当社は、交通事故の大きな原因の一つである、眠気によるドライバーの覚醒水準の低下への対応として、眠気の予兆を高精度に検出する技術とともに、覚醒水準を維持・改善する技術の開発を進めています。
ドライバーの覚醒水準を維持・改善する技術として、音や光、香りで刺激を与える技術のほか、座席シートを振動させ、ドライバーのみに刺激を与える技術も検討されていますが、単調な振動では覚醒効果が持続せず、また不快な振動には覚醒効果がある一方で、不快さゆえに利用されない可能性や運転に悪影響を与える可能性もあります。
当社では、これまで培ってきた体感音響システムの技術を活かし、座席シートを振動させる技術として、音楽理論を応用した「ハーモニック振動」を開発しました。「ハーモニック振動」とは、協和音*を構成する全ての音を低い音または高い音から順に鳴らしたとき、その際に生じる音の波形信号を、覚醒効果と快適性とを備えた最適な振動としてドライバーに伝える技術です。座席シートの振動実験により蓄積した被験者データから、「ハーモニック振動」が覚醒効果と快適性の両立を実現できる可能性を確認できました。
当社は、「ハーモニック振動」の振動パターンや、それらをドライバーに効果的に伝える振動システムの検討を進め、覚醒効果が高く快適な車載用シート振動システムの実用化を目指していきます。
*同時に鳴らしたときに心地よく聴こえる、高さの異なる二つ以上の音
ハーモニック振動の生成イメージ