2024年 11月 8日
安全運転指導
運転歴や走行歴などにかかわらず、どれほど気を付けて運転していても、交通事故を起こしてしまう確率はゼロではありません。特に毎日運転する方は、交通事故を起こすリスクも必然的に高くなります。 では、一生のうちで交通事故を起こす、あるいは事故に遭う確率はどのくらいなのでしょうか。 本記事では、運転中に交通事故を起こす確率と事故に遭う確率、交通事故が起こる原因、交通事故を起こさないための対策について解説します。 交通事故を未然に防ぐための対策の一環として便利なサービスも紹介しているので、社内の交通事故対策にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
人生で交通事故を起こす確率は、国内で運転免許を保有している人の数と、年間の交通事故発生数から、おおよその値を割り出すことができます。警察庁が公開している統計によると、2023年における交通事故の発生件数は30万7,930件です。※1
また、同年の運転免許保有者数は8,186万2,728人です。※2
これらの値から、年間の交通事故発生率を計算すると以下のようになります。
30万7,930件÷8,186万2,728人×100=0.38%
四捨五入をして約0.4%と考えると、およそ250人に1人の運転手が一年間に交通事故を起こしていることが分かります。年間で考えると1%にも満たない数ですが、50年間車を運転し続けた場合、0.36%×50年=約18%の運転手が交通事故を起こす計算です。
なお運転免許保有者の中には、免許を持っているだけで全く運転をしない人も含まれます。つまり、日常的に運転をする人だけに絞った場合は分母がもっと少なくなるため、交通事故を起こす確率もやや上昇すると考えられます。
近年では、安全運転支援機能が搭載されている車が多く販売されており、以前に比べると交通事故の発生件数そのものは減少してきています。しかし、車のハンドルを握る以上、交通事故を起こす確率はゼロでないことを認識しておきましょう。
人生で交通事故に遭う確率は、交通事故発生件数と日本の総人口から導き出せます。総務省統計局の発表によると、2024年3月1日時点の日本の総人口は1億2,400万3,000人です。※2023年の交通事故発生件数は30万7,930件なので、人生で交通事故に遭う確率を求める計算式は以下のとおりです。
30万7,930件÷1億2,400万3,000人×100=0.24%
四捨五入して0.2%と考えると、およそ500人に1人が交通事故に遭っていることが分かります。
交通事故が発生する原因は複数ありますが、ここでは運転手側の観点から交通事故が起こる6つの主な要因を紹介します。
安全不確認とは、前後や左右の安全確認を怠ることです。例えば、交差点を右折したときに反対車線から直進してきた車と衝突してしまう。左折時に、横断歩道を渡っていた歩行者や、左後方から来た自転車を巻き込んでしまうなどが挙げられます。これらの事故は、スピード違反や一時停止違反などの、交通違反を犯していない場合でも発生します。
安全不確認による交通事故は、事故原因の中でも大きな割合を占める要素の一つです。日頃から十分な安全確認を行う意識を持つことが大切です
脇見運転とは、前方を見ずに運転する行為です。カーナビや携帯電話を操作したり、周囲の景色や看板に気を取られたりすると、運転手の視線が進行方向から外れてしまうことがあります。そのたった一瞬であっても、目を離した隙に他の車や歩行者などが目の前に現れた場合、反応が遅れて接触・衝突してしまう危険性があるのです。
なお、運転中にカーナビや携帯電話の操作を行うことは、道路交通法第71条5の5の定めによって禁止されています。※違反すると、同法第117条の4の2の規定により、一年以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があるため、注意しましょう。
※参考:e-Gov法令検索「道路交通法」
動静不注視とは、事故発生のリスクを軽視する行為です。「だろう運転」とも呼ばれる行為で、対向車が来ているけど止まってくれるだろう、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるがこちらが通るまで待っていてくれるだろうなど、危険性を軽視した結果、車や歩行者と接触して事故を起こすことがあります。
状況を自分の都合のいいように解釈して行動すると、予想外のことが起こったときに取り返しのつかない事故につながる恐れがあります。
漫然運転とは、運転に集中せず考え事などをしながら運転する行為です。社用車を運転しながら、次に向かう取引先ではどのように対応しようかとプランを練ったり、お昼は何を食べようかなどと考えたりしていると、運転に対する注意力が散漫になることがあります。考え事に没頭していると、前を見ているようで見ていない状況に陥りやすく、人や障害物が目の前に迫っても反応が遅れる可能性が高いです。
なお、漫然運転は、多忙なときや疲労を抱えているときなどに起こりやすい傾向にあります。
運転操作不適とは、適切な運転操作ができなかった状態を指します。ハンドル操作を誤ったり、アクセルとブレーキを踏み間違えたりすることが当てはまります。いずれの場合も、車が本来意図したものとは異なる挙動を起こすため、運転手はパニックに陥りがちです。
その結果、ハンドルを慌てて逆方向に切る、ブレーキだと思い込んでアクセルを思い切り踏み続けるなどのさらなる運転操作不適を招き、大きな事故につながることがあります。運転操作不適は、運転に不慣れな運転手だけでなく、足の動きが衰えてくる高齢運転手にも多く見られるようです。
速度違反とはいわゆるスピード違反のことで、法定速度を超えて走行することです。法定速度は、道路の種類ごとにこれ以上の速度を出すと危険という判断のもとに規定されているため、標示を超えた速度で走行すると必然的に交通事故の発生リスクが高まります。
また制限速度以内で走行していたとしても、状況に応じて適切な速度で走行しなかった場合は安全速度違反に該当します。交差点や横断歩道で徐行せずに走行した場合、他車や歩行者と接触するリスクが上昇するためです。
なお、速度違反および安全速度違反は罰則の対象になることもあります。
交通事故を起こさないようにするために、企業で日頃から実践したい対策を4つ紹介します。
安全不確認や脇見運転、動静不注視などの原因の多くは、運転手の油断やリスク軽視に起因するものです。特に毎日のように社用車を運転している従業員は、慣れから運転に対する注意力が散漫になっていることがあります。 今一度、安全運転することの大切さを周知させ、従業員一人ひとりの運転意識を高める取り組みを行いましょう。
例えば、社内で独自の安全運転マニュアルを作成し、いつでも閲覧できるようにしたり、警察や損保会社などが主催している講習会やセミナーへの参加を促したりすると、従業員の安全運転意識の向上につながりやすいです。
口頭で指導するだけでなく、実際に自動車を使って適切な運転の仕方を指導するのも有効的な手段の一つです。自分では安全運転を心掛けているつもりでも、実際には車間距離が狭かったり、安全確認が不十分だったりすることは珍しくありません。
このような運転傾向は、自分自身ではなかなか気付くことができないため、定期的に実車指導を行い、安全運転の水準を満たしているかどうかを他者が確認することが大切です。
実車指導は、社内で行う場合と社外で行う場合の2パターンがあります。前者の場合は直属の上司、あるいは事業者が選任する安全運行管理者が指導にあたるのが一般的です。後者の場合は、自動車教習所などが実施している企業向け研修を利用する方法があります。
交通事故への注意喚起をするだけでなく、実際に発生した交通事故の事例を共有することで、さらに安全運転への意識が高まります。具体的な事例を挙げることで、どのようなときに事故が起こるのか、どういう対策を取れば良かったのかなどを分析し、教訓として活かすことが可能です。
また、身近な事故事例は一般的な統計よりもリアリティがあるため、自分事として捉えやすい利点もあります。
車を運転する際の心構えとして何よりも大切なのが、気持ちにゆとりをもって運転することです。例えば社用車で取引先に出向く際、初めて行く場所で道を間違えてしまう、打ち合わせの時間が迫っている、急いでいるのに渋滞の道に入ってしまうなどの状況に直面することが少なからずあるのではないでしょうか。
このような状況では、焦りや苛立ちが発生して精神的に余裕がなくなり、運転操作ミスを起こしてしまう恐れがあります。また、焦りのあまり視野狭窄に陥り、歩行者を見逃してしまったり、うっかり赤信号で発進してしまったりといった、平常時であれば考えられないようなミスも起こりえるのです。そのため、運転を行う際は常に余裕をもつことを心掛けるのが重要です。
運転中の余裕を保ち、先急ぎ運転を防止するには、最新のカーナビを導入するのがおすすめです。最近では、車載ナビだけでなく、iOSやAndroidアプリで作られたカーナビもあり、より便利になっています。最新のカーナビを導入すれば、マップが常に更新された状態で目的地までの経路が自動で案内されます。加えて、渋滞を回避した経路を案内してくれたり、通行止めや工事中など最新の交通情報を加味して案内してくれたりするため、焦りやイライラを回避して、余裕を保った運転ができるでしょう。
日本では、約250人に1人の運転手が一年間に交通事故を起こしています。交通事故が発生する原因には、安全不確認や脇見運転、動静不注視などがありますが、いずれも運転手の油断から来るものがほとんどです。
交通事故を未然に防ぐために、従業員の安全運転への意識を高める、実車指導や事故事例の共有を行う、最新のカーナビを導入するなどの工夫を取り入れるようにしましょう。
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