近年、自動車や車載機器の技術の進展により、車室内で多種多様なサービスを受けられるようになりました。しかし、運転者は常に安全運転に注意を払うために、運転中瞬時に多くの情報を理解して車載機器を操作することは困難です。
安全にサービスを提供するためには、運転状況を把握して最適なタイミングで必要な情報をわかりやすく運転者に伝えるインターフェースの実現が期待されています。この実現には刻々と変化する車両周辺状況や運転動作などを把握し、事前に運転行動を予測する技術が重要となります。当社は、運転者や周辺環境などの多種多様なマルチモーダル情報を解析することで、運転行動を予測する技術の研究開発に取り組んでいます。
車線変更や右左折など実際の運転行動には、周辺の車両位置や道路車線数などの外的要因と運転者の行動意図である内的要因が複雑に影響しています。これら多くの要因影響を運転行動予測に反映するため、特定の運転行動が起こる確率(状態確率)を用いた運転行動予測技術を開発しています。状態確率は、GPS、IMU、車載カメラなどのセンサデータから抽出した自車両周辺状況、自車の速度と姿勢、運転者のミラー確認動作などの時間変化を変数とし、さらに重みづけ係数を変数毎に付与することで算出します。状態確率を用いた当社独自の予測アルゴリズムにより運転行動予測を実現しました。走行実験データによる予測精度検証を行い、運転行動の1つである車線変更の行動予測が可能であることを確認しました。
当社は、今後マルチモーダル・データ解析を用いた運転行動予測技術を進化させることで、最適なタイミングで必要な情報をわかりやすく運転者に伝えるインターフェースを実現し、運転者が必要とする情報を安全に提供するサービスを目指していきます。
運転行動の要因
運転行動予測技術
本研究の開発結果を、2023年3月7日 電子情報通信学会 総合大会で報告しました。