあるので要注意です。気づかずに走行すると、パンクすることもあります。

また、石などは確実に取り除いていないと、走行中に後続車を傷つけることもあります。運転している側は気づくことができませんが「営業車」ということからクレームにつながることもあるため注意しましょう。

タイヤの溝の深さ

タイヤの溝の深さが充分あるかを点検します。タイヤの側面には三角のマークが4~9か所程度あり、タイヤの摩耗が進むとその延長線上に「スリップサイン」が出てきます。

タイヤ一本のなかでも摩耗する範囲は偏ることがあり、部分的に確認して終わりにしてしまうと、スリップサインが出ていても気が付かない恐れもあるため注意しましょう。

ランプ類の点灯・点滅

エンジンのスイッチをONにして、ヘッドランプ・車幅灯・パーキングランプ・ストップランプ・テールランプ・ウィンカーなどの、ランプの点灯具合を点検します。レンズなどの汚れは、充分な明るさとならない原因となるので、キレイに拭き取ります。

日中の点検は1人ではわかりにくいので、2人セットで行った方が効率よく確実です。

運転席で確認するポイント

日常点検には運転席で点検する場所もあります。ここでは、運転席で点検する5つの項目を解説します。

ブレーキの効き具合

ブレーキの効きについては、ブレーキペダルを思いっきり踏み込んだときに床板との隙間があるかを点検します。また、踏みごたえがあるか、スカスカしていないかも点検します。基本的に先のブレーキオイルが正常にあれば、スカスカにはならないはずです。

駐車ブレーキの引きしろ

一般的に、サイドブレーキと呼ばれている部分です。レバー式の場合は思いきり引き上げる際の距離が長すぎないか・少なすぎないかを点検します。ペダル式の場合は、踏みしろで点検します。

ウインド・ウォッシャ液の噴射状態

ウォッシャ液が、フロントガラスにかかる様子を点検します。

タンク内にウォッシャ液が満タンなのに出てこない・噴出が少ない場合は、ウォッシャ液の噴射口が詰まっている可能性があります。つまようじなどで噴射口を突くと直ることが多いです。ウォッシャ液を出すと、勝手にワイパーが動きます。ウォッシャ液をワイパーでキレイに拭き取れるか、確認して水跡が残るようであれば、ワイパーブレードを交換した方がよいでしょう。

エンジンのかかり具合

いつも通りにエンジンが始動して、スムーズに回転しているかを点検します。営業車のタイプによりますが、タコメーターのある車種であれば回転数が高すぎないか、低すぎないか点検します。

タコメーターのない車種の場合は、エンジン音で点検します。回転数が高すぎる場合は、異音ともいえる大きな音がします。低すぎる場合は、エンジンが止まりそうになるのですぐにわかります。

エンジンの低速・加速状態

この点検は、走行しながらの点検となります。アイドリング時の回転がスムーズに続くか、アクセルペダルを軽く踏んだ時に、加速がスムーズであるか、ノッキング現象が起きていないかを点検します。この点検は、車内で走行しながらなのでわかりにくい点検となるため営業車を運転していて、いつもと違う状況であれば修理工場で詳しく点検してもらうとよいです。

営業車の適切な点検頻度は?

営業車における適切な点検頻度については、各企業でバラバラなのが現状です。

まず、車検は当たり前として12ヵ月の定期点検は必要です。あとは、日常点検の頻度になってきますが、これまでは運転前点検として毎日行う必要がありました。トラックやバスでは毎日の運行前点検は必要ですが、そうでない営業車の場合は企業の判断で「適切な時期に行う」ことになっています。

この適切な時期については各企業で判断が異なってきますが、一般的な頻度をいえば10日に1回の頻度が適切といわれています。

点検回数が多い分には問題ないので、基本的には10日に1回の程度で営業車の利用頻度によっては1週間に1回の日常点検を行うなど、稼働状況に合わせて調整しましょう。

まとめ

今回は、営業車の適切な点検方法と運行管理の活用方法について、解説しました。営業車の点検については、適切な日常点検の方法と頻度を定め、ルールとして浸透させることが大切です。車両管理の効率化と安全性向上のためには、点検作業のデジタル化も有効です。パイオニアの「MobilityOne 安全運転管理」なら、日常点検の記録や管理を一元化できる機能が搭載されており、法令遵守や業務効率化をサポートします。営業車の安全管理体制強化に向けて、ぜひ導入をご検討ください。

「MobilityOne 安全運転管理」のサービス資料はこちら

ダウンロード

安全運転管理者の基本と実態調査レポート

関連サービス

COCCHi 法人契約

MobilityOne 安全運転管理

お役立ち情報

関連サービス