2025年 3月 4日
社用車・営業車
企業が持つ車は社用車や営業車、商用車などさまざまな種類があり、目的や役割によって求められる大きさや機能、車種も異なります。社用車の選び方が分からない方や、今ある車両が業務内容に合っているのか不安という方も多いでしょう。本記事では、社用車、営業車、商用車のそれぞれの違いについて解説するとともに、選ぶ際のポイントやおすすめの車種を詳しくご紹介します。
社用車、営業車、商用車といった言葉は、いずれも法人などが仕事のために使用する車を指します。それぞれの言葉に厳密な定義はありませんが、一般的には次のような意味合いで使い分けられることが多いです。
社用車は個人ではなく、法人や個人事業主が所有・管理する車を指します。
使用目的は荷物の配送や役員の送迎、外回りなどさまざまで、選ぶ車種も使用目的によって異なります。一般的にダンプカーやバスなどは、社用車には含まれません。
営業車は、法人や個人事業主が所有・管理する車の中でも、特に外回りといった営業活動を目的に使用する車を指します。
なお道路運送法第二条第八項では、営業車は事業用自動車として自動車運送事業者が事業に使用する車とされています。※
商用車は、広くビジネスで使用される車を指すことが多いです。
そのため、タクシーやバスなどの旅客輸送車、商用バンやトラックなどの貨物輸送車、ミキサー車やダンプカーなど工事現場で使用される車も含まれます。また、社用車や営業車も商用車の一種です。
パイオニア株式会社では、車両管理に関する業務(車両の購入・リース等の車両の調達・購入)の経験がある企業に対して、社用車の導入と運用実態に関する調査(2024年10月)を実施しました。ここでは調査結果の一部をご紹介します。
社用車として購入される車は小型自動車と普通乗用車が6割以上、軽自動車が2割、残り2割がトラックを含むその他車両という結果が出ています。つまり、一般的に社用車として利用されるのは、ほとんどが小型自動車・普通乗用車・軽自動車だということです。このことから、社用車を購入する際は、コスト効率・燃費・操作性が重視されていると推測できます。
社用車の平均購入価格は、150万円から250万円未満が回答の4割を占める最多となっていました。これは軽自動車や小型自動車の価格帯と一致し、コストパフォーマンスを重視する企業の傾向を反映しています。
さらにコストに関しては、車両導入時のコストと維持コストもそれぞれ重要と考えられているようです。特に導入コストは、リース契約か一括購入かの判断に大きく影響することから、車両導入時に意識する項目の筆頭に挙げられます。
企業が車両導入時に意識するポイントとして、車両の安全性や、快適性/業務効率に関わる車両装備も挙げられています。なかでも車両装備については、2023年12月に施行されたアルコールチェックの義務化や、安全運転への意識向上も手伝い、カーナビやドライブレコーダーなどの業務効率化に直結する装備が注目されています。
社用車の導入と運用実態についての詳しい調査結果は、以下のホワイトペーパーもぜひご覧ください。
個人で自家用車を選ぶ際は好みや用途、お気に入りのメーカーなどで自由に選びます。一方、社用車は複数人が使用し、用途も限定されていることが少なくありません。さらに、複数台の社用車を購入するケースもあるため、限られた予算内で必要な条件を満たす車を選ぶことが大切です。
ここからは、社用車を選ぶ際に押さえておきたいポイントを紹介します。
バスやダンプカーなど法人しか購入しない車を除き、営業車や社用車は特定の車種が社用車として販売されているわけではないため、さまざまなタイプの車から用途にあった車を選びます。そのため、社用車を選ぶ際はある程度利用目的を明確にしておくと、選定の際にスムーズでしょう。
例えば営業車として使用したい場合、燃費の良さや狭い路地でも小回りの利くサイズなどは大きなポイントとなります。
社員の送迎用に使用するのであれば、定員が多い車の方が合理的だといえます。一方、役員の送迎であれば高級感のある車の方が向いているでしょう。
荷物を運ぶことが多い場合は、荷室の容量を重視しましょう。
荷台が広く、荷物の出し入れもしやすい軽トラックや、助手席を倒せば長いものも運べる商用バンもおすすめです。日常的に商品のサンプルや、道具を運ぶことが多いのであれば荷室の容量は欠かせないポイントですが、ルート営業のように大量の荷物を運ぶことがそれほどないのであれば、座席の座り心地を重視した方が良いでしょう。
積載する荷物の量や多さ、頻度などを洗い出した上で、業務に支障の出ない荷室の容量を決定してください。
チームでの移動が多かったり、複数人の送迎をしたりする場合には乗車予定の人数に合う車を選びましょう。
乗車定員の目安は、軽バンが大人4名、普通車のバンが大人5名です。大型バンの場合は最大9名まで乗車できるものもあります。
サイズの大きな車は多くの荷物を運んだり、複数人を乗せられて便利ですが、場所や用途によってはコンパクトな車が適している場合もあります。
例えば、社用車用の駐車スペースが限られている場合や、立体駐車場に駐車することが多い場合、営業先の多くが住宅街や狭い路地に面しているような場合であれば、サイズの小さな車の方が合っているでしょう。
社用車は、自家用車と比較して走行距離が長くなる傾向にあります。そのため、社用車を使う時間が長い場合は、燃費の良さも大きなポイントです。燃費だけでなく排出ガス性能に優れたエコカーを選べば、地球環境に配慮していると会社のイメージ向上にもつながるでしょう。
社用車の扱いは自家用車とは少し異なります。社用車の購入を考える際には次の点にも注意が必要です。
社用車の場合、個人向けの自家用車を対象とする保険には加入できません。社用車は法人向けの自動車保険に加入する必要があります。
社用車が加入する法人向けの保険は、大きくフリート契約とノンフリート契約の2種類に分けられます。フリート契約は、10台以上の社用車を一括して管理できる保険です。対してノンフリート契約は、9台以下の社用車に対して1台ずつ個別に契約する保険です。
フリート契約のメリットは、まとめて契約することで1台ごとの保険料を抑えられる点です。また、保険証券も1枚にまとめることができるため、管理面の手間も省けます。ただし1台でも事故を起こしてしまうと、全体の保険料が上がるため注意が必要です。
一方、ノンフリート契約の場合は、事故を起こしても保険料が上がるのは事故を起こした1台のみで、他の車の保険料に影響が及びません。ただし、フリート契約よりも1台ごとの保険料は高額です。
社用車が事故を起こした場合は、事故が業務中であったか業務時間外であったかによって扱い方が異なります。
従業員が業務中に事故を起こした場合は、使用者(会社)が事故を起こした従業員と共に責任を負うことになり、使用者責任や運行供用者責任が発生します。
従業員が業務時間外に事故を起こした場合は、会社には使用者責任も運行供用者責任も発生しません。この場合は従業員のみが事故の責任を負うことになります。
社用車におすすめの車を、荷室の容量や乗車定員、車のサイズ、燃費等の点から8種類ピックアップして紹介します。
コンパクトなつくりなので、狭い道も通りやすいのが特長です。多くの荷物を載せたいものの、ハイエースほど大きな車は必要ないという場合におすすめのサイズです。またバックドアが大きく開き床面も低いため、重い荷物の積み下ろしにも向いています。※
60年以上の歴史を誇り、スズキ株式会社の「エブリイ」と並んで人気の軽キャブオーバーバンです。運転席と助手席以外をたたんだ状態で、中京間の畳が9枚、みかん箱だと約68個も積載が可能になります。また、スマートアシスト搭載で安全運転もサポート。荷物を積んでいても後方が見やすいスマートインナーミラーがあるのもうれしいポイントです。※
※出典:【公式】ハイゼットカーゴ トップページ|ダイハツ(daihatsu.co.jp)
営業車の定番といえば「プロボックス」。コストパフォーマンスの高さに定評があり、フラットな床面のため、荷物を積みやすいのが特長です。車内でノートパソコンが使用できるインパネテーブルや、1リットルの紙パックが入るドリンクホルダーなど、営業車にあるとうれしい機能が搭載されています。1.5Lハイブリッド車ではクラストップの低燃費を実現。ビジネスシーンを支える、優れた走行性能と快適な乗り心地も魅力です。
※出典:トヨタ プロボックス | トヨタ自動車WEBサイト(toyota.jp)
「アルト」は、コストパフォーマンスの高さから、社用車として複数台所有したい企業に人気です。低コストでありながら、車線逸脱警報機能や後退時ブレーキサポートなどの安全運転サポート機能も搭載されています。また、サイズもコンパクトなため小回りが利き、営業車にもおすすめです。※
社用車としては大型で、荷室の奥行きは最長3m(シートを折りたたんだ際の長さ)、高さは1.3m、幅は1.5mと十分な広さがあります。荷室の広さや使い勝手の良さから、大量の荷物や道具の運搬のほか、様々な用途に利用できる汎用性の高い車です。
ベースは3~6人乗りですが、定員9名のグレードもあるため、送迎車両としてもおすすめです。※
※出典:トヨタ ハイエース バン | トヨタ自動車WEBサイト(toyota.jp)
荷室長1910mmで、長尺物も楽々積める高い積載性が魅力。広いバックドア開口部、後席ドアの高い開口部などにより、荷物の積み降ろしもスムーズです。最小回転半径5.2/5.4mで、狭い道でも取り回しが良く、ストレスフリーな運転が可能。運転席周りの収納も多彩で充実しており、ビジネスシーンをサポートします。※
※出典:日産:クリッパーバン [ CLIPPER VAN ] (nissan.co.jp)
「N-BOX」を彷彿とさせるスタイリッシュなデザインから自家用車としても人気がある軽キャブバンです。エンジンや燃料タンクを車前方へ位置させることで、荷室スペースを縦に確保でき、段ボールを積み上げたり背の高い荷物を乗せたりすることも簡単です。フロントドア内側のトレーやUSBジャックなど業務効率をアップさせる工夫も社用車として支持されるポイントです。※
※出典:N-VAN|Honda公式サイト
商業車としての実用性や十分な荷室スペースを備えながらも、洗練されたデザイン性が人気の車種です。乗車定員は2名ですが、セカンドシートを装着していれば5名まで乗車できます。収納力に優れており、蛍光灯や配管などの長物や1間サイズの板も積み込めます。荷室の天井が高いので車の中での作業も行いやすく、幅広い用途に対応できる車です。さらに、優れた燃費性能を実現。アドバンスドドライブアシストディスプレイに燃費表示機能を搭載し、エコドライブをサポートします。※
社用車、営業車、商用車などと呼び方は異なりますが、法人や個人事業主における車選びで大切なのは、目的に合った車を選ぶことです。まずは用途に合った大まかなタイプを絞り、さらにどのような機能があれば快適かを考えていきましょう。
また、社用車の機能・装備として近年特に重視されているのがカーナビです。カーナビは、迷いを防止しドライバーのイライラを軽減することで業務効率化を図るだけでなく、社用車による事故を未然に防ぐ役割も持ちます。そのため社用車導入の際は、機能性の高いカーナビの導入もセットで考えることをおすすめします。
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社用車選びの際には、併せて「COCCHi 法人契約」の導入もぜひご検討ください。